宗教と「こころ」Ⅰ

科目基礎情報

学校 舞鶴工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 宗教と「こころ」Ⅰ
科目番号 0202 科目区分 一般 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 一般科目 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:(a)『倫理』検定教科書 (b)『コンプレックス』(岩波新書)(ともに,3年時購入済) 教材:プリント(配布プリントに沿って授業を進める。) 参考書:島薗進『いのちを“つくって"もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義』NHK出版,葛西賢太『断酒が作り出す共同性』世界思想社,松本雅彦『日本の精神医学 この50年』みすず,丸山圭三郎『言葉とは何か』ちくま学芸文庫,細谷昌志・藤田正勝編『新しい教養のすすめ・宗教学』昭和堂。さらに意欲のある学生には,井筒俊彦『意識と本質』岩波文庫とエレンベルガー『無意識の発見』弘文堂の2冊の熟読を強く薦める。 なお,社会制度や風俗の変化や科学技術の進展に応じて,時事的資料を授業で追加資料プリントとしてその都度,配布するとともに,参考書も随時紹介していく。なお,授業全体の概要は拙論「癒しにおける聖なる次元と全体性」(URL:http://ir.lib.osaka-kyoiku.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/3033/1/kaken13410010.pdf)を参照されたい。
担当教員 垂谷 茂弘

到達目標

1 生命倫理の諸問題を説明することができる。
2 現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。
3 臨床心理学の役割について説明できる。
4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生命倫理の諸問題を説明することができる。生命倫理の諸問題を理解できる。生命倫理の諸問題を理解できない。
評価項目2現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割をすることが理解できる。現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を理解できない。
評価項目3臨床心理学の役割について説明できる。臨床心理学の役割について理解できる。臨床心理学の役割について理解できない。
評価項目4現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。現代哲学のさまざまな問題意識を理解できる。現代哲学のさまざまな問題意識を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (E) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (F) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
【授業目的】 本講義では,根本テーマとして「癒し」を考察する。それによって,日常生活に存在する矛盾,理不尽から,「いのち」の根元につきまとう「喪失」の苦悩にいたるまで,人間生活全般に及ぶ「cura animarum(魂への配慮,魂の救済,司牧,牧会)」を問うことが可能となる。
【Course Objectives】 In this course, we consider "healing" as a fundamental theme on human nature. The aim is to understand "a cure of souls(Seelsorge)" ranging from unreasonablenesses or contradictions in our daily life to the fundamental question of "loss" in life itself.
授業の進め方・方法:
【授業方法】 配布する資料・レジュメに沿って説明する。時事ニュースや日常の出来事に関連づけるべく,現代社会で発生している諸事象・諸問題の時代背景や「近代」を批判する現代思想を説明・解説する。学生諸君の方でも,日々の生活見つめ直し,抱いた疑問を授業にフィードバックさせてほしい。
【学習方法】 1.授業のはじめに,前回の授業内容とその日の学習事項・ポイントを確認する。 2.「自己理解」に役立つよう,様々な問題を自分に引きつけて自らの問題として考え講義を受ける。 3.学生各人は,質問に積極的に答えるとともに,自ら積極的に質問し,授業に主体的に参加するように努める。
注意点:
【定期試験の実施方法】 前期末,後期末2回の試験を実施する。時間は50分とする。持ち込みは(電子機器類以外は)前期末は可とする(後期末は持ち込み不可)。
【成績の評価方法・評価基準】 定期試験の成績(60%)と小論文(40%)で評価する。小論文は,前・後期それぞれ,前期中間前,冬休み明けに提出する。 なお,成績の評価基準は,到達目標の各項目について「ルーブリック」に示している。
【履修上の注意】 新聞,テレビなど,常に時事ニュースに関心をもち情報リテラシーを鍛える。
【学生へのメッセージ】 人間精神を巡る科学の展開は錯綜した歴史をもっている。学としての心理学も脳科学もけっして長い歴史をもつわけではない。しかし,現代において,ゲーム的気張らしから深刻な生の意味の喪失や異常にみえる犯罪にいたるまで,幅広い領域で心理学も脳科学も話題にのぼることが多くなった。その勢力範囲の拡大はとどまるところを知らないかのようである。他方,伝統宗教が,文化遺産,観光,法要の一端としてではなく,生誕から死に至るまで,人間生活全般に関わることは少なくなった。各地域の寺社が,その土地,土地の文化共同体の中心であったことは,遠い昔の物語でしかない。本講義で,「癒し」の考察によって,宗教と心理(学)の根元的な相互内在的関係,(文化流行とは区別された)「スピリチュアリティ(霊性)」の意味を考え,伝統宗教衰退と心理学や脳科学流行の背景に,何があるかを探りたい。社会学的,歴史的背景にまで及ぶ幅広い領域を考察するが,つねに自分を取り巻く身近な心理現象と無関係ではないことを念頭に置き,自分自身の身に引きつけて,自分自身の問題として考えていってもらえれば,興味は尽きることはないはずである。
【教員の連絡先】研究室 B棟3階(B-307) 内線電話 8909
e-mail: tarutaniアットマークmaizuru-ct.ac.jp (アットマークは@に変えること。)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバス内容の説明,導入(「癒し,スピリチュアリティ」という概念) 1 生命倫理の諸問題を説明することができる。
2 現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。
2週 WHOのhealth定義改正案,ソンダースの「癒し」の四側面 1 生命倫理の諸問題を説明することができる。
2 現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。
3週 現代の前提としての近代科学・近代社会の成立 1 生命倫理の諸問題を説明することができる。
2 現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。
4週 現代の特徴(大衆,疎外) 2 現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。
3 臨床心理学の役割について説明できる。
5週 AAとスピリチュアリティ 2 現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。
3 臨床心理学の役割について説明できる。
6週 内観とスピリチュアリティ 2 現代社会におけるスピリチュアリティに関する役割を説明することができる。
3 臨床心理学の役割について説明できる。
7週 「他者」論 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
8週 前期中間試験(小論文提出:修正後,最終〆切は7月10日)
2ndQ
9週 実存思想 ①本質と実存 ②キルケゴール 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
10週  ③ニーチェ 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
11週  ④ヤスパース,サルトル 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
12週  ⑤ハイデッガー 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
13週 近代批判 ①フランクフルト学派 ②レヴィ=ストロース 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
14週  ③フーコー 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
15週 功利主義,自由・平等 4 現代哲学のさまざまな問題意識を説明できる。
16週 前期期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。1前3,前4,前7,前9,前10
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。1

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60000400100
基礎的能力60000400100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000