熱力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 舞鶴工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 熱力学Ⅱ
科目番号 0183 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 岐美 格・奥野純平・牧野州秀共著 「工業熱力学」 森北出版 
担当教員 野毛 宏文

到達目標

1 エントロピーの定義を理解し,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。
2 サイクルをT-s線図で表現できる。
3 カルノーサイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる。
4 エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
5 水の等圧蒸発過程を説明できる。液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。
6 蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
7 飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。
8 火力発電の原理について理解し,火力発電主要設備を説明できる。熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
9 原子力発電の原理について理解し、原子力発電主要設備を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1エントロピーの定義を理解し,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を十分に説明できる。エントロピーの定義を理解し,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。エントロピーの定義を理解できなく,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できない。
評価項目2サイクルをT-s線図で十分に表現できる。サイクルをT-s線図で表現できる。サイクルをT-s線図で表現できない。
評価項目3カルノーサイクルの状態変化を十分に理解し,熱効率を正確に計算できる。カルノーサイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる。カルノーサイクルの状態変化を理解できなく,熱効率を計算できない。
評価項目4エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が十分に理解できている。エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できる。エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できない。
評価項目5水の等圧蒸発過程を十分に説明できる。液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を正確に計算できる。水の等圧蒸発過程を説明できる。液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。水の等圧蒸発過程を説明できない。液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できない。
評価項目6蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から十分に読み取ることができる。蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができない。
評価項目7飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を正確に計算できる。飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できない。
評価項目8火力発電の原理について十分に理解し,かつ火力発電主要設備を十分に説明できる。熱効率向上の対策や工夫が理解できる。火力発電の原理について理解し,火力発電主要設備を説明できる。熱効率向上の対策や工夫が理解できる。火力発電の原理について理解できなく,火力発電主要設備も説明できない。熱効率向上の対策や工夫が理解できない。
評価項目9原子力発電の原理について十分に理解し、原子力発電主要設備を十分に説明できる。原子力発電の原理について理解し、原子力発電主要設備を説明できる。原子力発電の原理について理解できなく、原子力発電主要設備を説明できない。
評価項目10電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて十分に理解できている。電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて理解できる。電気エネルギーの発生・輸送・利用と環境問題との関わりについて理解できない。
評価項目11その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を十分に説明できる。その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できる。その他の新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の概要を説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
【授業目的】
1.どのように熱エネルギーを仕事(動力)に変換するのかを理解する。
2.熱エネルギーから仕事(動力)への変換効率は限界が存在することを知る。
3.エンジンの仕組み,発電所の仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
【Course Objectives】Students will:
1. learn how convert thermal energy to mechanical work,
2. learn the limitation of energy conversion based on analysis of heat engines,
3. understand the principle of the first law and the second law of thermodynamics, the concept of energy conversion system (engine and power plant), and how to increase the thermal efficiency.
授業の進め方・方法:
【授業方法】
授業前半は板書を中心とした講義形式で説明していく。その中で,常に皆さんに質問するのではっきりと自分の意見を述べて欲しい。授業の後半では,講義内容の理解をより深めるために演習問題を与える。解答の提出を求めます。特に演習問題は,大学の編入学試験に重点をおいたものとする。

【学習方法】
 事前にシラバスを見て該当箇所を読み,疑問点を明確にしておく事が望ましい。授業ではわからない箇所を躊躇せずに質問してほしい(対話を重視しながら授業を進めます)。帰宅後は再度ノートを中心に見直し、演習問題を自力で解けるように練習を繰り返すこと。
注意点:
電卓を持ってくること。

【定期試験の実施方法】
中間、期末あわせて2回の試験(時間:50分標準)を行う。持ち込みは電卓と筆記用具を認める。

【成績の評価方法・評価基準】
成績の評価方法は中間・期末の2回の定期試験の平均値(60%),単元毎に課す自己学習としての演習課題等の内容の評価(40%)の合計をもって総合成績とする。到達目標に基づき,熱機関ではサイクル解析(カルノー,ガソリン,ディーゼル,ガスタービンエンジン)および熱効率向上策について,火力発電所(ランキンサイクル)ではサイクル解析,その仕組みや熱効率向上の工夫についての理解度と到達目標の到達度を評価基準とする。

【学生へのメッセージ】
熱力学を学ぶ意義は2つある。1つめは自然現象の理解を深めるのに役立つ。もし,これから学習する内部エネルギーやエントロピーの考え方がなかったら,エネルギーはあいまいな概念でしかなかったと思う。2つめはその実用性である。熱力学は熱から取り出しうるタービンの回転仕事や電気などの最大値を明確に示してくれ,どのように熱エネルギーを利用するべきかについて示唆してくれるのである。

【教員の連絡先】
研 究 室 A棟2階(A-206)
内線電話 8935
e-mail: noge@maizuru-ct.ac.jp

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 熱とはこんなに質の低いエネルギーなのか!(熱効率の限界を教える)エネルギーの取り出し方について(機関における4つの基本要素)
1 エントロピーの定義を理解し,可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。
2 サイクルをT-s線図で表現できる。
2週 歴史が誇るカルノーの提案(カルノーサイクル)
3 カルノーサイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる。
3週 熱エネルギーの変換方法(熱機関の要素,圧力-比容積線図を描く理由
2 サイクルをT-s線図で表現できる。
3 カルノーサイクルの状態変化を理解し,熱効率を計算できる。
4週 ガスによるエネルギー変換(ガソリンエンジン,メカニズムと特徴) 4 エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
5週 ガスによるエネルギー変換(ディーゼルエンジン,メカニズムと特徴)

4 エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
6週 ガスによるエネルギー変換(スターリングエンジン,メカニズムと特徴) 4 エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
7週 ガスによるエネルギー変換(ジェットエンジン,ガスタービンエンジン
4 エンジンの仕組み,および熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
8週 ★前期中間試験
2ndQ
9週 蒸気によるエネルギー変換,飽和蒸気表と過熱蒸気表の読み方
5 水の等圧蒸発過程を説明できる。液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。
10週 蒸気の性質を知る:Van der Waal`s の状態式による定式化 6 蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
7 飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。
11週 等圧・等容・等温・断熱変化
6 蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
7 飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。
12週 火力発電所,原子力発電所,石炭火力発電所(ランキンサイクル)の仕組
8 火力発電の原理について理解し,火力発電主要設備を説明できる。熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
9 原子力発電の原理について理解し、原子力発電主要設備を説明できる。
13週 ランキンサイクルの特徴と熱効率の向上への取り組み(再熱サイクル)

7 飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。
8 火力発電の原理について理解し,火力発電主要設備を説明できる。熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
14週 熱効率の向上への取り組み(再生サイクル)
新エネルギー・再生可能エネルギーを用いた発電の紹介
7 飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。
8 火力発電の原理について理解し,火力発電主要設備を説明できる。熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
15週 まとめ 5 水の等圧蒸発過程を説明できる。液体および理想気体におけるエントロピーの変化量を計算できる。
6 蒸気の状態量を蒸気表および蒸気線図から読み取ることができる。
7 飽和蒸気,湿り蒸気,過熱蒸気の状態量を計算できる。
8 火力発電の原理について理解し,火力発電主要設備を説明できる。熱効率向上の対策や工夫が理解できる。
16週 前期期末試験返却 到達度確認

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。3
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。3前3,前4
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。3前1
サイクルをT-s線図で表現できる。3前1,前2,前4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000300100
基礎的能力0000000
専門的能力70000300100
分野横断的能力0000000