材料力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料力学Ⅱ
科目番号 4426 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 平尾雅彦監修・森下智博著:「材料力学I」,森北出版
担当教員 森下 智博

到達目標

1) 長柱の座屈現象を理解し、安全な柱を設計できる。
2) 機械構造物の不静定部材に1次元の応力が作用する場合の応力値とそれによる変形量を計算できる。
3) 機械構造物の静定・不静定部材の応力と変形の計算に重ね合わせの原理を利用できる。
4) 多軸応力状態とその強度評価法を理解し、2次元の応力状態について、強度設計ができる。
5) 部材に蓄えられる弾性ひずみエネルギーの計算法とそれに関する定理を理解し、部材の応力と変形の計算に応用できる。
6) 材料力学の諸問題について、論理的思考に基づいて他者と議論できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 長柱の座屈長柱の座屈現象を正しく理解し、たわみ曲線の微分方程式から座屈荷重を計算でき、安全な柱を設計できる。長柱の座屈現象を理解し、オイラーの公式および柱の実験式を用いて、安全な柱を設計できる。長柱の座屈現象を正しく理解できず、オイラーの公式および柱の実験式を用いて、安全な柱を設計できない。
評価項目2 不静定問題機械構造物の不静定部材に1次元の応力が作用する場合の変形状態を正しく推測でき、応力値とそれによる変形量を計算できる。機械構造物の不静定部材に1次元の応力が作用する場合の解法パターンを理解し、解法パターンを利用して応力値とそれによる変形量を計算できる。機械構造物の静定・不静定を判別できない。不静定部材に1次元の応力が作用する場合の応力値とそれによる変形量を正しく計算できない。
評価項目3 重ね合わせの原理機械構造物の静定・不静定部材の応力と変形において、重ね合わせの原理が成り立つことを説明でき、それを利用して応力と変形を計算できる。機械構造物の静定・不静定部材の応力と変形の計算に重ね合わせの原理を利用できる。機械構造物の静定・不静定部材の応力と変形の計算に重ね合わせの原理を正しく利用できない。
評価項目4 多軸応力多軸応力状態を理解し、その強度評価法を説明できる。2次元応力状態の構造部材について応力を計算でき、それに基づいて強度設計ができる。多軸応力状態とその強度評価法を理解し、2次元の応力状態について、強度設計ができる。多軸応力状態を正しくイメージできず、その強度評価法を使い分けられない。
評価項目5 ひずみエネルギー静荷重が作用する場合の弾性変形時・塑性変形時、また衝撃荷重時のひずみエネルギーを説明できる。弾性ひずみエネルギーに関する定理を理解し、部材の応力と変形の計算に応用できる。部材に蓄えられる弾性ひずみエネルギーの計算法とそれに関する定理を理解し、部材の応力と変形の計算に応用できる。部材に蓄えられる弾性ひずみエネルギーを計算できない。また、それに関する定理を部材の応力と変形の計算に正しく応用でききない。
評価項目6 論理的思考と対話材料力学の諸問題について、論理的思考に基づいて他者と議論でき、グループの意見をまとめることができる。材料力学の諸問題について、論理的思考に基づいて他者と議論できる。材料力学の諸問題について、論理的思考に基づいて他者と議論できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
構造部材・機械部品の強度計算・強度評価ができるようになるとともに、関連事項を自主的・継続的に学習し、論理的思考と技術的議論ができるようになることを目指す。3年次の材料力学Iの学習内容を基礎として、より発展的な問題を学び、さらに高度な内容を扱う5年次の材料力学III、専攻科1年次の材料力学特論、および専攻科2年次の破壊力学に備える。
授業の進め方・方法:
授業の前に教科書本文および例題を予習してくる。授業の冒頭で学習範囲の要点を教員が解説した後、グループディスカッションを行う。また疑問点・不明点は教員に質問し、それに対して教員が解説する。教員が用意した演習課題にグループで取り組む。
注意点:
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。自ら考え、理解するよう努めること。授業時間内では、グループディスカッションに積極的に参加し、グループの学習活動に貢献すること。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 長柱の座屈 長柱の座屈現象を理解し、安全な柱を設計できる。
2週 不静定問題(1) 剛性壁で拘束された棒、組み合わせ棒 不静定問題の解法を理解し、基本的な問題について、応力と変形を計算できる。
3週 不静定問題(2) 不静定トラス、熱応力、不静定はり トラス、熱応力、不静定はりに関する不静定問題の解法を説明でき、これらの問題における応力と変形を計算できる。
4週 重ね合わせの原理(1) 問題の分割・単純化、静定はり 複雑な問題を適切に分解・分割できる。静定はりの応力とたわみの計算に対して、重ね合わせの原理を適用できる。
5週 重ね合わせの原理(2) 不静定はり、連続はり 不静定はりに対して重ね合わせの原理を適用できる。連続はりに対して三モーメントの定理を利用できる。
6週 重ね合わせの原理(3) 軸力と曲げ内偶力の重ね合わせ 軸力と曲げ内偶力が作用する棒の応力を重ね合わせの原理を用いて計算できる。
7週 重ね合わせの原理(4) 非対称曲げ、密巻きコイルばね はりの非対称曲げに生じる特有の現象を説明でき、その応力を重ね合わせの原理を用いて計算できる。密巻きコイルばねの応力状態を説明でき、その応力を重ね合わせの原理を用いて計算できる。
8週 多軸応力(1) 2方向に垂直応力が作用する板、多軸応力状態 多軸応力状態と、その場合の応力・ひずみの表記法について説明できる。二軸応力の簡単な例について応力を計算できる。
4thQ
9週 多軸応力(2) 応力-ひずみ関係式 多軸応力状態における応力-ひずみ関係式について理解し、それを用いて応力とひずみを計算できる。
10週 多軸応力(3) 主応力と主軸、破壊と破損の条件、主応力と最大せん断応力 平面応力において、任意の斜面上に作用する応力、主応力と主せん断応力を計算できる。多軸応力状態における強度評価法を理解し、平面応力状態について、強度設計ができる。
11週 多軸応力(4) モールの応力円、曲げとねじりの組み合わせ 平面応力状態におけるモールの応力円の活用法を説明でき、任意の平面応力についてモールの応力円を描くことができる。曲げ荷重とねじり荷重の組み合わせにおける相当曲げモーメントと相当ねじりモーメントの意味を説明でき、主応力と最大せん断応力を計算できる。
12週 ひずみエネルギー(1) ひずみエネルギー、エネルギー保存の法則 部材が軸荷重・せん断荷重・ねじり荷重・曲げ荷重を受ける場合のぞれぞれについて、ひずみエネルギーを計算できる。エネルギー保存の法則を変形の計算に応用できる。
13週 ひずみエネルギー(2) 衝撃荷重 衝撃荷重の場合に部材に蓄えられるひずみエネルギーを理解し、エネルギー保存の法則を衝撃荷重問題へ適用できる。
14週 ひずみエネルギー(3) カスティリアーノの定理 カスティリアーノの定理を理解し、軸荷重・ねじり荷重・曲げ荷重の静定・不静定問題に応用できる。
15週 総復習 材料力学の本質的な考え方を理解できる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。4後3,後4,後7
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。4後3,後4,後7
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。4後3,後4
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。4後3,後6,後7
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。4後3,後6,後7
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。4後3,後6
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。3後3,後6
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4後2,後3,後6
仕事の意味を理解し、計算できる。4後13,後14,後15
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4後13,後14,後15
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4後13,後14,後15
荷重が作用した時の材料の変形を説明できる。4後1,後2,後3
応力とひずみを説明できる。4後2,後3,後10
フックの法則を理解し、弾性係数を説明できる。4後2,後3,後10
許容応力と安全率を説明できる。4後2,後3
両端固定棒や組合せ棒などの不静定問題について、応力を計算できる。4後2,後3
線膨張係数の意味を理解し、熱応力を計算できる。4後3
引張荷重や圧縮荷重が作用する棒の応力や変形を計算できる。4後1,後2,後3,後4,後6
ねじりを受ける丸棒のせん断ひずみとせん断応力を計算できる。4後2,後7
丸棒および中空丸棒について、断面二次極モーメントと極断面係数を計算できる。4後2,後7
軸のねじり剛性の意味を理解し、軸のねじれ角を計算できる。4後2,後7
はりの定義や種類、はりに加わる荷重の種類を説明できる。4後3,後4,後5,後6,後7
はりに作用する力のつりあい、せん断力および曲げモーメントを計算できる。4後3,後4,後5,後6,後7
各種の荷重が作用するはりのせん断力線図と曲げモーメント線図を作成できる。4後3,後4,後5,後6,後7
曲げモーメントによって生じる曲げ応力およびその分布を計算できる。4後3,後4,後5,後6,後7
各種断面の図心、断面二次モーメントおよび断面係数を理解し、曲げの問題に適用できる。4後3,後4,後5,後6,後7
各種のはりについて、たわみ角とたわみを計算できる。4後3,後4,後5,後7
多軸応力の意味を説明できる。4後8,後9,後10,後11,後12
二軸応力について、任意の斜面上に作用する応力、主応力と主せん断応力をモールの応力円を用いて計算できる。4後11,後12
部材が引張や圧縮を受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4後13,後14,後15
部材が曲げやねじりを受ける場合のひずみエネルギーを計算できる。4後13,後14,後15
カスティリアノの定理を理解し、不静定はりの問題などに適用できる。4後15
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
他者の意見を聞き合意形成することができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
合意形成のために会話を成立させることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3後1,後3,後7,後11,後12,後15
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3後1,後3,後7,後11,後12,後15
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3後1,後3,後7,後11,後12,後15
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
目標の実現に向けて計画ができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

試験学習状況グループワーク演習課題小テスト合計
総合評価割合4010102020100
基礎的能力000000
専門的能力4005152080
分野横断的能力01055020