材料組織学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 材料組織学
科目番号 0068 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 材料工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「材料系の状態図入門」坂公恭著(朝倉書店)「基礎材料工学」渡邊,斎藤,菅原共著(共立出版)参考書:「図解合金状態図」横山亨(オーム者),「金属組織学」須藤,田村,西澤共著(丸善)その他,材料組織学に関する参考書は図書館に多数ある.
担当教員 万谷 義和,兼松 秀行

到達目標

金属材料の性質を左右する組織を考えるうえで基本となる平衡状態図を理解し,拡散についての基礎的事項を理解し,液相-固相変態および固相-固相変態の基礎的事項を理解し, 熱的条件による金属材料の性質のコントロールに応用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1平衡状態図を理解し,応用することができる.平衡状態図を理解している.平衡状態図を理解していない.
評価項目2拡散についての基礎的事項を理解し,応用することができる.拡散についての基礎的事項を理解している.拡散についての基礎的事項を理解していない.
評価項目3液相-固相変態および固相-固相変態の基礎的事項を理解し,応用することができる.液相-固相変態および固相-固相変態の基礎的事項を理解している.液相-固相変態および固相-固相変態の基礎的事項を理解していない.
評価項目4熱的条件による金属材料の性質のコントロールを行い,応用することができる.熱的条件による金属材料の性質のコントロールを行うことができる.熱的条件による金属材料の性質のコントロールを行うことができない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
材料は,その製造履歴により組織が多様に変化し,それに応じて性質が変化する.この材料の組織を系統的に調べる学問が,材料組織学である.当科目では,基本である平衡状態図を理解した上で,熱的条件下で材料が示す諸性質の変化の機構についての基礎知識を身につけることを目標とする.また,授業で得た知識を材料に関する身近な問題に適用し,問題を解決する力を身につけることをめざす.
授業の進め方・方法:
・全ての内容は,学習・教育目標(B)<専門>に対応する.
・授業は講義形式で行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」は,この授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>「到達目標」の全てを網羅した問題を中間試験,定期試験で出題し,目標の達成度を評価する.評価における各項目の重みは概ね均等とする.評価結果が百点法の60点以上の場合に目標達成とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>前期は中間試験・期末試験の2回の試験の平均点で評価する.原則,再試験は行わない.後期は中間試験・学年末試験80%と課題20%で評価し,これらを総合して最終評価とする.
<単位修得要件>上記基準に従った学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本科目には材料結晶学,微分積分学Ⅰの習得が必要である.
<備考>提出物をすべて提出したうえで,学業成績で60点以上を取得すること.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 平衡状態図に関する基礎的事項(用語, 組成の表し方等) 1. 平衡状態図の基礎的事項を説明できる.
2週 平衡状態図(物質系の平衡状態と相律,1成分系状態図,熱分析) 上記1
3週 2成分系状態図の基礎とてこの法則,2相分離型 2. 2成分系状態図とてこの法則について説明できる.
4週 基礎的な2成分系状態図(全率固溶体型状態図) 上記1,2
3. 全率固溶体型状態図について説明できる.
5週 基礎的な2成分系状態図(共晶型状態図) 上記1,2
4. 共晶型状態図について説明できる.
6週 基礎的な2成分系状態図(共晶型状態図,包晶型状態図) 上記1,2,4
5. 包晶型状態図について説明できる.
7週 その他の状態図 上記1~5
8週 前期中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
2ndQ
9週 中間試験の結果に基づく復習およびFe-C系状態図 6. Fe-C系状態図について説明できる.
10週 Fe-C 系状態図 上記6
11週 2成分系状態図の作成および演習問題 上記1~6
12週 3成分系状態図(濃度表示法,全率固溶体型) 7. 3成分系状態図について説明できる.
13週 3成分系状態図(濃度表示法,全率固溶体型) 上記7
14週 3成分系状態図(3相共存型) 上記7
15週 3成分系状態図(4相共存型) 上記7
16週
後期
3rdQ
1週 2成分系合金の自由エネルギー 8. 2成分系合金の自由エネルギーについて説明できる.
2週 2成分系合金の自由エネルギー 上記9
3週 自由エネルギー曲線と状態図 9. 自由エネルギー曲線と状態図の関係について説明できる.
4週 状態図のまとめ 上記1~8
5週 拡散(金属結晶中の原子の拡散機構,フィックの拡散法則)  9. 金属中の原子の拡散について説明できる.
6週 拡散(金属結晶中の原子の拡散機構,フィックの拡散法則,フィックの第2法則の解) 10. フィックの拡散法則について説明できる.
7週 拡散(フィックの第2法則の解) 上記10
8週 後期中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる.
4thQ
9週 拡散(相互拡散係数,カーケンドール効果) 11. 相互拡散係数について説明できる.
10週 拡散(拡散係数の温度変化),拡散のまとめ 12. 拡散係数の温度変化について説明できる.
11週 相変態(純金属の凝固,均質核生成,不均質核生成) 13. 相変態の基礎事項について説明できる.
12週 相変態(合金の一方向凝固)  上記13
13週 相変態(合金の一方向凝固,共晶凝固) 14. 合金の一方向凝固や共晶凝固について説明できる.
14週 相変態(析出,共析) 15. 析出や共析について説明できる.
15週 相変態(マルテンサイト変態) 16. マルテンサイト変態について説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料組織ギブスの相律から自由度を求めて系の自由度を説明できる。4
純金属の凝固過程での過冷却状態、核生成、結晶粒成長の各段階について説明できる。4
2元系平衡状態図上で、てこの原理を用いて、各相の割合を計算できる。4
全率固溶体型の状態図を、自由エネルギー曲線と関連させて説明できる。4
共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。4
包晶型反応の状態図を用いて、一般的な包晶組織の形成過程について説明できる。4
格子間原子型および原子空孔型の拡散機構を説明できる。4
拡散係数の物理的意味を説明できる。4
回復機構および回復に伴う諸特性の変化を説明できる。4
再結晶粒の核生成機構および優先核生成場所を説明できる。4
自由エネルギーの変化を利用して、相変態について説明できる。4
共析変態で生じる組織を描き、相変態過程を説明できる。4
マルテンサイト変態について結晶学的観点からの相変態の特徴を説明できる。4
物理化学内部エネルギー、熱、仕事の符号の規則を説明でき、膨張の仕事を計算できる。4
エンタルピーの定義およびエンタルピーが状態量であることを説明できる。4
標準生成エンタルピーの物理的意味を理解し、反応エンタルピーを計算できる。4
定圧熱容量と定容熱容量の関係式が導出できる。4
エントロピーの定義を理解し、不可逆過程におけるエントロピー生成について説明できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合180200000200
配点(前期)10000000100
配点(後期)80200000100