技術者倫理入門

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 技術者倫理入門
科目番号 0175 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 材料工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:松島隆裕『技術者倫理』学術図書出版,2004年. 参考図書:小出泰士『JABEE対応 技術者倫理入門』丸善 2010年。中村昌允『技術者倫理とリスクマネジメント 事故はどうして防げなかったのか?』オーム社、2012年。日本技術士会登録技術者倫理研究会監修. 田岡直規・水野朝夫・橋本義平『技術者倫理 日本の事例と考察 問題点と判断基準を探』丸善出版,2012年. その他授業中適宜指示する.
担当教員 笹岡 伸矢

到達目標

科学の歴史を理解し,技術者に求められる倫理観の概要と法律の基礎的知識,安全性とリスクや知的財産権について理解している。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1技術者のなすことが,社会的実験であることを理解し,社会や自然に及ぼす影響や効果を応用的に認識する.技術者のなすことが,社会的実験であることを理解し,社会や自然に及ぼす影響や効果を基本的に認識する.技術者のなすことが,社会的実験であることを理解し,社会や自然に及ぼす影響や効果を認識できない.
評価項目2技術者はチームワークに配慮し,安全操業,リスクマネージメントが,どのようにすれば可能かを応用的に理解する.技術者はチームワークに配慮し,安全操業,リスクマネージメントが,どのようにすれば可能かを基本的に理解する.技術者はチームワークに配慮し,安全操業,リスクマネージメントが,どのようにすれば可能かを理解できない.
評価項目3法令の存在理由,その遵守の必然性を応用的に納得する.中でも製造物責任法を応用的に理解する. 法令の存在理由,その遵守の必然性を基本的に納得する.中でも製造物責任法を基本的に理解する. 法令の存在理由,その遵守の必然性を納得する.中でも製造物責任法をよく理解できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
技術者として社会生活を送る上で必要となる基礎知識や技術者はどうあるべきか等について色々な角度から講義する.
授業の進め方・方法:
<授業の内容>
すべての内容は学習・教育到達目標(A)の<技術者倫理>とJABEE基準1.1(b)に相当する.
・授業は講義形式で行う.講義中は集中して聴講する.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した期中のレポート(30%)と定期試験(60%)、そして小テスト(10%)を実施して目標の達成度を評価する.各「到達目標」に関する重みは概ね均等とする.
<学業成績の評価方法および評価基準>期中のレポートと期末試験、そして小テストの結果を成績とする.60点に達していない者には再試験をする.
<単位修得要件>レポートと期末試験、小テストの結果によって、学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>「倫理・社会」で学んだ基礎知識が必要である.
<備考>その都度取り上げる参考文献は目を通しておくことが望ましい.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション、技術者倫理を学ぶ意義 1.技術者が学ぶべき倫理の問題を理解できる.
2週 古代・中世・近代科学史 2.古代から近代にかけての科学史の流れを理解できる.
3週 20世紀と科学 3.20世紀における科学の諸問題を理解できる.
4週 現代と倫理の問題 4.現代において科学の発展とともに発生している様々な問題を理解できる.
5週 地域・国際社会と技術者 5.地域の課題及び国際的問題の解決に向けた技術者の取り組みを理解できる.
6週 工学と倫理 6.科学者・技術者の具体的な取り組みを理解できる.
7週 事例を学ぶ:重大事故の教訓 7.様々な具体的事例について理解できる.
8週 技術者のアイデンティティ 8.技術者とはどういう存在であるのかについて理解できる.
2ndQ
9週 説明責任 9.技術者が負うべき説明責任はあるのかを理解できる.
10週 製造物責任 10.製造物責任を理解できる.
11週 リスクとヒューマンエラー 11.リスクとヒューマンエラーを理解できる
12週 内部告発 12.内部告発を理解できる.
13週 知的財産権 13.知的財産権について理解できる.
14週 予防原則 14.予防原則について理解できる.
15週 事例を学ぶ:ナイロンザイル事件 15.具体的事例として、ナイロンザイル事件について理解できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。3
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。3
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。3
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3
目標の実現に向けて計画ができる。3
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3
法令やルールを遵守した行動をとれる。3
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3
企業には社会的責任があることを認識している。3
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3

評価割合

試験レポート小テスト態度発表その他合計
総合評価割合603010000100
配点603010000100