生物化学工学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 生物化学工学
科目番号 0230 科目区分 専門 / (生)コース必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 生物応用化学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「改訂新版 化学工学通論Ⅰ」 疋田晴夫著(朝倉書店),「化学工学演習 第2版」 藤田重文編(東京化学同人),また必要に応じてプリントを配布する
担当教員 船越 邦夫,小川 亜希子

到達目標

吸収,抽出,膜分離,バイオプロセスに関する基礎理論を理解し,吸収速度や塔高の計算に必要な専門知識,液液並流多段抽出・液液向流多段抽出・固液抽出の計算に必要な専門知識,濾過膜に関する専門知識,バイオ生産に必要な専門知識,およびバイオリアクターのスケールアップ,生産物の分離精製プロセスの計算に必要な専門知識を習得し,吸収装置,抽出装置,膜分離装置,バイオプロセスの設計に応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1二重境膜説,操作線,タイライン等を理解して吸収塔の設計に応用できる.二重境膜説,操作線,タイライン等を理解して吸収等の計算ができる.二重境膜説,操作線,タイライン等から吸収塔の計算方法を理解していない.
評価項目23成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができ,抽出装置の設計に応用できる.3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができ,抽出装置の計算ができる.3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図,抽出装置の計算方法を理解していない.
評価項目3生体触媒を利用した物質生産プロセスを理解し,生体触媒の種類に応じたプロセス設計ができる.生体触媒を利用した物質生産プロセスを理解できる.生体触媒を利用した物質生産プロセスを理解していない.
評価項目4バイオリアクターのスケールアップに必要な項目について計算し,それを応用できる.バイオリアクターのスケールアップに必要な項目を理解できる.バイオリアクターのスケールアップに必要な項目を理解していない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
化学工学は,化学製品等を安全にかつ経済的に生産するために,化学プロセスを設定し原料から製品に至る物質およびエネルギーの流れの収支関係を明らかにし,各種装置の設計を行うための学問である.本科目では,「吸収」,「抽出」,「膜分離」,「生体触媒」,「バイオリアクター」,「バイオプロダクト」に関する基礎的な知識の習得と,装置設計に必要な基本的な考え方を学習する.この科目は研究所で分離工学に関する研究を担当していた教員と企業でバイオプロセス生産に従事していた教員が,その経験を活かし,ガス吸収や抽出,膜分離等について授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
・以下の内容は,すべて,学習・教育到達目標(B)<専門> に相当する。
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>
ガス吸収・抽出・膜分離・生体触媒・バイオリアクター・バイオプロダクトに関する「知識・能力」1~22の確認を課題レポートおよび小テスト,前期中間・前期末,後期中間・学年末試験で行う.1~22に関する重みは概ね同じである.合計点の60%の得点で目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 前期中間・前期末・後期中間・学年末試験の試験結果および課題レポート等の結果で評価する.学業成績は,前期中間・前期末・後期中間・学年末試験80%と課題レポート等20%で評価する.前期中間・前期末・後期中間・学年末試験に関しては,各試験までの課題レポートを含めた評価で60点に達していない学生については再試験を行い,再試験の成績が該当する期間の評価を上回った場合には,60点を上限としてそれぞれの試験の成績を再試験の成績で置き換える.
<単位修得要件> 課題レポートを全て提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>数学(微分・積分学の基礎)や物理(力学),化学(物質の状態),物理化学Ⅰ(相平衡,熱力学),化学工学Ⅰ(3, 4年),生物化学,基礎細胞生物学,および微生物学の学習が基礎となる教科である.数学,物理化学Ⅰ,化学工学の基礎は充分に理解しているものとして講義を進める.
<レポート等>理解を深めるため,課題レポートを適宜与える.
<注意事項> 数式の背景にある物理的意味をきちんと理解することが重要である.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 (ガス吸収)気液平衡関係,Fickの法則 1. Fickの法則,物質移動現象について説明できる.
2週 濃度境膜,境膜物質移動係数,固定座標に対する流束,運動量・熱・物質移動の類似性 上記1
3週 二重境膜説,吸収速度,総括物質移動係数 2. 二重境膜説や操作線,タイラインについて説明できる.
4週 吸収装置の種類,フラッディング・ロ-ディング速度 3. フラッディング速度やロ-ディング速度が計算できる.
5週 吸収塔の物質収支,操作線,最小液流量 4. 吸収塔内の物質収支が取れ,操作線を描くことができる.
6週 容量係数,移動単位数,H.T.U. 5. H.T.U.よりタイラインを描き,吸収塔の高さが計算できる.
7週 吸収塔の高さの算出,タイライン法による界面組成決定 上記 5
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 (抽出)三角座標,3成分系の溶解度曲線,タイライン 6. 3成分系の溶解度曲線,分配曲線の作図ができる
10週 分配曲線,液液抽出装置 上記 6
11週 液液並流多段抽出の理論段数,抽出率 7. 液液並流多段抽出の理論段数や抽出率が計算できる.
12週 液液向流多段抽出の理論段数 8. 液液向流多段抽出の理論段数が計算できる.
13週 固液抽出装置,多回抽出操作の段数の算出法 9. 固液多段抽出の理論段数が計算できる.
14週 (膜分離)濾過膜の分類:精密濾過膜,限外濾過膜,ナノ濾過膜,逆浸透膜 10. 各種濾過膜について説明できる.
15週 ガス分離膜,透過流束,ろ過膜の性能評価 上記10
16週
後期
3rdQ
1週 バイオプロセスの概要 11. バイオプロセスを構成する各プロセスを理解している.
2週 有用物質生産に用いられている生物 12. 生体触媒の特性について,概要を簡潔に説明できる.
3週 殺菌および除菌操作 13. 殺菌や除菌の操作や処理方法を理解している.
4週 生体反応と代謝 14. 生体反応を化学量論式で表し,それらを定量的に取り扱うことができる.
5週 バイオプロダクト生産と収率 15. 物質基準の収率が計算できる.
6週 微生物の培養操作 16. 微生物培養操作法における回分操作,半回分操作,連続操作を簡潔に説明できる.
7週 培養の経時変化と増殖 17. 回分操作における微生物の増殖を数式として表現できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 微生物反応速度論(1)基質消費速度 18. 細胞での反応速度論(基質消費速度,生成物の生成速度)を理解している.
10週 微生物反応速度論(2)生成物の生成速度 上記18
11週 バイオリアクター 19. 代表的なバイオリアクターの種類,用途と特徴について,概要を簡潔に説明できる.
12週 通気と攪拌 20.酸素移動容量係数が説明できる.
13週 バイオリアクターのスケールアップ(1)嫌気培養 21.バイオリアクターを工業的に使用するための検討すべきスケールアップ条件を理解している.
14週 バイオリアクターのスケールアップ(2)好気培養 上記21
15週 バイオプロダクトにおける分離精製プロセスと主な要素技術 22. 細胞破砕法,遠心分離,クロマトグラフィーの概要を理解している.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4

評価割合

試験課題レポート相互評価態度発表その他合計
総合評価割合80200000100
配点80200000100