到達目標
1.特に近代以降の日本社会を,内外の地理的条件や世界史的視野を踏まえ,政治・経済・文化・国際環境などの要素を総合した幅広い見方で把握する。
2.社会の諸事象をその歴史的な形成・展開の過程の実証的な考察によって捉える見方や考え方を身に付ける。
3.個人を取り巻く歴史的・社会的状況を思索してその理解を試み自身の考えを形成することを促す。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 内外の地理的条件や世界史的背景を踏まえ,政治・経済・文化・国際環境などの要素を総合して,日本社会を把握できる。 | 日本社会の理解において,地理的条件や世界史的背景をある程度踏まえ,政治・経済・文化・国際環境などの要素の相互の影響を一応認識している。 | 日本社会の理解において,地理的条件や世界史的背景への目配りが不十分で,政治・経済・文化・国際環境などの要素の関わり合いも十分認識していない。 |
評価項目2 | 社会の諸事象に対し,その歴史的な形成・展開のプロセスやメカニズムを実証的に考察できる。 | 社会の諸事象に対し,その歴史的な形成・展開のプロセスやメカニズムを不完全ながらも実証的に考察できる。 | 社会の諸事象における,その歴史的な形成・展開のプロセスやメカニズムを理解していない。 |
評価項目3 | 個人を取り巻く歴史的・社会的状況について思索し理解を試み、自身の考えを持とうとしている。 | 個人を取り巻く歴史的・社会的状況の存在に気付き、自身の考えを深めている。 | 個人を取り巻く歴史的・社会的状況の存在自体に気付くことができない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 (C)
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学習・教育到達度目標 (H)
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教育方法等
概要:
本科目では、幕末維新期以降の日本近代史を概観し、その構造や変遷に対する理解を促す。また、これを通して現代の歴史的位置や歴史・社会一般に対する思考力を養うことを目指す。
授業の進め方・方法:
板書・教科書・図録・配布資料などを用いた講義を中心とする。
授業計画は必要に応じ補正し、質問や要望は可能な限り対応する。
注意点:
語句や事象の暗記も重要であるが、それに留まらず、歴史的事象の因果関係や構造に対する理解を深め、現代の時代状況や社会構造への理解につなげることを目指したい。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス ―近代とは何か?― |
本授業のテーマとなる「近代」について、その歴史的・現代的意味の概略をつかむ
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2週 |
開国から倒幕へ |
明治維新に至るまでの外在的要因(開国)と内在的要因を連関的に捉える
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3週 |
明治国家の形成(1) |
近代国民国家としての明治国家について、諸方面での制度形成を理解する
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4週 |
明治国家の形成(2) |
近世の様相を前提とした土地制度の近代化と、殖産興業の内実を理解する
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5週 |
明治国家の形成(3) |
思想・文化面での近代化の様相を理解する
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6週 |
士族反乱の勃発と自由民権運動の展開 |
征韓論・士族反乱の挫折から、自由民権運動の登場と国会開設への動きについてその様相を理解する
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7週 |
松方財政と自由民権運動の再編 |
明治初期における経済的変動をもたらした松方財政とそれによる自由民権運動への影響を理解する
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8週 |
中間試験 |
第2~7週の内容を問う
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2ndQ |
9週 |
明治憲法体制の成立 |
近代日本を規定した明治憲法(大日本帝国憲法)の在り方を理解する
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10週 |
諸法典の編纂・初期議会の政治状況 |
近世以来の社会道徳と明治憲法下の天皇制ともまつわる諸法典編纂、初期議会の政治状況を知る
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11週 |
明治初期の対外関係~条約改正・朝鮮問題 |
前近代アジア秩序(華夷秩序)と近代ヨーロッパ的世界秩序とのせめぎ合いを軸に外交関係を知る
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12週 |
日清戦争~日清戦後の政治状況 |
日本初の大規模な対外戦争である日清戦争について、その様相と影響を理解する
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13週 |
日露戦争~日露戦後の状況 |
日露戦争の様相と、大正期まで大きな影響を及ぼすほどの歴史的意義を理解する
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14週 |
近代化の諸相:産業の発達と社会運動 |
近代日本における産業・社会問題について、資本主義経済の在り方を軸として理解する
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15週 |
大正デモクラシーの展開と第一次世界大戦の勃発 |
いわゆる大正デモクラシーの風潮を念頭に置いて大正政変を理解する。第一次世界大戦の概略を知る
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16週 |
期末試験 |
第9~15週の内容を問う
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後期 |
3rdQ |
1週 |
第一次世界大戦の展開と日本の動向 |
総力戦・ロシア革命の勃発等第一次世界大戦の歴史的意義と当該期日本の動向を理解する
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2週 |
第一次世界大戦の歴史的意義 |
映像資料を用い、“近代”の大きな転換点となった第一次世界大戦の様相を理解する
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3週 |
政党内閣の成立と第一次世界大戦後の世界秩序 |
原敬内閣の成立に至る日本の国内状況と大戦後の日本を大きく規定する世界的体制について理解する
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4週 |
普選運動・社会運動の興隆と普選体制の成立 |
普選運動や労働運動、差別撤廃運動等の様相と、普選体制の特質について理解する
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5週 |
大衆社会の現れと経済恐慌の時代 |
新中間層・消費社会の登場に代表される大衆社会の現れと、経済恐慌の様相と影響を理解する
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6週 |
外交政策の動揺と満州事変 |
ヴェルサイユ体制(ワシントン体制)を前提に、当該期の積極外交や満州事変勃発の歴史的意義を理解する
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7週 |
軍部の抬頭と政党内閣の途絶 |
単なる「軍部の暴走」としてでない、内在的要因を踏まえた政党内閣途絶の様相を理解する
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8週 |
中間試験 |
第1~7週の内容を問う
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4thQ |
9週 |
挙国一致内閣の様相と統合主体の不在 |
挙国一致内閣期における各政治勢力の動向を通じて、当該期の特質を理解する
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10週 |
日中戦争の勃発 |
いわゆる宣戦布告なき戦争、「東亜新秩序」の構築等としての日中戦争が持つ特質を理解する
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11週 |
戦時体制の構築 |
戦時体制の様相と形成について、“近代化”を前提に、その体制としての特質を内在的に理解する
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12週 |
第二次世界大戦の勃発と新体制運動 |
日本における全体主義体制の構築(とその未完)、ヨーロッパでの第二次世界大戦勃発の様相を知る
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13週 |
アジア・太平洋戦争の勃発 |
アジア・太平洋戦争に至る外交過程、国内動向について理解する
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14週 |
アジア・太平洋戦争の展開 |
理念と実態の乖離を中心に、アジア・太平洋戦争の展開過程を理解する
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15週 |
日本の敗戦と戦後体制の成立 |
敗戦に至る日本の動向と、占領政策・日本国憲法等によって形成される戦後体制の在り方を理解する
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16週 |
期末試験 |
第9~15週の内容を問う
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 地理歴史的分野 | 近代化を遂げた欧米諸国が、19世紀に至るまでに、日本を含む世界を一体化していく過程について、その概要を説明できる。 | 2 | |
帝国主義諸国の抗争を経て二つの世界大戦に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、平和の意義について考察できる。 | 3 | |
第二次世界大戦後の冷戦の展開からその終結に至る日本を含む世界の動向の概要を説明し、そこで生じた諸問題を歴史的に考察できる。 | 3 | |
19世紀後期以降の日本とアジア近隣諸国との関係について、その概要を説明できる。 | 3 | |
公民的分野 | 自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 2 | |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 1 | |
評価割合
| 筆記試験 | 提出課題 | 相互評価 | 態度 | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 20 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 70 | 20 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |