材料物理学

科目基礎情報

学校 鈴鹿工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 材料物理学
科目番号 0021 科目区分 専門 / 選択必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合イノベーション工学専攻(環境・資源コース) 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:ノート講義,参考書:「物性科学」坂田亮著(培風館),「金属物理学序論」幸田成幸著(コロナ社)
担当教員 日原 岳彦

到達目標

金属材料の主要な結晶構造を理解して結晶面と方位を表すことができ,その格子振動の分散関係や空孔など格子欠陥の形成エネルギーと熱平衡濃度の理論的取扱いを理解するとともに,結晶中の電子の分散関係,フェルミエネルギー,状態密度を説明でき,フェルミエネルギーを金属結合の凝集エネルギーと結びつけて考えることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1結晶における格子定数,格子面間隔,方位,ミラー指数などの関連を理解してそれらを計算で求めることができる結晶における格子定数,格子面間隔,方位,ミラー指数などの関連を理解している結晶における格子定数,格子面間隔,方位,ミラー指数などの関連を理解していない
評価項目2格子振動の分散関係,固体の比熱,空孔の形成エネルギーおよび空孔濃度,拡散のフィックの法則などを求める方法を理解し、計算できる。格子振動の分散関係,固体の比熱,空孔の形成エネルギーおよび空孔濃度,拡散のフィックの法則などを求める方法を理解している格子振動の分散関係,固体の比熱,空孔の形成エネルギーおよび空孔濃度,拡散のフィックの法則などを求める方法を理解していない
評価項目3結晶中の電子の分散関係,フェルミエネルギー,状態密度を理解してそれらを導出し,計算できる.結晶中の電子の分散関係,フェルミエネルギー,状態密度を理解できる.結晶中の電子の分散関係,フェルミエネルギー,状態密度を理解できない
評価項目4フェルミエネルギーと凝集エネルギーの関係を理解し,金属結合と結びつけて説明できる.金属結合と凝集エネルギーを説明できる.金属結合と凝集エネルギーを説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
金属材料の結晶構造における面と方位の表現方法を習得し,金属結晶の格子振動と比熱,空孔濃度や拡散などの熱物性,ならびに,電子の分散関係,フェルミエネルギーと状態密度などの電子物性を通して,総合的な視点から金属結合の理解を深めることをねらいとする.
授業の進め方・方法:
・全ての内容は,学習・教育到達目標(B)<専門>に対応する.
・授業は,質問を受け付けながら,理解の度合いを確認できる演習を含め,講義形式で進める.
・「授業計画」における各週の「到達目標」はこの授業で習得する「知識・能力」に相当するものとする.
注意点:
<到達目標の評価方法と基準>下記授業計画の「到達目標」を網羅した問題を中間試験および定期試験で出題し,目標の到達度を評価する.授業計画の「到達目標」に関する重みは概ね均等とし,試験は100点法により60点以上の得点で目標の到達を確認する.
<学業成績の評価方法および評価基準>求められたすべてのレポートの提出をしていなければならない.学業成績の評価は中間・期末の2回の試験の平均点で評価する.ただし,中間試験で60点に達しなかったものについては再試験を行い(無断欠席の者を除く),60点を上限として再試験の成績で置き換えるものとする.
<単位修得条件>学業成績で60点以上を取得すること.
<あらかじめ要求される基礎知識の範囲>微分・積分を理解し,使いこなせること.また,量子力学を理解していることが望ましい.
<自己学習>授業で保証する学習時間と,予習・復習(中間試験,定期試験のための学習も含む)及びレポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.
<備考>本教科は,物質の物性・機能に関する科目(本科で学んだ弾・塑性学,機能材料,界面化学,素形材工学,材料保証学,今後もしくは同時に学ぶ物性工学,電子材料特論,有機材料工学,材料強度工学,電気理論特論など)の1つである.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業の概要,金属材料の結晶構造 1.金属材料の結晶構造について理解している.
2週 結晶の方位と面の表し方 1. 金属結晶の方位と面を表すことができる.
3週 格子振動とフォノンの分散関係 2. 格子振動とフォノンの分散関係を理解している.
4週 固体の比熱について 2. 固体の比熱について理解している.
5週 点欠陥の種類:原子空孔,不純物原子,空孔の熱平衡濃度 3. 実在結晶に含まれる欠陥と,空孔の熱平衡濃度を理解している.
6週 拡散のフィックの法則 4. 拡散のフィックの法則を理解している.
7週 拡散係数の物理的意味と拡散の活性化エネルギー 4. 拡散係数の物理的意味を理解し,拡散の活性化エネルギーを用いた計算ができる.
8週 中間試験
4thQ
9週 自由電子と結晶中の電子の分散関係 5. 自由電子と結晶中の電子の分散関係の違いを説明できる.
10週 周期ポテンシャル中の電子波の回折 5. 周期ポテンシャル中の電子波の回折を理解している.
11週 ブリュアン領域とエネルギー・ギャップ 5. ブリュアン領域とエネルギー・ギャップの関係を説明できる.
12週 フェルミ・エネルギー 6. フェルミ・エネルギーを導出できる.
13週 電子の状態密度 6. 電子の状態密度を理解し,導出できる.
14週 フェルミ波数とフェルミ面 6. フェルミ波数とフェルミ面の関係を理解している.
15週 金属結合と凝集エネルギー 7. 金属結合を説明できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題相互評価態度発表その他合計
総合評価割合10000000100
配点10000000100