熱力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 熱力学Ⅱ
科目番号 0118 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 丸茂榮佑・木本恭司:「工業熱力学」,コロナ社出版およびプリント参考:W. グライナー他:「熱力学・統計力学」,シュプリンガー・フェアラーク東京,長岡洋介:「岩波基礎物理シリーズ 統計力学」岩波書店
担当教員 藤原 誠之

到達目標

本科目では熱力学に関し,以下の事項が理解できることを目標とする。
(1)ランキンサイクルについて理解する。
(2)再生,再熱,複合サイクルについて理解する。
(3)冷凍サイクルについて理解する。
(4)熱統計力学の考え方について理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ランキンサイクルについてよく理解している。ランキンサイクルについて理解している。ランキンサイクルについて理解していない。
評価項目2再生,再熱,複合サイクルについてよく理解している。再生,再熱,複合サイクルについて理解している。再生,再熱,複合サイクルについて理解していない。
評価項目3冷凍サイクルについてよく理解している。冷凍サイクルについて理解している。冷凍サイクルについて理解していない。
評価項目4熱統計力学の考え方についてよく理解している。熱統計力学の考え方について理解している。熱統計力学の考え方について理解していない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (H) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では,まず蒸気を用いた熱サイクル,すなわちランキンサイクルについて学ぶ。そして,ブレイトンサイクルを合わせた複合サイクルや冷凍サイクルについて学ぶ。後半ではミクロな視点で熱力学をとらえる熱統計力学について学び,熱力学に対する理解を深める。
授業の進め方・方法:
講義形式の授業である。毎回の授業で課題を課し,理解を深める。
注意点:
暗記的に知識を覚えるのではなく,基本的な考え方を自分の頭で解釈すること.分からないことは積極的に質問すること.
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 水の蒸発現象と蒸気のp-v線図 相変化を有する水の蒸発について考え,そのp-v線図を学ぶ。
2週 水および水蒸気の状態量と蒸気線図 水および水蒸気の状態量について学び,モリエ線図について学ぶ。
3週 蒸気の状態変化 蒸気の等温変化,等容変化,等圧変化,断熱変化とその際の熱と仕事について学ぶ。
4週 ランキンサイクル ランキンサイクルにおける出力と熱効率について学ぶ。
5週 冷凍サイクル 一般的に用いられている蒸気式の冷凍サイクルについて学ぶ。
6週 理想気体と実在気体 理想気体と実在気体について微視的観点から考察し,圧力および温度について考える。
7週 位相空間と統計力学
位相空間において多粒子系の振舞いを理解するとともに,一自由度の単振動の振舞いから位相空間の理解を深める。
8週 中間試験
2ndQ
9週 エントロピーの統計力学的な定義 エントロピーの微視的な解釈の観点から理想気体のエントロピーを統計力学的に導く。
10週 ギブズのパラドックスおよび量子力学の基礎 混合エントロピーを基に,粒子の識別性による矛盾について考える。また,量子力学の考え方について学ぶ。
11週 微視的状態の量子力学的数え上げ 量子力学の基礎について学び,不確定性原理に基づく位相空間の単位体積について理解する。
12週 理想気体のエントロピーと状態方程式 これまでの講義をもとに,純統計力学的にエントロピーの絶対値を導出し,得られた結果が巨視的な熱力学から導かれる状態方程式と一致することを学ぶ。
13週 アンサンブル理論とミクロカノニカルアンサンブル 統計力学におけるエルゴードの仮説について学び,ミクロカノニカルアンサンブルの確率密度について学ぶ。また,確率分布に関するリュービルの定理について学び,流体力学との類似性を理解する。
14週 カノニカルアンサンブル 温度一定の系を取り扱う場合のアンサンブルである,カノニカルアンサンブルについて学ぶ。
15週 まとめ
本科目で学んだ内容の概要を整理する。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4
動力の意味を理解し、計算できる。4
熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4
熱力学の第一法則を説明できる。4
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4
熱力学の第二法則を説明できる。4
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4
サイクルをT-s線図で表現できる。4

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力0000000
専門的能力90100000100
分野横断的能力0000000