概要:
人間社会で広く用いられているポンプを対象にして、流体機械としての作用原理・構造・性能の計算方法を理解し、各構成要素の調和がとれた結合を成し遂げることにより、完成度の高い設計製図能力を養成することを目的とする。設計の対象は横軸片吸込単段渦巻ポンプとする。各自別設計仕様の課題について、設計書の作成から部品図および組立図の製図までを一貫して完成させる。
授業の進め方・方法:
渦巻ポンプの設計理論について講義で解説した後、主要部品の設計を行う。その設計に基づいて主要部品の図面をCADを用いて作成する。
注意点:
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習および課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、180時間に相当する学習内容である。前期前半はポンプ基礎理論の講義・解説をする。その後、各自に設計仕様が渡され、具体的な設計計算と設計製図に着手する。決められた工程のなかで、商品として世間に通用する計算書、部品図、組立図に仕上げること。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/4以上の欠課
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
流体機械と流体力学 |
各種流体機械や、流れの基礎式、ベルヌーイの定理を理解する。
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2週 |
ポンプの分類、羽根車の理論 |
ポンプの種類や用途、遠心ポンプの構造を理解し、説明できる。また、オイラーの式を理解し、適用できる。
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3週 |
軸スラスト、漏れ損失 |
羽根車出口流れと軸方向スラストについて理解する。
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4週 |
ポンプの相似則、キャビテーション |
相似則の考え方、キャビテーションの問題と発生防止法を理解する。
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5週 |
ポンプの設計手順 |
具体的に渦巻ポンプを設計して行く手順を理解する。
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6週 |
羽根車設計計算(1) |
羽根車の性能計算方法を理解し,各自別の仕様に基づき計算を行う。
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7週 |
羽根車設計計算(2) |
同上
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8週 |
羽根車設計計算(3)
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同上
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2ndQ |
9週 |
ライナリング隙間設計計算
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微小隙間の処置とその部の漏れ量評価について理解し、各自別の仕様に基づき計算を行う。
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10週 |
軸系1次(キー・電動機)設計計算 |
キーや電動機の選定方法について理解し、各自別の仕様に基づき計算を行い、選定を行う。
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11週 |
渦巻室形状設計計算 |
渦巻室の設計方法について理解し、各自別の仕様に基づき計算を行う。
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12週 |
正面計画図1次 |
羽根車周辺部の計画図を描く。
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13週 |
渦巻室側壁厚さ・蓋フランジ厚さ・締付ボルト設計計算 |
渦巻室側壁厚さ・蓋フランジ厚さ・締付ボルトについて理解し、各自別の仕様に基づき計算を行う。
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14週 |
軸径2次(軸径・危険速度)設計計算(1) |
軸径・危険速度について理解し、各自別の仕様に基づき計算を行う。
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15週 |
軸径2次(軸径・危険速度)設計計算(2) |
同上
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16週 |
期末試験
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後期 |
3rdQ |
1週 |
正面計画図2次 |
主軸周辺部の計画図を描く。
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2週 |
側面計画図 |
ポンプ入口側から見たケーシングを描く。全体図とのバランスを確認する。
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3週 |
正面計画図3次 |
全体計画図を完成させる。軸受サイズ、太軸部長さのバランスを確認する。他部の寸法を決定する。
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4週 |
渦巻室詳細図(1) |
渦巻室の外周曲線が、スムーズな円曲線となるよう試行しながら描く。
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5週 |
渦巻室詳細図(2) |
同上
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6週 |
軸受台詳細図(1) |
電動機側の台に合せてポンプ側の台を決める。グランド・パッキンからの漏れは排水可能とする。
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7週 |
軸受台詳細図(2) |
同上
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8週 |
設計計算書(1)
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設計手順書に従ってポンプ各部の寸法を計算し、主要値を一覧表にしてまとめレポートする。
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4thQ |
9週 |
設計計算書(2) |
同上
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10週 |
設計計算書(3) |
同上
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11週 |
羽根車詳細図(1) |
羽根曲線を羽根車図で示し、二つの羽根曲線間がディフューザーになっていることを確認する。
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12週 |
羽根車詳細図(2) |
同上
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13週 |
全体組立断面図(1) |
計画図を修正して確定した全体組立図を描く。軸継手はJIS規格品を用いる。
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14週 |
全体組立断面図(2) |
同上
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15週 |
全体組立断面図(3) |
同上
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16週 |
期末試験実施せず
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 製図 | 図面の役割と種類を適用できる。 | 4 | 後15 |
線の種類と用途を説明できる。 | 4 | 後15 |
物体の投影図を正確にかくことができる。 | 4 | 後15 |
製作図の書き方を理解し、製作図を作成することができる。 | 4 | 後15 |
公差と表面性状の意味を理解し、図示することができる。 | 4 | 後12 |
CADシステムの役割と基本機能を理解し、利用できる。 | 4 | 後15 |
ボルト・ナット、軸継手、軸受、歯車などの機械要素の図面を作成できる。 | 4 | 後1 |
歯車減速装置、手巻きウインチ、渦巻きポンプ、ねじジャッキなどを題材に、その主要部の設計および製図ができる。 | 4 | 後15 |
機械設計 | 標準規格の意義を説明できる。 | 4 | 後1 |
許容応力、安全率、疲労破壊、応力集中の意味を説明できる。 | 4 | 後1 |
標準規格を機械設計に適用できる。 | 4 | 後1 |
ねじ、ボルト・ナットの種類、特徴、用途、規格を理解し、適用できる。 | 4 | 前13 |
ボルトに作用するせん断応力、接触面圧を計算できる。 | 4 | 前13 |
軸の種類と用途を理解し、適用できる。 | 4 | 前10 |
軸の強度、変形、危険速度を計算できる。 | 4 | 前15 |
キーの強度を計算できる。 | 4 | 前10 |
軸継手の種類と用途を理解し、適用できる。 | 4 | 前15 |
滑り軸受の構造と種類を説明できる。 | 4 | 前15 |
転がり軸受の構造、種類、寿命を説明できる。 | 4 | 前15 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる | 3 | |
複数の情報を整理・構造化できる。 | 3 | |
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | |