無機化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 無機化学
科目番号 0041 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「無機化学-その現代的アプローチ-」第2版 平尾一之,田中勝久,中平敦 (東京化学同人)
担当教員 和田 憲幸

到達目標

1. 周期律表を基に,原子やイオンについての電子配置,量子数,イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度,半径等の基礎知識を理解できる.
2. 代表的な単体(金属,非金属)や化合物の結晶構造,共有結合分子およびイオン結晶の化学結合(特に分子軌道法による共有結合の電子状態,イオン結合)を理解する.
3. 配位化合物(錯体)の構造,命名法および配位子場理論(結晶場理論)によりd電子の電子状態を理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1周期表に基づき原子やイオン等の性質に関する応用的な問題を解くことができる.周期表に基づき原子やイオン等の性質に関する基本的な問題を解くことができる.周期表に基づき原子やイオン等の性質に関する基本的な問題を解くことができない.
評価項目2代表的な単体や化合物について結晶構造や化学結合に関する応用的な問題を解くことができる.代表的な単体や化合物について結晶構造や化学結合に関する基礎的な問題を解くことができる.代表的な単体や化合物について結晶構造や化学結合に関する基礎的な問題を解くことができない.
評価項目3配位化合物やその遷移金属でd電子に関する応用的な問題を解くことができる.配位化合物やその遷移金属でd電子に関する基礎的な問題を解くことができる.配位化合物やその遷移金属でd電子に関する基礎的な問題を解くことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
無機化学は,次のことを理解することを目標とする.
周期律表を基に,原子やイオンについての電子配置,量子数,イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度,半径等の基礎知識を理解し,これらの基礎知識を基に,無機化合物(共有結合分子,イオン結晶,配位化合物)の結合電子および関与する電子の状態を理解する.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,すべて材料工学科 学習・教育到達目標(B)<専門>に対応している.
・授業は,質問を受け付けながら,理解の度合いを確認できる演習を含め,講義形式で進める.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を中間試験および定期試験で出題し,目標の到達度を評価する.授業計画の「到達目標」に関する重みは概ね均等とし,試験は100点法により60点以上の得点で目標の到達を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>後期中間,学年末の2回の試験の平均点で評価する.なお,各試験とも再試験は行われない.
<単位修得条件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は,1,2年生で学んだ化学の知識をさらに深めるため,化学で学んだ原子構造や特徴について復習しておくことが望ましい.
<レポート等>復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)のために,演習問題およびレポートを与える.
<備考>数式の背景にある物理的意味を理解することが重要である.また,本教科は後に学習する無機材料,触媒材料,無機機能材料,無機合成化学の基礎となる教科であるだけでなく,量子力学,専攻科の基礎電子化学の基礎にもなる.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 周期表 1. 元素の種類,原子の構成粒子を理解し,原子番号,質量数,同位体が分かり,原子の構造が分かる.
2週 原子の構造と電子配置と量子数 2. 殻,電子軌道が分かり,主量子数,方位量子数,磁気量子数および電子スピン量子数がわかる.
3週 原子の構造と電子配置と量子数 3. 軌道のエネルギー準位,エネルギー最低の原理,パウリの排他原理,フントの規則から原子およびイオンの電子の配置を示すことができる.
4週 原子の構造と電子配置と量子数 4. Bohrの原子模型を理解し,水素原子の電子のエネルギーが推定でき,電子の遷移またはイオン化に必要なエネルギーやそれになる電磁波の周波数,波長および波数が計算できる.
5週 イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度,原子(イオン)半径 5. 周期律および電子配置に基づき,イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度,原子半径およびイオン半径を推定できる.
6週 化学結合 6. 化学結合の種類(イオン結合,共有結合,金属結合,水素結合,ファンデルワールス結合)やその結合様式がオクテット則,ルイス構造などを用いて特徴を説明できる.
7週 復習と演習 上記1~5
8週 中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 共有結合と分子軌道法 7. 簡単な分子に対して分子軌道法(原子価結合法)から共有結合が理解できる.
10週 結晶構造と格子 8. 安定な配位数,金属の結晶構造と充填率,ブラベー格子,代表的な無機化合物の結晶構造について理解できる.
11週 イオン結合,イオン結晶と格子エネルギー 9. イオン結合,イオン結晶について格子エネルギーおよびマーでリング定数について理解できる.
12週 錯体化学 10. 錯体,その命名法,中心金属(遷移金属等),配位子,配位数などを説明できる.
13週 d軌道 11. d軌道の分裂,ヤーンテラー効果,d電子の配置,高スピン状態,低スピン状態など理解できる.
14週 d軌道 上記10
15週 演習と復習
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性陽子・中性子・電子からなる原子の構造について説明できる。4
ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4
水素原子中の電子のエネルギー状態が離散的な値を取ることを説明できる。4
量子条件から電子のエネルギー状態および軌道半径を導出し、説明できる。4
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4
化学結合の種類および結合力や物質の例などを説明できる。4
無機材料原子の構成粒子を理解し、原子番号、質量数、同位体について説明できる。4
Bohrの原子模型について説明できる。4
主量子数、方位量子数、磁気量子数について説明できる。4
殻、電子軌道、電子軌道の形を説明できる。4
パウリの排他原理、軌道のエネルギー準位、フントの規則から電子の配置を示すことができる。4
価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。4
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質について説明できる。4
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。4
化学結合の初期理論としてのオクテット則(八隅説)により電子配置をルイス構造で示すことができる。4
原子価結合法により、共有結合を説明できる。4
電子配置から混成軌道の形成について説明できる。4
簡単な分子に対する分子軌道法から共有結合を説明できる。4
イオン結合の形成について理解できる。4
金属結合の形成について理解できる。4
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。4
中心原子、配位子、キレート、配位数などの用語を説明できる。4
錯体の命名法の基本を説明できる。4
配位数と構造について説明できる。4
代表的な非金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。4
代表的な金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100