化学実験,組織観察,材料試験など材料工学に関する基礎的な事項(専門用語,代表的な実験方法)を実験実習により理解し,実験方法,実験誤差の検討,データ解析法を習得し,理論的なレポートをまとめて報告することが出来る.
概要:
材料工学実験全般では実験記録の記入法,報告書のまとめ方,データ整理,誤差,有効数字を学び,実際の化学実験では薬品の取り扱い,ガラス器具の取り扱い,溶液の調整法および評定法,中和滴定法,無機合成法,有機合成法,クロマトグラフィー,吸収分光法,金属材料実験では組織観察法,状態図の作製法,温度制御,材料特性実験では引張試験,硬さ試験,示差熱分析,熱膨張測定,電気抵抗測定を実際に操作して測定法の理解を深める.
授業の進め方・方法:
・授業内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>および<展開>に対応する.
・ガイダンスおよび実験のまとめを除き,クラスを4班に分けて,前期はテーマ(1),(2)を2班同時に,テーマ(3)および(4)を各1班で行い,後期はテーマ(5)~(8)を各1班で同時に行う.そのため,班によって授業計画の週と異なるテーマの週を行う.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」1〜26をレポートの内容により評価する.評価に関する各項目の重みは同じである.満点の60%の得点で,目標の達成を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>各実験テーマのレポートを10点満点で採点し,その合計点を100点満点に換算し評価を行う.
<単位修得要件>全ての実験テーマのレポートを提出し,学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>本実験は, 材料工学科第3年次までに学習・修得した材料工学実験, 機械工作法, ものづくり実習, 基礎材料学の知識, 技術を基礎とする科目である. これらの既習の事項は,しっかりと復習しておくこと.
<レポートなど>レポートは,各自が所定の書式により,所定の期日までに提出すること.
<備考>(1)予め実験指導書をよく読んでおくこと,(2)作業服(上・下)を着用すること,(3)保護めがねの着用,(4)運動靴等を履く,(5)実験実習安全必携および実験ノートを持参すること,(6)欠席および遅刻はしないこと.本実験は, 創造工学, 卒業研究, 応用物質工学実験(専攻科)および特別研究(専攻科)の基礎となる知識・技術を学習・修得する科目である.
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス(安全教育) |
1. 実験,実習時の安全,安全行動を理解できる.
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2週 |
ガイダンス(実験概要説明) |
上記1
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3週 |
(1)化学実験-基礎- ①実験ノート,レポートの書き方 |
2. 実験記録の記入法や報告書のまとめ方を理解できる.
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4週 |
②薬品の取り扱い方法と注意事項 |
3. 薬品の取り扱いの諸注意を理解できる.
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5週 |
③ガラス器具の使い方と洗浄方法 |
4. ガラス器具の取り扱いの諸注意を理解できる.
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6週 |
(2)化学実験-分析化学- ①0.1 mol/LのHCl水溶液の調製と評定 |
5. 酸性溶液の調製と評定法を理解できる.
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7週 |
②0.1 mol/LのNaOH水溶液の調製と評定 |
6. 塩基性溶液の調製と評定法を理解できる.
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8週 |
③食酢中の酢酸の中和滴定 |
7. 中和滴定法を理解できる.
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2ndQ |
9週 |
(3)光学顕微鏡を用いたミクロ組織観察 ①金属材料の研磨 |
8. 金属材料の組織観察法を理解できる.
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10週 |
②鉄鋼材料の組織観察 |
9. 鉄鋼材料の組織観察法を理解できる.
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11週 |
③非鉄金属の組織観察 |
10. 非鉄金属材料の組織観察法を理解できる.
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12週 |
(4)熱分析によるPb-Sn二元系状態図の作成 ①Pb-Sn合金(亜共晶)の熱分析 |
11. 亜共晶の冷却曲線を理解できる.
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13週 |
②Pb-Sn合金(過共晶)の熱分析 |
12. 過共晶の冷却曲線を理解できる.
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14週 |
③Pb-Sn合金(共晶)の熱分析 |
13. 共晶の冷却曲線を理解できる. 14. 亜共晶,過共晶および共晶の冷却曲線から,共晶型の状態図が作成できる.
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15週 |
実験のまとめ |
上記1~14
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
ガイダンス(実験概要説明) |
上記1
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2週 |
(5)材料試験 ①引張試験 |
15. 引張試験の手順とデータ整理の方法を理解できる.
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3週 |
②衝撃試験 |
16. 衝撃試験の手順とデータ整理の方法を理解できる.
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4週 |
③各種硬さ試験 |
17. 各種硬さ試験の手順とデータ整理の方法を理解できる
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5週 |
(6)材料特性評価 ①示差熱分析 |
18. 示差熱分析による相変態点の測定法を理解できる.
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6週 |
②熱膨張測定 |
19. 熱膨張測定による相変態点の測定法を理解できる.
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7週 |
③電気抵抗の温度依存性 |
20. 金属(伝導体)の電気抵抗の温度依存性を理解できる.
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8週 |
実験のまとめ |
上記15~20
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4thQ |
9週 |
(7)化学実験-無機化学- ①ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物の合成 |
21. 無機合成法とそれに用いる器具の使い方を理解できる.
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10週 |
②ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物の生成 |
22. 無機化合物の精製法を理解できる.
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11週 |
③ヘキサアンミンコバルト(III)塩化物の物性評価 |
23. 無機化合物の耐熱性,耐アルカリ性,吸収分光法による溶液の着色を理解できる.
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12週 |
(8)化学実験-有機化学- ①アセトニトリドの合成 |
24. 有機合成法の基本操作を理解できる.
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13週 |
②アセトニトリドの精製 |
25. 有機化合物の精製法を理解できる.
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14週 |
③有機化合物の薄層クロマトグラフィー分析 |
26. クロマトグラフィー法を理解できる.
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15週 |
実験のまとめ |
上記21~26
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 材料系分野 | 金属材料 | 炭素鋼の焼なましと焼ならしについて冷却速度の違いに依存した機械的性質の変化を説明できる。 | 3 | |
炭素鋼の焼入れの目的と得られる組織、焼入れによる機械的性質の変化を説明できる。 | 3 | |
焼入れた炭素鋼の焼戻しの目的とその過程に関する知識を活用し、焼入れ焼き戻しによる機械的性質の変化を説明できる。 | 3 | |
材料組織 | 共晶型反応の状態図を用いて、一般的な共晶組織の形成過程について説明できる。 | 4 | |
降伏現象ならびに応力-歪み曲線から降伏点を求めることができる。 | 3 | |
力学 | 荷重と応力、変形とひずみの関係について理解できる。 | 3 | |
応力-ひずみ曲線について説明できる。 | 3 | |
フックの法則を用いて、縦弾性係数(ヤング率)、応力およびひずみを計算できる。 | 2 | |
分野別の工学実験・実習能力 | 材料系分野【実験・実習能力】 | 材料系【実験実習】 | 実験・実習の目標と心構えを理解し実践できる。 | 4 | |
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し実践できる。 | 4 | |
レポートの書き方を理解し、作成できる。 | 4 | |
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し計測できる。 | 4 | |
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し計測できる。 | 4 | |
金属材料実験、機械的特性評価試験、化学実験、分析実験、電気工学実験などを行い、実験の準備、実験装置および実験器具の取り扱い、実験結果の整理と考察ができる。 | 4 | |
光学顕微鏡や電子顕微鏡などで材料を観察し、組織について評価することができる。 | 4 | |
硬さ試験機や万能試験機などを用いて、材料の強度特性を評価できる。 | 4 | |
実験の内容をレポートにまとめることができ、口頭での説明またはプレゼンテーションができる。 | 4 | |