熱力学Ⅱ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 熱力学Ⅱ
科目番号 4519 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 丸茂榮佑・木本恭司:「工業熱力学」,コロナ社出版および配布プリント
担当教員 藤原 誠之

到達目標

本科目では熱力学に関し,以下の事項が理解できることを目標とする。
(1)ランキンサイクルについて理解する。
(2)再生,再熱,複合サイクルについて理解する。
(3)冷凍サイクルについて理解する。
(4)熱統計力学の考え方について理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ランキンサイクルについてよく理解している。ランキンサイクルについて理解している。ランキンサイクルについて理解していない。
評価項目2再生,再熱,複合サイクルについてよく理解している。再生,再熱,複合サイクルについて理解している。再生,再熱,複合サイクルについて理解していない。
評価項目3冷凍サイクルについてよく理解している。冷凍サイクルについて理解している。冷凍サイクルについて理解していない。
評価項目4熱統計力学の考え方についてよく理解している。熱統計力学の考え方について理解している。熱統計力学の考え方について理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本講義では,まず蒸気を用いた熱サイクル,すなわちランキンサイクルについて学ぶ。そして,ブレイトンサイクルを合わせた複合サイクルや冷凍サイクルについて学ぶ。後半ではミクロな視点で熱力学をとらえる熱統計力学について学び,熱力学に対する理解を深める。
この科目は企業で冷熱機器の研究開発を担当していた教員が、その経験を活かし、空調機器などの設計手法等について講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
講義形式の授業である。毎回の授業で課題を課し,理解を深める。
注意点:
暗記的に知識を覚えるのではなく,基本的な考え方を自分の頭で解釈すること.分からないことは積極的に質問すること.
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 水の蒸発現象と蒸気のp-v線図 相変化を有する水の蒸発について考え,そのp-v線図を学ぶ。
2週 水および水蒸気の状態量と蒸気線図 水および水蒸気の状態量について学び,モリエ線図について学ぶ。
3週 蒸気の状態変化 蒸気の等温変化,等容変化,等圧変化,断熱変化とその際の熱と仕事について学ぶ。
4週 ランキンサイクル1 ランキンサイクルにおける出力と熱効率について学ぶ。
5週 ランキンサイクル2 再生、再熱、複合サイクルについて学ぶ。
6週 冷凍サイクル 一般的に用いられている蒸気式の冷凍サイクルについて学ぶ。
7週 演習 演習を通して熱サイクルや状態線図の内容理解を深める。
8週 中間試験
4thQ
9週 位相空間と統計力学 位相空間において多粒子系の振舞いを理解するとともに,一自由度の単振動の振舞いから位相空間の理解を深める。
10週 エントロピーの統計力学的な定義 エントロピーの微視的な解釈の観点から理想気体のエントロピーを統計力学的に導く。
11週 ギブズのパラドックスおよび量子力学の基礎 混合エントロピーを基に,粒子の識別性による矛盾について考える。また,量子力学の考え方について学ぶ。
12週 微視的状態の量子力学的数え上げ 量子力学の基礎について学び,不確定性原理に基づく位相空間の単位体積について理解する。
13週 理想気体のエントロピーと状態方程式 これまでの講義をもとに,純統計力学的にエントロピーの絶対値を導出し,得られた結果が巨視的な熱力学から導かれる状態方程式と一致することを学ぶ。
14週 アンサンブル理論とミクロカノニカルアンサンブル 統計力学におけるエルゴードの仮説について学び,ミクロカノニカルアンサンブルの確率密度について学ぶ。また,確率分布に関するリュービルの定理について学び,流体力学との類似性を理解する。
15週 カノニカルアンサンブル 温度一定の系を取り扱う場合のアンサンブルである,カノニカルアンサンブルについて学ぶ。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4後1
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4後1
動力の意味を理解し、計算できる。4後1
熱流体熱力学で用いられる各種物理量の定義と単位を説明できる。4後1
閉じた系と開いた系、系の平衡、状態量などの意味を説明できる。4後1
熱力学の第一法則を説明できる。4後1
閉じた系と開いた系について、エネルギー式を用いて、熱、仕事、内部エネルギー、エンタルピーを計算できる。4後1
閉じた系および開いた系が外界にする仕事をp-V線図で説明できる。4後1
理想気体の圧力、体積、温度の関係を、状態方程式を用いて説明できる。4後1
定積比熱、定圧比熱、比熱比および気体定数の相互関係を説明できる。4後1
内部エネルギーやエンタルピーの変化量と温度の関係を説明できる。4後1
等圧変化、等積変化、等温変化、断熱変化、ポリトロープ変化の意味を理解し、状態量、熱、仕事を計算できる。4後1
熱力学の第二法則を説明できる。4後1
サイクルの意味を理解し、熱機関の熱効率を計算できる。4後1
カルノーサイクルの状態変化を理解し、熱効率を計算できる。4後1
エントロピーの定義を理解し、可逆変化および不可逆変化におけるエントロピーの変化を説明できる。4後1
サイクルをT-s線図で表現できる。4後1
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3

評価割合

試験課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力0000000
専門的能力90100000100
分野横断的能力0000000