金属材料

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 金属材料
科目番号 0069 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:「機械・金属材料学」黒田大介編(実教出版)参考書:「材料系の状態図入門」坂公恭著(朝倉書店)「基礎材料工学」渡邊,斎藤,菅原共著(共立出版)「図解合金状態図」横山亨(オーム者),「金属組織学」須藤,田村,西澤共著(丸善)その他,材料組織学に関する参考書は図書館に多数ある.
担当教員 兼松 秀行

到達目標

金属材料の性質を左右する組織を考えるうえで基本となる平衡状態図を鉄鋼材料を例に取り理解し,銅およびその合金,ニッケル及びその合金,コバルト及びその合金,すず,なまり,亜鉛及びその合金の基礎を理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1金属材料の結晶構造と物性との関係を理解し応用できる.金属材料の結晶構造と物性との関係を理解できる.金属材料の結晶構造と物性との関係を理解できない.
評価項目2鉄鋼材料の平衡状態図と組織の関係を理解し応用できる.鉄鋼材料の平衡状態図と組織の関係を理解できる.鉄鋼材料の平衡状態図と組織の関係を理解できない.
評価項目3銅,ニッケル,コバルト,亜鉛,すず,鉛について性質,用途,問題点を理解し応用できる.銅,ニッケル,コバルト,亜鉛,すず,鉛について性質,用途,問題点を理解できる.銅,ニッケル,コバルト,亜鉛,すず,鉛について性質,用途,問題点を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属材料は,無機材料,有機材料と並んで,ものづくりの基本となる材料の種類や基本的な性質を知る学問である.この材料の組織を系統的に調べる学問が,材料組織学である.当科目では,基本である平衡状態図を理解した上で,熱的条件下で材料が示す諸性質の変化の機構についての基礎知識を身につけることを目標とする.また,授業で得た知識を材料に関する身近な問題に適用し,問題を解決する力を身につけることをめざす.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育目標(B)<専門>JABEE基準1.1(d)(2)a)に相当する.
・授業は,講義形式で行われる.適宜演習を行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>上記の「知識・能力」1~12を網羅した問題を課題(レポート),中間試験,期末試験で出題し,目標の達成度を評価する.達成度評価における各「知識・能力」の重みは概ね均等とし,評価結果が100点法で60点以上の場合に目標の達成とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>中間・期末試験結果の平均点を80%,レポートや小テストを20%で評価する.レポート,小テストはあらかじめLMS(blackboard)上に掲示し,自宅学習により理解を進める.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本科目には材料結晶学,微分積分学Ⅰの習得が必要である.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(レポート作成のための学習も含む)に必要な標準的な学習時間の総計が,45時間に相当する学習内容である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 この授業の進め方・構造材料としての金属材料 授業の進め方が理解できる.構造材料としての金属材料の概念を理解できる.
2週 結晶構造とミラー指数 結晶構造とミラー指数が理解できる.
3週 格子欠陥 点欠陥である空孔,格子間原子,置換原子などを区別して説明できる.
4週 金属材料の強化機構 加工硬化,固溶硬化,析出硬化,分散硬化の原理を説明できる.
5週 平衡状態図と金属材料 物質系の平衡状態について,安定状態,準安定状態,不安定状態を説明できる.
6週 Fe-C系状態図 合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる.
7週 炭素鋼の熱処理 炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる.
8週 中間試験 これまでに学習した内容を説明し,諸量を求めることができる。
4thQ
9週 恒温変態と連続冷却変態 炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる.
10週 純銅の性質 純銅の強度的特徴,物理的,化学的性質について説明できる.
11週 銅合金の種類と性質
銅合金の特徴,実用銅合金の種類,用途を説明できる.
12週 ニッケルおよびその合金の性質 ニッケルおよびその合金の特徴,実用ニッケル合金の種類,途を説明できる.
13週 コバルトおよびその合金の性質 コバルトおよびその合金の特徴,実用ニッケル合金の種類,用途を説明できる.
14週 ニッケル基、コバルト基の高温材料および磁性材料とその特色 高温材料の特徴を説明し,ニッケル基,コバルト基の耐熱性および磁性を具体的に説明できる.
15週 すず,鉛,なまりとその合金の種類と性質 すず,なまり,亜鉛とその合金の特徴を説明し,具体的な実用合金について説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性結晶系の種類、14種のブラベー格子について説明できる。3
ミラー指数を用いて格子方位と格子面を記述できる。3
代表的な結晶構造の原子配置を描き、充填率の計算ができる。3
金属材料炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。3後1,後3,後9
炭素鋼の恒温変態(T.T.T.)曲線と連続冷却変態(C.C.T.)曲線の読み方とこれらの相違を説明できる。3後10
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。3
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。3後12,後13
合金鋼の状態図の読み方を利用して炭化物の種類や析出挙動を説明できる。3後6,後10
純銅の強度的特徴、物理的、化学的性質について説明できる。4後10
黄銅や青銅について、その成分および特徴を理解し、適切な合金を応用できる。4後11
材料組織点欠陥である空孔、格子間原子、置換原子などを区別して説明できる。4
線欠陥である刃状転位とらせん転位を理解し、変形機構と関連して説明できる。4後10
面欠陥である積層欠陥について説明できる。4
物質系の平衡状態について、安定状態、準安定状態、不安定状態を説明できる。4後6,後10
加工硬化、固溶硬化、析出硬化、分散硬化の原理を説明できる。4後6,後10
再結晶粒の成長機構を説明できる。4後10,後12

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合80200000100
配点80200000100