弾塑性力学

科目基礎情報

学校 舞鶴工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 弾塑性力学
科目番号 0104 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 総合システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書:吉田総仁著 「弾塑性力学の基礎」(共立出版)/教材:必要に応じて資料を配付する。
担当教員 篠原 正浩

到達目標

1 応力場をテンソル表示し,マトリックス演算ができる。
2 応力関数を用いた応力・ひずみ解析ができる。
3 き裂先端の応力場,応力拡大係数の計算ができる。
4 金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを転位論的に説明できる。
5 薄肉,厚肉円筒問題をVon MisesやTresca の降伏条件で計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1応力場をテンソル表示し,詳細なマトリックス演算ができる。応力場をテンソル表示し,マトリックス演算ができる。応力場をテンソル表示し,マトリックス演算ができない。
評価項目2 応力関数を用いた複雑な応力・ひずみ解析ができる。 応力関数を用いた応力・ひずみ解析ができる。 応力関数を用いた応力・ひずみ解析ができない。
評価項目3き裂先端の応力場,応力拡大係数をエネルギー的に理解し,計算ができる。き裂先端の応力場,応力拡大係数の計算ができる。き裂先端の応力場,応力拡大係数の計算ができない。
評価項目4金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを転位論的に説明できる。金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを説明できる。金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを転位論的に説明できない。
評価項目5 薄肉,厚肉円筒問題をVon MisesやTresca の降伏条件で図解的に説明および計算できる。 薄肉,厚肉円筒問題をVon MisesやTresca の降伏条件で計算できる。 薄肉,厚肉円筒問題をVon MisesやTresca の降伏条件で計算できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (B) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
【授業目的】
1.応力テンソルとひずみテンソルの概念,弾性力学の基礎方程式,応力関数,仮想仕事の原理などについて理解する。
2.線形破壊力学の基礎概念を理解し,原子レベルから塑性変形,格子欠陥,転位論の基礎概念を理解する。
3.弾塑性問題の概念,Von Mises,Tresca の降伏条件を理解する。

【Course Objectives】
The objectives of this course are
1. to understand the concepts of stress tensors and strain tensors, basic equations on theory of elasticity, stress function, and the principle of virtual work.
2. to understand the fundamental concepts of linear fracture mechanics, as well as fundamental concepts of plastic deformation, lattice defects and dislocation theory at the atomic level.
3. to understand the concepts of elastic-plastic problem, the yield conditions of Von Mises and Tresca.

授業の進め方・方法:
【授業方法】
講義を中心に授業を進める。基本概念や考え方を教科書や配布プリントを使って詳細に説明する。また,基礎的な計算例題を示した後,演習問題で計算能力がつくようにする。宿題として計算演習を与え,レポートとして提出させる。

【学習方法】
1.シラバスなどで予習し,疑問点をはっきりさせて授業に臨む。
2.弾塑性力学の理解を深め,応用力を養うために毎回の授業において4時間程度の自己学習が必要な演習課題等を与える。自己学習の成果はレポートとして次回の授業時に提出する。

注意点:
【定期試験の実施方法】
定期試験を行う。試験時間は115分とする。持込は電卓のみとする。

【成績の評価方法・評価基準】
定期試験の成績(80%)および自己学習としての課題提出物(20%)により判断して評価する。到達目標に掲げる各項目の理解度を評価基準とする

【履修上の注意】
授業での学習と授業外での自己学習で成り立つものである。

【学生へのメッセージ】
技術者の設計ミスや応力計算ミスにより,機械・大型構造物が破壊・倒壊し死傷者が出る事例は未だに存在する。機械制御システム工学コースの卒業生は即戦力技術者として扱われるのでその社会的責任は重い。その意味で,本授業で行う弾塑性力学計算や破壊の概念はこの分野の技術者にとっては重要な基礎学力と心得てほしい。計算能力も充分でない学生に安易に単位を与え卒業させることは,社会的責任からできない。学生諸君も自分自身のために上記のことをよく認識し,真剣に取り組んでもらいたい。

研 究 室 A棟3階(A-305)
内線電話 8939
e-mail:sinoharaアットマークmaizuru-ct.ac.jp (アットマークは@に変えること。)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバス内容の説明,力学的基礎および数学的準備
2週 材料力学と弾性力学 1 応力場をテンソル表示し,マトリックス演算ができる。
3週 応力テンソルとひずみテンソル 1 応力場をテンソル表示し,マトリックス演算ができる。
4週 弾性力学の基礎方程式 1 応力場をテンソル表示し,マトリックス演算ができる。
2 応力関数を用いた応力・ひずみ解析ができる。
5週 二次元弾性問題 2 応力関数を用いた応力・ひずみ解析ができる。
6週 ひずみエネルギーと仮想仕事の原理 2 応力関数を用いた応力・ひずみ解析ができる。
7週 最小ポテンシャルエネルギー原理 2 応力関数を用いた応力・ひずみ解析ができる。
8週 線形破壊力学の基礎(楕円孔の応力集中とき裂先端の応力場) 3 き裂先端の応力場,応力拡大係数の計算ができる。
2ndQ
9週 線形破壊力学の基礎(複素応力関数,応力拡大係数,破壊靱性値) 3 き裂先端の応力場,応力拡大係数の計算ができる。
10週 塑性力学の基礎(公称応力と真応力,公称ひずみと真ひずみ) 4 金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを転位論的に説明できる。
11週 stress-strain曲線,n乗硬化則,バウシンガー効果,数式モデル 4 金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを転位論的に説明できる。
12週 塑性変形の微視的メカニズムと連続体モデル 4 金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを転位論的に説明できる。
13週 弾塑性問題(繊維強化複合材料の引張,3本棒トラス,はりの曲げ) 4 金属の降伏現象,加工硬化,バウンシガー効果などを転位論的に説明できる。
14週 降伏条件の一般的表現(降伏関数,降伏条件,偏差応力とその不変量) 5 薄肉,厚肉円筒問題をVon MisesやTresca の降伏条件で計算できる。
15週 降伏条件の具体形(Von Mises およびTrescaの降伏条件,降伏曲面) 5 薄肉,厚肉円筒問題をVon MisesやTresca の降伏条件で計算できる。
16週 (15週目の後に期末試験を実施)
期末試験返却・達成度確認

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80000200100
基礎的能力0000000
専門的能力80000200100
分野横断的能力0000000