サイエンスⅠ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 サイエンスⅠ
科目番号 0006 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 改訂版 総合物理 1 -力と運動・熱- (数研出版) / 四訂版 リードα 物理基礎・物理 (数研出版)
担当教員 武内 將洋

到達目標

1.有効数字・単位の考え方を理解し、適切に扱うことができる。
2.ベクトル・成分の考え方を理解し、適切に扱うことができる。
3.各種の力学的物理量の考え方を理解し、基本的な計算や解説を行うことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1有効数字・単位の重要性を十分に理解して扱える。有効数字・単位の取り扱いができる。有効数字・単位の取り扱いができない。
評価項目2ベクトル・成分の重要性を十分に理解して扱える。ベクトル・成分の取り扱いができる。ベクトル・成分の取り扱いができない。
評価項目3各種物理量の考え方を十分に理解して解説できる。各種物理量の考え方が理解できる。各種物理量の考え方が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (F) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (G) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
全ての工学の基礎である力学を学習する。本校では力学を以下のように4つに分割しそれぞれ目標を設定している。1年生では力学4の途中(等速円運動)までを学習する。詰め込む知識量が多くレベルも高いが、あきらめずにクリアして欲しい。
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力学1:ベクトル概念の習得を目指す。題材として速度・加速度という内容を用いる。二次元座標を導入しx成分とy成分の抽出を行うので三角関数の学習も必須となる。また、有効数字・単位の取扱いをはじめ、家庭学習や課題作成(問題研究ノートの作成)など、工学を学ぶ上での学習生活の基礎についても指導を行う。
力学2:物理現象における因果関係の理解を目指す。具体的には、力学1で学習した加速度はあくまでも結果であり、原因は力、そして質量などの属性が結果に影響を及ぼすことに気づかせた上で、力学4から本格運用する運動方程式の立式について習熟させる。
力学3:まず、回転の原因の量的概念であるトルクの理解を目指す。応用として重心公式を導く。次に、エネルギー保存則と運動量保存則の理解を目指す。また、混同して語られやすい力・エネルギー・パワーの違いに注意するなど既習の物理量の総復習を行うことで、力学4理解のための準備を行う。
力学4:2次元運動の例としての等速円運動の理解を目指す。応用として単振動を扱い、音・光の波動の学習に繋がるよう指導する。また、にニュートンによる万有引力法則の導出過程を扱うことで、全ての力学現象は運動方程式で表現されること(立式さえできれば後は解くだけ)について気づかせる。
授業の進め方・方法:
授業: 90分の授業時間内において、前半は教員による一斉講義、後半は市販問題集を題材とする班別活動と学生相互の模擬授業を行う。後半をより円滑で有意義な時間とするため、授業開始後5分間の教科書精読を義務付けている。また、模擬授業の「型」を身に付けさせるため、学習支援サイトの解説動画を事前に視聴するよう義務付けている。近い将来、前半の一斉講義を撤廃して反転授業に移行する可能性があるため、学習の軸足を予習に置いておきたい。
課題: 「問題研究ノート」の作成と定期テスト終了時の提出を求めている。この課題は問題集の各問題についての背景や本質を解説するものであり、いわゆる学習履歴をアピールするだけのワークブックではないことに注意したい。なお、成績不良者には別途課題を課すことがある。
試験: 授業者と評価者は異なるべき、という考え方がある。この考え方に則り、定期試験の問題は教員オリジナル作成問題を排除して市販されている高校用問題集からのみ出題する。なお、試験時間内に全問完答できるよう、図や問題ストーリーはそのままだが数値や問い掛け文言は変更している。
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以上のように本科目を構成する予習教材(動画)・授業・課題・試験の全ては、問題集を軸としている。教員の解説や教科書は参考程度に扱ってよいが、問題集については第三者的外部評価システムと捉え、隅から隅まで完全理解するよう取り組んでほしい。市井の問題集が解ける!という事実と実感は、学習者が学外活動を行う上で大いなる自信となるであろう。
注意点:
評価: 評価点はどの時点でも学生自身で計算できる。具体的な計算式は物理の学習支援サイト(以下のURL)に記載しているので、イベント毎に計算しておくこと。
https://sites.google.com/s.akashi.ac.jp/physics/
追試: 定期試験ごとの再試験は行わない。
欠席: 合格の対象としない欠席条件(割合) は 1/3以上の欠課。
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何かを一から考えていいのは概ね中学生までである。巨人の肩の上に立たない学習者は、効率が悪いだけでなく、学問を冒涜しているとも言える。物理学習ではマンガやアニメから受けた誤概念(素朴概念)が正しい理解を妨げることがある。先人によって培われた思考の『型』を身につけることで、誤概念や疑似科学に惑わされない骨太な技術者になろう!

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ベクトルの成分と和差計算(p6-p13) 問題集の2,3,5を解説できる。
2週 ベクトルの引き算と相対速度(p14-p18) 問題集の7,9,10を解説できる。
3週 等加速度直線運動の3つの公式とその演習(p19-p25) 問題集の13,15,16を解説できる。
4週 重力加速度測定実験(実験プリント) 安全に実験し、時間内に報告書を提出できる。
5週 累乗と有効数字(p241-p244) 問題集の27,28,30を解説できる。
6週 落体運動と水平投射(p31-p36) 問題集の33,34,35を解説できる。
7週 斜方投射(p37-p41) 問題集の37,38,39を解説できる。
8週 中間試験 8割以上正答できる。
2ndQ
9週 力のベクトルと力の見つけ方(p44-p49) 問題集の47,48,51,52を解説できる。
10週 力のつりあいと作用反作用(p50-p55) 問題集の47,48と53,54,56,58を解説できる。
11週 運動方程式(p61-p70) 問題集の66,69,70,71を解説できる。
12週 摩擦力(p71-p74) 問題集の74,76,77,78を解説できる。
13週 気圧と水圧(p75-p77) 問題集の80,81を解説できる。
「大気圧」で、3つのお話ができる。
14週 浮力と空気抵抗(p78-p80) 問題集の82,83を解説できる。
「アルキメデス」のお話ができる。
15週 演習 問題集の84、および72,73などを解説できる。
「必ず泳げる」のお話ができる。
16週 期末試験 8割以上正答できる。
後期
3rdQ
1週 課題テストと力のモーメント(p81-p85) 問題集の91,92,93が解説できる。
「やじろべー」のお話ができる。
2週 剛体にはたらく合力と重心(p86-p89) 問題集の94,95,96,97が解説できる。
「秘孔を突け!」のお話ができる。
3週 剛体の傾きと転倒(p90-p93) 問題集の98,99,100が解説できる。
「どれが最後までコケない?」のお話ができる。
4週 仕事とパワー(p94-p99) 問題集の105,106,107,108が解説できる。
「アトムの時給」のお話ができる。
5週 運動エネルギーとポテンシャル(p100-p106) 問題集の111,112,113,114が解説できる。
「アトムの時給」のお話ができる。
6週 力学的エネルギーの保存(p107-p112) 問題集の116,117が解説できる。
「MKS単位系の学習歴」のお話ができる。
7週 演習 問題集の118,119が解説できる。
「どっちが早い?」のお話ができる。
8週 中間試験 8割以上正答できる。
4thQ
9週 運動量保存則(p118-p123) 問題集の126,127,130が解説できる。
「割れない卵」のお話ができる。
10週 平面上の衝突と反発係数(p124-p132) 問題集の133,134,135が解説できる。
「異なる質量の衝突点」のお話ができる。
11週 衝突のエネルギー(p133-p134) 問題集の136,137,138が解説できる。
「すり抜け現象」のお話ができる。
12週 等速円運動(p136-p141) 問題集の145,146,148,149が解説できる。
「6つの公式」のお話ができる。
13週 慣性力(p142-p145) 問題集の151,152,154が解説できる。
「6つの公式」のお話ができる。
14週 遠心力(p146-p150) 問題集の155,157,158が解説できる。
「6つの公式」のお話ができる。
15週 演習 問題集の160,161,および150などが解説できる。
「(-ma)とは?」のお話ができる。
16週 期末試験 8割以上正答できる。 

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前3,前4,前5
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前6,前7
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前5
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6,前7
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6,前7
物体に作用する力を図示することができる。3前9,前10
力の合成と分解をすることができる。3前9,前10
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前13
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前9,前10
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前9,前10,前15
慣性の法則について説明できる。3前11
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前10
運動方程式を用いた計算ができる。3前11,前15
運動の法則について説明できる。3前11
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前12
最大摩擦力に関する計算ができる。3前12,前15
動摩擦力に関する計算ができる。3前12,前15
仕事と仕事率に関する計算ができる。3後3,後7
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3後3,後5,後7,後11
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後4,後5,後7
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3後4,後5,後7
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3後4,後6,後7
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3後5,後9,後10,後11
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3後5,後7,後9,後10,後11
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3後5,後7,後9,後10,後11
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3後12,後15
力のモーメントを求めることができる。3後1
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3後2,後3
重心に関する計算ができる。3後2
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前4
安全を確保して、実験を行うことができる。3前4
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前4
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前4,前5
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

試験発表相互評価態度ホートフォリオその他合計
総合評価割合50000050100
基礎的能力50000050100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000