量子力学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 量子力学
科目番号 0145 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 材料工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「アトキンス物理化学(上)」 千原,中村訳 (東京化学同人)
担当教員 和田 憲幸

到達目標

量子(電子,原子および分子)が持つ粒子性と波動性, 並進,回転,振動およびトンネル効果,水素原子近似によって電子のエネルギーやイオン化エネルギーを求め,電子遷移について理解できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1量子力学が適応できる範囲を理解した上で,シュレーディンガー方程式から量子(電子,原子および分子)が持つ粒子性と波動性, 並進,回転,振動およびトンネル効果,水素原子近似によって電子のエネルギーおよびイオン化エネルギーを数式を誘導でき,電子遷移を説明でき,それらの諸問題が解ける.量子力学が適応できる範囲を理解した上で,量子(電子,原子および分子)が持つ粒子性と波動性, 並進,回転,振動およびトンネル効果,水素原子近似によって電子のエネルギーおよびイオン化エネルギーの数式を示せ,電子遷移を簡単に説明できる.量子力学が適応できる範囲を理解できず,量子(電子,原子および分子)が持つ粒子性と波動性, 並進,回転,振動およびトンネル効果,水素原子近似によって電子のエネルギーおよびイオン化エネルギーの数式を使って説明も出来ず,電子遷移についても説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
量子力学は,物質を構成している量子(原子,電子および分子)の並進,振動,回転,電子のエネルギー状態をシュレーディンガー方程式を基にして,物理数学的表現を用いて理解する科目である.この科目は,統計熱力学で取り扱った並進,振動,回転,電子のエネルギー状態の基になるエネルギーを導き,その基礎を深める.また,それらが関与するトンネル効果,電子遷移および分光分析の原理などへの応用についても検討する.
授業の進め方・方法:
・すべての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は,質問を受け付けながら,理解の度合いを確認できる演習を含め,講義形式で進める.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を課題および定期試験で出題し,目標の到達度を評価する.授業計画の「到達目標」に関する重みは概ね均等とし,課題および試験は100点法により60点以上の得点で目標の到達を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>課題(50%)および末試験(50%)で評価する.なお,末試験の再試験は行われない.
<単位修得条件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>数学の微分・積分(重積分を含む)三角関数,指数関数を理解している必要がある.本教科は微視的な立場の力学で,巨視的な立場の熱力学と統計熱力学を通じて結びつけることができるため,熱力学と統計熱力学についても理解しておくことが望ましい.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)及び適時与える演習問題のレポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が,45時間に相当する学習内容である.
<備考>数式の背景にある物理的意味を理解することが重要である.また,本教科は後に学習する基礎電子化学(専攻科)の基礎となる教科である.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 量子力学とシュレーディンガー方程式 1. 量子が持つ波動性と粒子性を理解し,量子力学が必要な分野を理解している.
2週 シュレーディンガー方程式と自由電子 2. シュレーディンガー方程式から自由電子の運動エネルギーを求められる.また,伝導電子についても理解できる.
3週 井戸型ポテンシャルと1次元並進運動 3. シュレーディンガー方程式から量子の並進運動のエネルギーと波動関数を求められる.
4週 井戸型ポテンシャルと1次元並進運動 上記3
5週 平面および箱の中の量子の並進運動 上記3
6週 トンネル効果 4. トンネル効果を数式を用いて理解している.
7週 トンネル効果 上記4
8週 分子の振動,調和振動とエネルギー 5. シュレーディンガー方程式から調和振動のエネルギーを求められる.
2ndQ
9週 分子の振動,調和振動とエネルギー 上記5
10週 2原子分子の回転運動とエネルギー 6. シュレーディンガー方程式から2原子分子の回転エネルギーを求められる.
11週 水素原子近似 7. シュレーディンガー方程式から,水素原子および水素類似原子の最外殻電子のエネルギーまたはイオン化エネルギーが求められる.
12週 水素原子近似 上記7
13週 水素原子近似とイオン化エネルギー 上記7
14週 電子遷移と光の吸収と放射 8. 電子遷移と電子線の吸収と放射について理解できる.
15週 演習による復習 上記1~8
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学材料系分野材料物性ボーアの水素原子模型を用いて、エネルギー準位を説明できる。4
4つの量子数を用いて量子状態を記述して、電子殻や占有する電子数などを説明できる。4
周期表の元素配列に対して、電子配置や各族および周期毎の物性の特徴を関連付けられる。4
電子が持つ粒子性と波動性について、現象を例に挙げ、式を用いて説明できる。4
量子力学的観点から電気伝導などの現象を説明できる。4

評価割合

課題試験合計
総合評価割合5050100
配点5050100