サイエンスⅠ-1

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 サイエンスⅠ-1
科目番号 5109 科目区分 一般 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気情報工学科 対象学年 1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 総合物理 1 -力と運動・熱- (数研出版) / 新課程 リードα 物理基礎・物理 (数研出版)
担当教員 武内 將洋

到達目標

1.ベクトルの概念を理解し、適切に扱うことができる。
2.基礎的な物量の概念を理解し、他人と議論することができる。
3.基礎的な物理の問題を理解し、他人に対し解説することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1ベクトルの概念を理解し、適切に扱うことができる。ベクトルの概念を理解し、扱うことができる。ベクトルの概念を理解していない。
評価項目2基礎的な物量の概念を理解し、他人と議論することができる。基礎的な物量の概念を理解している。基礎的な物量の概念を理解していない。
評価項目3基礎的な物理の問題を理解し、他人に対し解説することができる。基礎的な物理の問題を理解している。基礎的な物理の問題を理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
力学は、以下の4分野で考える。1年生の前期では力学1と2を学習する。
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力学1:ベクトル概念を「位置・速度・加速度」を題材として学ぶ。二次元座標を扱うため三角関数の学習は必須である。また、有効数字・単位の取扱いをはじめ、工学を学ぶための心構えについての修得も目指す。
力学2:因果関係の存在を物理現象を題材として意識する。具体的には、力学1で学習した加速度はあくまでも「結果」であり、「原因」が力やトルク、そして質量などの属性が結果に影響を及ぼすことを理解する。そして、つり合いや運動方程式の立式について習熟する。
力学3:物理の時制(過去→現在→未来)について理解し、スカラー量とベクトル量に関する2つの保存則(エネルギーと運動量)として書き下せる。
力学4:力学1,2,3で培った基礎を元に、応用として、等速円運動を扱う。次に、物理現象を観測する立場の違いの考察から、3つの慣性力と万有引力について気づく。そして、あらゆる力学現象は運動方程式で表現されること(立式さえできれば後は解くだけ)を理解する。
授業の進め方・方法:
授業: 90分を次の6つに分けて進行する。①本読み、②前時の復習、③本時の講義、④班別協議、⑤模擬授業、⑥振り返り。④以降の活発な議論のため、学習支援サイトの解説動画の事前視聴を義務付けている。近い将来、①②③を廃して反転授業に移行する可能性があるため、学習の軸足を予習に置いておきたい。
課題: まとめ能力の涵養のため、単元ごとに「メモリーツリー」の作成を課す。
試験: 授業者と評価者は異なるべき、という考え方がある。この考え方に則り、定期試験の問題は教員オリジナル作成問題を排除し、市販の高校用問題集からのみ出題する。ただし、数値や問い掛け文章および回答様式は変更されている。
予習教材(動画)・授業・課題・試験、の全ては「問題集」を軸としている。教員解説や教科書は参考程度に扱ってよいが、問題集については第三者的外部評価システムと捉え、隅から隅まで完全理解するよう取り組んでほしい。市井の問題集が解ける!という事実と実感は、学習者が学外活動を行う上で大いなる自信となるであろう。
注意点:
評価: 評価点はどの時点でも学生自身で計算できる。具体的な計算式は物理の学習支援サイトに記載しているので、イベント毎に計算しておくこと。https://sites.google.com/s.akashi.ac.jp/physics/
再試験: 試験ごとの成績不良者に対する再試験は、行わない。
追試験: コロナ・インフル・公欠による試験欠席者に対する追加の試験は、行う。
欠席: 評価の対象としない欠席条件(割合) は 1/3以上の欠課。
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何かを一から考えていいのは中学生までである。巨人の肩の上に立たない学習者は、効率が悪いだけでなく、先達を冒涜しているとも言える。物理学習ではマンガやアニメから受けた誤概念(素朴概念)が正しい理解を妨げることがある。先達によって培われた思考の『型』を身につけることで、誤概念や疑似科学に惑わされない、骨太な技術者になろう!

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ALに関するガイダンス。
変位と速度(p12-p19)
ベクトルの概念を説明できる(「変化」=「今」ー「過去」)
問題集の2,3,4,5を解説できる。
2週 平均速度と瞬間の速度(p20-p22)
指数計算と有効数字(p261-p264)
精度と有効数字の関係を説明できる。
教科書p264の例1,2,3,4、問題集p311,p313を説明できる。
3週 三角関数(p64-p65)
相対速度(p23-p25)
ベクトルの概念を説明できる(「見方」=「対象」-「観測者」)
問題集の6,8,9,18を解説できる。
4週 v-tグラフと等加速度直線運動の3つの公式(p27-p39)
◆単元テスト(0.ベクトル・有効数字・三角関数)
物理の文章の読み方を説明できる(「文」→「図」→「式」、の変換)。
問題集の13,14,15,19を解説できる。
5週 重力加速度測定実験(実験プリント) 安全に実験し、時間内に報告書を提出できる。
問題集の11を解説できる。
6週 落体運動と水平投射(p40-p49)
◆単元テスト(1.運動の表し方)
ベクトルの概念を説明できる(水平成分と鉛直成分の独立性)。
問題集の32,33,39,40を解説できる。
7週 斜方投射(p50-p54) ベクトルの概念を説明できる(水平成分と鉛直成分の独立性)。
問題集の35,36,37,43を解説できる。
8週 力のベクトルと力の見つけ方(p58-p63)
◆単元テスト(2.落体の運動)
相互作用について説明できる(二者の対等な関係)。
教科書p72,73の全問と問題集47、および52,54,56を解説できる。
2ndQ
9週 力のつりあいと作用反作用(p66-p73) ベクトルの概念を説明できる(水平成分と鉛直成分の独立性)。
問題集の58,60,62,63を解説できる。
10週 運動方程式(p74-p85)
◆単元テスト(3.力のつりあい)
因果について説明できる(原因と結果のシステム)。
問題集の67,73,77,91を解説できる。
11週 摩擦力(p86-p90) 摩擦に関する3つのお話を説明できる。
問題集の80,82,89,90を解説できる。
12週 圧力と浮力と空気抵抗(p91-p97) 「1013hPa」と「アルキメデス」のお話を説明できる。
問題集の83,86,87,93を解説できる。
13週 浮力とトルクのつりあい(p94-p103) 「ネジる強さ」と「てこの原理」を数値化できる。
問題集の95,97,104,105を解説できる。
14週 剛体にはたらく合力と重心計算(p104-p112)
◆単元テスト(4.運動の法則)
「ネジること」と「重心公式」の関係を説明できる。
問題集の101,102,103,106を解説できる。
15週 剛体の傾きと転倒(p110-p112)
◆単元テスト(5.剛体に働く力のつり合い)。
物理以外の相互作用(interaction)についても、説明しようとする態度をとることができる。
16週 期末試験は実施しない

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前1,前2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前3,前4,前5
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前6,前7
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前5
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6,前7
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前6,前7
物体に作用する力を図示することができる。3前9,前10
力の合成と分解をすることができる。3前9,前10
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前13
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前9,前10
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前9,前10,前15
慣性の法則について説明できる。3前11
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前10,前12,前13,前14
運動方程式を用いた計算ができる。3前11,前15
運動の法則について説明できる。3前11
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前12
最大摩擦力に関する計算ができる。3前12,前15
動摩擦力に関する計算ができる。3前12,前15
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前4
安全を確保して、実験を行うことができる。3前4
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前4
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前4,前5
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

単元テストその他合計
総合評価割合4060100
基礎的能力4060100