基礎材料学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 基礎材料学
科目番号 0043 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:機械・金属材料学 黒田大介監修(実教出版)
担当教員 兼松 秀行

到達目標

種々の材料の分類(有機材料・無機材料・金属材料)ができ,それらを構成している原子の集まり方,結晶構造について基礎的な特徴を理解するとともに,それら原子の配列の仕方を知る基本的な手法,原子が規則正しく並んだことによって生じる物理的現象や機械的性質の変化等を理解するほか,材料の構成元素を変えることによる材料の状態や性質の変化などが理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1原子の結合状態や用途、外観などから材料の分類ができ、代表的な材料を挙げることができる原子の結合状態や用途、外観などから材料を分類する方法を知っている原子の結合状態や用途、外観などから材料の分類ができない
評価項目2ミラー指数を用いて結晶の面や方向を表す方法を理解し、それを用いて面や方向を表わしたり、与えられた指数の面や方向を描くことができるミラー指数を用いた結晶の面や方向の表し方を知っているミラー指数を用いた結晶の面や方向の表し方をよく理解していない
評価項目3結晶によるX線の開設現象をよく理解し、それを応用することができる結晶によるX線の開設現象をある程度理解している結晶によるX線の開設現象をよく理解していない
評価項目4金属材料の結晶構造や特徴を理解し、必要な諸量を計算することができる金属材料の結晶構造や特徴を理解し、必要な諸量を説明できる金属材料の結晶構造や特徴を理解し、必要な諸量を説明できない
評価項目52元合金の基本的な状態図の見方を理解しており、ミクロ組織と関連付けて説明ができる2元合金の基本的な状態図を知っており、描くことができる2元合金の基本的な状態図をよく理解していない
評価項目6無機材料,有機材料の基本的な構造や特徴を説明でき、諸量を計算できる無機材料,有機材料の基本的な構造や特徴を説明できる無機材料,有機材料の基本的な構造や特徴を説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
この授業では高学年で開講される材料工学に関連した専門科目を習得するのに必要な材料の基礎知識の講義をする.はじめて学ぶ材料工学の入門編となる授業である.この授業を通じて,材料とはどのようなものか,材料を学ぶことの重要性,工学分野における材料の役割やおもしろさについて学ぶとともに,さらに専門性の高まる3年生での専門科目で必要な基礎知識の習得を目的とする.
授業の進め方・方法:
・材料工学科学習・教育目標(B)<専門>に対応
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>この授業で習得する「知識・能力」]1~18の習得の度合を期末試験,必要に応じて演習レポート等により評価する.各項目の重みは同じである.試験問題とレポート課題のレベルは,100点法により60点以上の得点を取得した場合に目標を達成したことが確認できるように設定する.
<注意事項>前期末までかけて,材料の構造の基礎を中心に説明する.特に結晶の面や方向を表わすミラー指数は十分に理解すること.以後の授業では,結晶面,方向はすべてそれらの表示方法を使って授業を進める.教科書は使わずに配布資料を用いるので予習の必要はないが,復習はしっかりやること.本教科は後に学習する材料組織学の基礎となる教科である.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>結晶の構造においては3次元空間での結晶の広がりを取り扱うので,3次元座標,基礎的な立体幾何学,特に三角関数は十分理解しておくこと.本教科は,材料工学序論の学習が基礎となる教科である.
<レポート等>授業内容についてより理解を深めるため,できるだけ多くの課題演習を授業に取り入れる.
<学業成績の評価方法および評価基準>求められたすべてのレポートの提出をしていなければならない.期末試験の平均点を60%,課題を40%で評価する.再試験は特に行わない.60点を上限として再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を取得すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業の進め方.材料の分類法-原子の結合様式の観点からの分類 1. 原子の結合様式,用途,状態によって材料の分類できる.
2週 材料の力学的性質(金属を中心として) 2.構造材料としての金属材料の機械的性質とその表し方を理解できる.
3週 材料(金属を中心として)の結晶構造 3. 純金属の代表的な結晶構造の名称や原子配置を理解し,またその測定方の概要を理解できる.
4週 材料の強化機構について 4.金属材料の強化機構と欠陥について.また無機材料,有機材料の場合の強化機構の概略が理解できる.
5週 平衡状態図の考え方 5. 平衡状態図について,その基本的考え方が理解できる.
6週 平衡状態図の応用 6. 簡単な金属材料の合金系の状態図を理解できる.
7週 鉄鋼精錬 7.
8週 無機材料の種類 8. 無機材料にはどのようなものがあるか理解できる.また金属材料との違いを理解できる.
2ndQ
9週 無機材料の結晶構造 9. 無機材料の結晶構造の代表的なものを説明できる.
10週 無機材料の応用 10. 無機材料がどのようなところに利用されているか,そして金属材料の用途との違いを理解できる.
11週 有機材料の種類 11. 有機材料には,どのようなものがあるか理解できる.また金属材料,無機材料との違いを理解できる.
12週 有機材料の結晶構造,非晶質,その違い 12. 有機材料の結晶構造,非晶質など,構造とその変化について理解できる.
13週 有機材料の応用 13. 有機材料がどのようなところに応用されているかを説明できる.
14週 複合材料 14. 複合材料の考え方とその特徴,種類,応用を理解できる.
15週 将来のマテリアルサイエンス 15. Society 5.0とSDGsの中でのこれからのマテリアルサイエンスを考える.
16週 まとめ これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性金属の一般的な性質について説明できる。4
原子の結合の種類および結合力や物質の例など特徴について説明できる。4
結晶構造の特徴の観点から、純金属、合金や化合物の性質を説明できる。2
結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。2
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。2
X線回折法を用いて結晶構造の解析に応用することができる。3
金属材料製銑および製鋼工程について、原料ならびに主設備、主な炉内反応を説明できる。2
純鉄の組織と変態について、結晶構造を含めて説明できる。2
炭素鋼の状態図を用いて標準組織および機械的性質を説明できる。2
有機材料有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。2
高分子化合物がどのようなものか説明できる。2
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。2
無機材料イオン結合の形成と特徴について理解できる。2
金属結合の形成と特徴について理解できる。2
結晶の充填構造・充填率・イオン半径比などの基本的な計算ができる。2
代表的な非金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。2
代表的な金属元素の単体と化合物の性質を説明できる。2
セラミックス、金属材料、炭素材料、複合材料等、無機材料の用途・製法・構造等について説明できる。1
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。2
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。2
面欠陥である積層欠陥について説明できる。2
ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。2
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。2
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。3
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。2
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。2
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。2
塑性変形におけるすべり変形と双晶変形の特徴について説明できる。2
刃状転位とらせん転位ならびに塑性変形における転位の働きを説明できる。2
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。2
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。2
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。2
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。2

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合802000000100
配点802000000100