過渡現象論

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 過渡現象論
科目番号 0015 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 電気情報工学科(電気電子工学コース) 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 本郷忠敬著:「基礎 過渡現象」、オーム社
担当教員 周山 大慶

到達目標

過渡現象に関する基礎的な問題と解法を理解すること。数学的解釈のみにとどまらず、物理的意味も理解すること。扱う回路は次の3種類である。
(1)単エネルギー回路(R-L回路, R-C回路)
  単エネルギー回路の理解と解法。
(2)複エネルギー回路(R-L-C回路)
  複数種のエネルギー問題。発振回路の基本的な設計知識。
(3)分布定数回路
  基本的性質の理解と通信回線・送電線など現実の線路との関連。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 単エネルギー回路(R-L回路, R-C回路) :単エネルギー回路の問題と解法を理解し、実際問題が解ける。単エネルギー回路(R-L回路, R-C回路) :単エネルギー回路の問題と解法を理解できる。単エネルギー回路(R-L回路, R-C回路) :単エネルギー回路の問題と解法を理解できない。
評価項目2 複エネルギー回路(R-L-C回路) :複数種のエネルギー問題、発振回路の基本的な設計ができる。複エネルギー回路(R-L-C回路) :複数種のエネルギー問題、発振回路の基本的な設計が理解できる。複エネルギー回路(R-L-C回路) :複数種のエネルギー問題、発振回路の基本的な設計ができない。
評価項目3 分布定数回路: 基本的性質と通信回線・送電線など現実の線路との関連を理解し、問題を解決できる。分布定数回路: 基本的性質と通信回線・送電線など現実の線路との関連が理解できる。分布定数回路: 基本的性質と通信回線・送電線など現実の線路との関連が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (F) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (H) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
定常現象と過渡現象の相違を明らかにし、単・複エネルギー回路と分布定数回路の過渡現象について学ぶ。そのような過渡現象にラプラス変換を使用して微分方程式を解く方法を述べる。
授業の進め方・方法:
合格の対象としない欠席条件(割合): 1/3以上の欠課
定期試験100%。
上記成績が総合60点以上であれば合格とする。
合格の基準は次の3点である。
(1)過渡現象に関する基礎的な問題と解法を理解すること。
(2)単・複エネルギー回路、分布定数回路の過渡現象を理解し、解析できる
こと。
(3)数学的解釈のみにとどまらず、物理的意味を理解すること。 
注意点:
ラプラス変換を使用して微分方程式を解くことが主となるので、種々の数学関数のラプラス変換・逆変換をしっかり勉強しておく必要がある。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 過渡現象と問題解法の基礎
過渡現象の基本的な概念について説明し、その取り扱いについて、学習の指針を述べる。単エネルギーR-L回路の過渡現象問題の解法を説明する。
単エネルギーR-L回路の過渡現象問題の解法を説明できる。
2週 単エネルギー回路の過渡現象(1)
一般的にR-LまたはR-C回路の過渡現象では、静電エネルギーまたは磁界エネルギーの一方しか存在しないので、振動が起こらない。そのような回路について学習する。
R-LまたはR-C回路の過渡現象では、静電エネルギーまたは磁界エネルギーの一方しか存在しないので、振動が起こらないことを理解できる。
3週 単エネルギー回路の過渡現象(2)
前週に続き、初期値の扱いに便利なラプラス変換を使用して、基礎的な問題の解法を説明する。
ラプラス変換を使用して、基礎的な問題の解法を使えること。
4週 単エネルギー回路の過渡現象(3)
交流起電力を加える場合、単エネルギー回路の過渡現象を学習する。
交流起電力を加える場合、単エネルギー回路の過渡現象を理解できる。
5週 ラプラス変換の定義、ラプラス変換の諸定理と逆変換
ラプラス変換を定義し、これを用いた問題解法の指針を与える。実際に問題を解く場合に必要なラプラス変換の諸定理と逆変換について、解説と演習を行う。
ラプラス変換の諸定理と逆変換を使用できる。
6週 ラプラス変換を用いた回路解析の基礎
LまたはCを含む基本的回路について、ラプラス変換を用いて、電圧・電流の一般解を求める方法について解説する。
ラプラス変換を用いて、電圧・電流の一般解を求めることができる。
7週 演習
単エネルギー回路の過渡現象についての演習を行う。
演習
単エネルギー回路の過渡現象についての演習を行う。
8週 中間試験
中間試験
2ndQ
9週 複エネルギー回路の過渡現象(1)
1つの回路に磁界エネルギーと静電エネルギーが存在する、即ちL,C,Rが混在する回路では、微分方程式は2階となり、振動する場合とそうでない場合が出て来る。そのような回路について学習する。
複エネルギー回路の過渡現象の基礎、微分方程式の解法を理解できる。
10週 複エネルギー回路の過渡現象(2)
直流起電力を加える場合、複エネルギー回路のLRC回路の放電の過渡現象について学習する。
直流起電力を加える場合、複エネルギー回路のLRC回路の放電の過渡現象を理解できる。
11週 複エネルギー回路の過渡現象(3)
交流起電力を加える場合、複エネルギー回路のLRC回路に交流起電力を加える場合の過渡現象について学習する。
交流起電力を加える場合、複エネルギー回路のLRC回路に交流起電力を加える場合の過渡現象を理解できる。
12週 分布定数回路の定常現象と過渡現象の基礎
分布定数回路の定常現象と過渡現象時における基礎方程式を導出し、基本的な概念と考え方について説明する。
分布定数回路の定常現象と過渡現象の基礎
分布定数回路の定常現象と過渡現象時における基礎方程式を導出し、基本的な概念と考え方を理解できる。
13週 分布定数回路の過渡現象(1)
無限長線路・無損失線路・無ひずみ線路について、ラプラス変換を用いた解法を紹介する。
分布定数回路の過渡現象(1)
無限長線路・無損失線路・無ひずみ線路について、ラプラス変換を用いた解法を理解できる。
14週 分布定数回路の過渡現象(2)
前週に続き、分布定数回路の過渡現象について、ラプラス変換を用いた解法を学習する。線路上の波動伝搬速度を求める。
分布定数回路の過渡現象について、ラプラス変換を用いた解法を学習する。線路上の波動伝搬速度を求めることができる。
15週 演習
複エネルギー回路と分布定数回路についての演習を行う。
演習
複エネルギー回路と分布定数回路についての演習を行う。
16週 期末試験
期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路電荷と電流、電圧を説明できる。4
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。4
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。4
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。4
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。4
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。3
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前2
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。2
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。4
理想変成器を説明できる。4
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4
網目電流法を用いて回路の計算ができる。3
節点電位法を用いて回路の計算ができる。3
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。3

評価割合

試験演習相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000