有機化学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 有機化学
科目番号 0052 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「有機電子論解説」 井本稔著 (東京化学同人),資料配付,参考書:「簡明化学命名法」 岡田功編 (オーム社),「有機化学の基礎」 MONSON SHELTON 後藤俊夫訳 (東京化学同人)
担当教員 下古谷 博司

到達目標

1.代表的な有機化合物についてIUPAC命名法に基づき構造と名前の変換ができる。
2.σ結合,π結合,混成軌道,ルイス構造などを理解し,有機化合物の反応や性質について説明できる。
3.有機化合物の三次元的な構造がイメージでき,構造異性体や鏡像異性体,その表記法等を理解し,有機化合物の立体化学について説明できる。
4.代表的な官能基に関して,その構造や性質を理解し,それらの官能基についての代表的な反応および反応機構を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1IUPAC の命名法を正確に理解し,構造から名前を,また名前から構造を正確に誘導できる.IUPAC の命名法をほぼ理解し,構造から名前を,また名前から構造をほぼ誘導できる.IUPAC の命名法を理解できない.
評価項目2有機化化合物の種々の結合や構造を理解し,有機化化合物の設計に応用できる.有機化化合物の種々の結合や構造を理解し,有機化合物の反応や性質について説明できる.有機化化合物の種々の結合や構造を理解できず有機化合物の反応や性質について説明できない.
評価項目3有機分子の各種異性体等を理解し,その立体化学を有機化合物の設計に応用できる.有機分子の各種異性体等について理解し,その立体化学を説明できる.有機分子の各種異性体について理解できず,その立体化学を説明できない.
評価項目4代表的な官能基について,その性質や反応等を理解し,有機化合物の設計に応用できる.代表的な官能基について,その性質や反応等を理解し,有機化合物の特徴を説明できる.代表的な官能基について,その性質や反応等を理解できず,有機化合物の特徴を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料分野において,プラスチックで代表される有機材料は有機高分子から構成されており高分子の基礎となるのが有機化学である.授業では,命名法,分子構造,化学的性質,立体化学等の基本的事項を理解し,有機化合物の製法,性質,反応など有機化学に関する専門知識について学ぶ.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は学習・教育目標(B)<専門> に対応する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を2回の中間試験,2回の定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「到達目標」の重みは均等である.合計点の60%の得点で,目標の達成を確認できるレベルの試験を課す.
<学業成績の評価方法および評価基準> 前期中間,前期末,後期中間,学年末の4回の試験の平均点で評価する.ただし,学年末試験と前期末試験を除く2回の試験のそれぞれについて60点に達していない者(無断欠席の者は除く)には再試験を課すこともあり,再試験の成績が該当する試験の成績を上回った場合には,60点を上限としてそれぞれの試験の成績を再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得要件>学業成績で60点以上を習得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本教科は化学の学習が基礎となる教科である.化学で学ぶ基本的な事項を充分に理解していること.また,数学一般についても勉強しておいて欲しい.
<レポート等>なし.
<備考>前半には主として有機化合物の命名法と分子構造など基礎的な事項について解説する.初めて耳にする言葉が多いので毎日復習すること.後半では置換反応など各種反応について解説するので整理して理解してほしい.また,本教科は後に学習する高分子化学,有機材料,高分子機能材料の基礎となる教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 有機化学とは何か
1. アルカン,アルケン,アルキンの命名ができる.
2週 有機化合物の命名法-アルカン- 上記1
3週 有機化合物の命名法-アルケン,アルキン- 上記1
4週 有機化合物の命名法-アルコール,エーテル,アルデヒド- 2. アルコール,エーテル,アルデヒドの命名ができる.
5週 有機化合物の命名法-ケトン,カルボン酸類- 3. ケトン,カルボン酸類の命名ができる.
6週 有機化合物の化学式 4. IUPAC命名法で記された有機化合物を化学式で表せる.
7週 有機化合物の慣用名 5. 代表的な化合物の慣用名がわかる.
8週 前期中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 水素原子と炭素原子 6. s軌道,p軌道および電子配置や各種混成軌道について説明できる.
10週 共有結合と簡単な分子の構造 上記6
11週 二重結合(三重結合)と分子内分極 7. 電気陰性度および分極を説明できる.
12週 I効果とE効果 8. 誘起効果と電子異性効果について説明できる.
13週 共鳴現象 9. 共鳴現象について説明できる.
14週 酸と塩基 10. 酸・塩基の定義や性質をを理解し,化学平衡やpHなどの簡単な計算ができる
15週 化学平衡 上記10
16週
後期
3rdQ
1週 求核置換反応について 11. 求核置換反応について説明できる.
2週 SN1反応とSN2反応 上記11
3週 SNi反応とSN2’反応 上記11
4週 不斉中心と絶対配置 12. 不斉炭素の絶対配置を示すことができる.
5週 二重結合への付加反応 13. 二重結合への付加について説明できる.
6週 トランス付加の機構 14. トランス付加のメカニズムを簡単に説明できる.
7週 二重結合への付加反応に関する法則 15. HXの二重結合への付加反応の法則について説明できる.
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 脱離反応 16. 脱離反応の機構や特徴について説明できる.
10週 ニューマン投影法 17. 化合物の構造をニューマン投影法で表現できる.
11週 シクロヘキサンの立体化学 18. シクロヘキサン等の立体化学について説明ができる.
12週 鏡像異性体とジアステレオマー 19. 異性体について説明ができる.
13週 カルボニル基の化学 20. アセタール化,パーキンの縮合反応,アルドール縮合など種々の反応の機構と特徴を簡単に説明できる.
14週 アルデヒド,ケトンの反応 上記20
15週 カルボン酸,エステルの反応 上記20
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野有機材料有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造と名前の変換ができる。4
σ結合とπ結合について説明できる。4
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4
ルイス構造を書くことができ、それを反応に結びつけることができる。4
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4
構造異性体、幾何異性体、鏡像異性体などについて説明できる。4
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100