流体力学Ⅰ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 流体力学Ⅰ
科目番号 0095 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 金原粲(監修):「流体力学」,実教出版/参考文献(森川敬信ほか:「新版 流れ学」,朝倉書店/その他授業中適宜資料を配布)
担当教員 田中 誠一

到達目標

流体の性質、静止状態および運動状態での力学、流体が物体に及ぼす力などについて理解し、流体機器を設計・製造・使用する際に必要な以下の能力を身に着けることを目標とします。
(1)流体の基本的な性質を理解し説明できる。
(2)パスカルの原理を理解し物体に作用する力の計算、マノメータによる圧力測定ができる。
(3)ベルヌーイの式、運動量定理を理解し工学的諸問題を計算できる。
(4)配管内部の流れの状態を理解し配管系の圧力損失を計算できる。
(5)物体表面の境界層を理解し抗力、揚力を計算できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1流体の基本的な性質を理解し正確に説明できる。流体の基本的な性質を理解し説明できる。流体の基本的な性質を理解し説明できない。
評価項目2パスカルの原理を理解し物体に作用する力の計算、マノメータによる圧力測定が正確にできる。パスカルの原理を理解し物体に作用する力の計算、マノメータによる圧力測定ができる。パスカルの原理の理解が不十分で、物体に作用する力の計算、マノメータによる圧力測定ができない。
評価項目3ベルヌーイの式、運動量定理を理解し工学的諸問題や応用問題を計算できる。ベルヌーイの式、運動量定理を理解し工学的諸問題を計算できる。ベルヌーイの式、運動量定理の理解が不十分で、工学的諸問題を計算できない。
評価項目4配管内部の流れの状態を理解し配管系の圧力損失を正確に計算できる。配管内部の流れの状態を理解し配管系の圧力損失を計算できる。配管内部の流れの状態の理解が不十分で、配管系の圧力損失を計算できる。
評価項目5物体表面の境界層を理解し抗力、揚力を正確に計算できる。物体表面の境界層を理解し抗力、揚力を計算できる。物体表面の境界層の理解が不十分で、抗力、揚力を計算できる。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (H) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
流体力学を学ぶ目的は、力学法則や原理をもとに構築された流れの現象を理解し、それらによる論理的・実験的考察により現実問題の解決や新たな創造を行うものです。
本科目の目標は、流体力学の基礎知識を理解し、流体に関連する物理現象に対する洞察力を深めるとともに、流体機械等への工学的応用能力の修得です。具体的には、所謂水力学と呼ばれる分野について理解し、流体運動の工学的感覚を身に付けるとともに、機械設計に必要な基本的な流体の諸問題の計算方法を身に着けます。
授業の進め方・方法:
授業はスライドと板書を用いた講義を中心とし、単元ごとにワークと演習課題を実施します。目標を達成するためには、授業中の質疑やワークはもちろん、授業毎に与える演習課題に取り組み確実に理解できるように努めてください。理解が困難な場合は基礎に立ち返り、分からない場合は担当教員に質問や学生同士の学び合いをすること。
注意点:
(1)本科目は、力学(サイエンスⅠ(1年)、サイエンスⅢA(3年)、工業力学(3年))、数学(数学Ⅰ~数学Ⅲ)での学習内容を用いるので適宜復習しておくことが望ましいです。
(2)流体力学に関する知識を覚えるだけでなく、数学的記述と実際の流体現象との関連性をイメージしながら学習してください。つまり授業中は単にノートを取るだけでなく、問いかけでは思考を働かせ、ワークでは積極的に協働して取り組むことが必要です。
(3)演習課題の解説と解答はweb上で配布します。提出方法や解答の取得方法については授業の初回に説明します。
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び演習課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容です。
全授業の1/3以上を欠席した場合、合格の対象としません。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 授業ガイダンス
流体の基本的性質ととらえ方
科目の目標を理解し説明できる。
流体の定義と力学的取扱い、流体の性質と各種物理量の定義と単位を理解し適用できる。
圧縮性流体と非圧縮性流体、ニュートンの粘性法則、実在流体と理想流体を理解し説明できる。
2週 流体の静力学(1) 絶対圧力およびゲージ圧力を理解し説明できる。
パスカルの原理を説明できる。液柱計やマノメータを用いて圧力を測定できる。
3週 流体の静力学(2) 平面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。
4週 流体の静力学(3)
流体の動力学の基礎(1)
曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。
物体に作用する浮力を計算できる。
流速と流量を理解し計算できる。
5週 流体の動力学の基礎(2) 定常流と非定常流の違い、流線と流管の定義を説明できる。
層流と乱流の違いを説明できる。レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。
連続の式を理解し説明できる。
6週 一次元流れの基礎方程式 1次元流れの取り扱い方、連続の式を理解し流速と流量を計算できる。
オイラーの運動方程式を説明できる。
ベルヌーイの式を理解し説明できる。
7週 ベルヌーイの定理の応用 ベルヌーイの式を理解し関連する諸問題(トリチェリの定理を用いた流速の計算、ピトー管を用いた流速の測定、ベンチュリ管を用いた流量の測定)に適用できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 運動量理論 運動量理論を理解し流体が物体に及ぼす力(平板に作用する力)を計算できる。
10週 運動量理論の応用(1) 運動量定理を理解し流体が物体に及ぼす力(曲板・ノズルに作用する力、ジェット推進)を計算できる。
11週 運動量理論の応用(2)
流路内の流れと損失(1)
角運動量定理を理解し流体が物体に及ぼす力(ポンプ羽根車に作用するトルク)を計算できる。
配管内部の速度分布を理解し、管摩擦損失係数を導出することができる。
12週 流路内の流れと損失(2) ダルシー・ワイズバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。
13週 流路内の流れと損失(3) 局所損失の定義を理解し、管摩擦損失を含めた配管系の圧力損失を計算できる。
14週 物体まわりの流れ 流れの中に置かれた物体の受ける抗力について理解し抗力係数を用いて抗力を計算できる。
流れの中に置かれた物体の受ける揚力について理解し揚力係数を用いて揚力を計算できる。
15週 境界層の流れ 境界層内部の現象を理解し摩擦抵抗を導出することができる。
はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を理解し説明できる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野熱流体流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。4
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。4
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。4
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。4
パスカルの原理を説明できる。4
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。4
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。4
物体に作用する浮力を計算できる。4
定常流と非定常流の違いを説明できる。4
流線と流管の定義を説明できる。4
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。4
オイラーの運動方程式を説明できる。4
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。4
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。4
層流と乱流の違いを説明できる。4
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。4
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。4
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。4
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。4
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。4
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。4
計測制御国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。4

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオ演習課題合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力0000000
専門的能力70000030100
分野横断的能力0000000