流体の性質、静止状態および運動状態での力学、流体が物体に及ぼす力などについて理解し、流体機器を設計・製造・使用する際に必要な以下の能力を身に着けることを目標とします。
(1)流体の基本的な性質を理解し説明できる。
(2)パスカルの原理を理解し物体に作用する力の計算、マノメータによる圧力測定ができる。
(3)ベルヌーイの式、運動量定理を理解し工学的諸問題を計算できる。
(4)配管内部の流れの状態を理解し配管系の圧力損失を計算できる。
(5)物体表面の境界層を理解し抗力、揚力を計算できる。
概要:
流体力学を学ぶ目的は、力学法則や原理をもとに構築された流れの現象を理解し、それらによる論理的・実験的考察により現実問題の解決や新たな創造を行うものです。
本科目の目標は、流体力学の基礎知識を理解し、流体に関連する物理現象に対する洞察力を深めるとともに、流体機械等への工学的応用能力の修得です。具体的には、所謂水力学と呼ばれる分野について理解し、流体運動の工学的感覚を身に付けるとともに、機械設計に必要な基本的な流体の諸問題の計算方法を身に着けます。
授業の進め方・方法:
授業はスライドと板書を用いた講義を中心とし、単元ごとにワークと演習課題を実施します。目標を達成するためには、授業中の質疑やワークはもちろん、授業毎に与える演習課題に取り組み確実に理解できるように努めてください。理解が困難な場合は基礎に立ち返り、分からない場合は担当教員に質問や学生同士の学び合いをすること。
注意点:
(1)本科目は、力学(サイエンスⅠ(1年)、サイエンスⅢA(3年)、工業力学(3年))、数学(数学Ⅰ~数学Ⅲ)での学習内容を用いるので適宜復習しておくことが望ましいです。
(2)流体力学に関する知識を覚えるだけでなく、数学的記述と実際の流体現象との関連性をイメージしながら学習してください。つまり授業中は単にノートを取るだけでなく、問いかけでは思考を働かせ、ワークでは積極的に協働して取り組むことが必要です。
(3)演習課題の解説と解答はweb上で配布します。提出方法や解答の取得方法については授業の初回に説明します。
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び演習課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容です。
全授業の1/3以上を欠席した場合、評価の対象としません。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
授業ガイダンス 流体の基本的性質ととらえ方 |
科目の目標を理解し説明できる。 流体の定義と力学的取扱い、流体の性質と各種物理量の定義と単位を理解し適用できる。 圧縮性流体と非圧縮性流体、ニュートンの粘性法則、実在流体と理想流体を理解し説明できる。
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2週 |
流体の静力学(1) |
絶対圧力およびゲージ圧力を理解し説明できる。 パスカルの原理を説明できる。液柱計やマノメータを用いて圧力を測定できる。
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3週 |
流体の静力学(2) |
平面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。
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4週 |
流体の静力学(3) 流体の動力学の基礎(1) |
曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。 物体に作用する浮力を計算できる。 流速と流量を理解し計算できる。
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5週 |
流体の動力学の基礎(2) |
定常流と非定常流の違い、流線と流管の定義を説明できる。 層流と乱流の違いを説明できる。レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 連続の式を理解し説明できる。
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6週 |
一次元流れの基礎方程式 |
1次元流れの取り扱い方、連続の式を理解し流速と流量を計算できる。 オイラーの運動方程式を説明できる。 ベルヌーイの式を理解し説明できる。
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7週 |
ベルヌーイの定理の応用 |
ベルヌーイの式を理解し関連する諸問題(トリチェリの定理を用いた流速の計算、ピトー管を用いた流速の測定、ベンチュリ管を用いた流量の測定)に適用できる。
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8週 |
前半のまとめ 運動量理論
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ここまでの学習内容について確認する。 運動量理論を理解し流体が物体に及ぼす力(平板に作用する力)を計算できる。
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4thQ |
9週 |
中間試験 |
第1週~第7週までの学習内容について筆記試験を行う。
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10週 |
運動量理論の応用(1) |
運動量定理を理解し流体が物体に及ぼす力(曲板・ノズルに作用する力、ジェット推進)を計算できる。
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11週 |
運動量理論の応用(2) 流路内の流れと損失(1) |
角運動量定理を理解し流体が物体に及ぼす力(ポンプ羽根車に作用するトルク)を計算できる。 配管内部の速度分布を理解し、管摩擦損失係数を導出することができる。
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12週 |
流路内の流れと損失(2) |
ダルシー・ワイズバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。
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13週 |
流路内の流れと損失(3) |
局所損失の定義を理解し、管摩擦損失を含めた配管系の圧力損失を計算できる。
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14週 |
物体まわりの流れ |
流れの中に置かれた物体の受ける抗力について理解し抗力係数を用いて抗力を計算できる。 流れの中に置かれた物体の受ける揚力について理解し揚力係数を用いて揚力を計算できる。
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15週 |
境界層の流れ |
境界層内部の現象を理解し摩擦抵抗を導出することができる。 はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を理解し説明できる。
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16週 |
期末試験
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第10週~第15週までの学習内容について筆記試験を行う。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 機械系分野 | 熱流体 | 流体の定義と力学的な取り扱い方を理解し、適用できる。 | 4 | 後1 |
流体の性質を表す各種物理量の定義と単位を理解し、適用できる。 | 4 | 後1 |
ニュートンの粘性法則、ニュートン流体、非ニュートン流体を説明できる。 | 4 | 後1 |
絶対圧力およびゲージ圧力を説明できる。 | 4 | 後2 |
パスカルの原理を説明できる。 | 4 | 後2 |
液柱計やマノメーターを用いた圧力計測について問題を解くことができる。 | 4 | 後2 |
平面や曲面に作用する全圧力および圧力中心を計算できる。 | 4 | 後3,後4 |
物体に作用する浮力を計算できる。 | 4 | 後4 |
定常流と非定常流の違いを説明できる。 | 4 | 後5 |
流線と流管の定義を説明できる。 | 4 | 後6 |
連続の式を理解し、諸問題の流速と流量を計算できる。 | 4 | 後6 |
オイラーの運動方程式を説明できる。 | 4 | 後6 |
ベルヌーイの式を理解し、流体の諸問題に適用できる。 | 4 | 後7 |
運動量の法則を理解し、流体が物体に及ぼす力を計算できる。 | 4 | 後9,後10,後11 |
層流と乱流の違いを説明できる。 | 4 | 後5,後12,後13 |
レイノルズ数と臨界レイノルズ数を理解し、流れの状態に適用できる。 | 4 | 後5,後12,後13 |
ダルシー・ワイスバッハの式を用いて管摩擦損失を計算できる。 | 4 | 後12,後13 |
ムーディー線図を用いて管摩擦係数を求めることができる。 | 4 | 後12,後13 |
境界層、はく離、後流など、流れの中に置かれた物体の周りで生じる現象を説明できる。 | 4 | 後14,後15 |
抗力について理解し、抗力係数を用いて抗力を計算できる。 | 4 | 後14,後15 |
揚力について理解し、揚力係数を用いて揚力を計算できる。 | 4 | 後14,後15 |
計測制御 | 国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。 | 4 | 後1 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | コミュニケーションスキル | コミュニケーションスキル | 日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。 | 3 | |
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。 | 3 | |
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。 | 3 | |
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。 | 3 | |
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。 | 3 | |
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | |
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。 | 3 | |
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。 | 3 | |
事実をもとに論理や考察を展開できる。 | 3 | |
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | |