電気電子工学実験Ⅱ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 電気電子工学実験Ⅱ
科目番号 5519 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気情報工学科(電気電子工学コース) 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 ATmega328/328P完全データシート、Arduino Cookbook (O'REILLY) 、共にWeb上で著作権者により無償公開中のpdf資料。
担当教員 榎本 隆二

到達目標

(1) マイクロコントローラとホスト上の統合開発環境を使った電子システムの設計・開発ができる
(2) システム概念設計から基本設計、詳細設計に至るシステム開発工程の全体を自ら計画し管理できる
(3) 電子システムの開発に必要な要素技術を明示的に活用できる
(4) グループワークを進めることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1マイコンのデータシートを参照して、初見の機能であっても簡単なアドバイスのもとで実装できるマイコンのデータシートを参照し、教員の指導のもと、初見の機能であっても実装できる実例を示されても、初見の機能を自らの力で実装できない。
評価項目2システム開発工程の各ステージにおけるドキュメント管理の基本を理解し活用できるシステム開発工程の各ステージにおいて、必要なドキュメントを書くことができるシステム開発工程の各ステージの意味がわからないため、工程管理ができない
評価項目3これまでに習得した電気電子・情報の各分野の知識を技術的な課題解決のために明示的に活用できる技術的な課題に遭遇したとき、提案手段がもたらす結果を事前に予測できる技術的な課題に対して、試行錯誤的な対応に終止する
評価項目4グループで連携したり役割分担したりしながらワークを進め,与えられた課題を解決することができるグループで与えられた課題に取り組むことができるグループワークを苦手とし、役割理解も役割分担もできない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
これまでに習得した電気電子工学の知識や技術を実際の電子システムの設計開発に活用する。開発には標準的なシステム開発プロセスに準拠する。プロジェクトチームとして班単位で開発を進めていくことで、自身の役割を理解し、高い協調性と指導力を有する技術者の育成を目指す.報告会と報告書の提出を通じて、プレゼンテーション能力とプロジェクト管理に必要な文章表現能力の深化を目指す.なお、この科目は企業で宇宙防衛システムや大規模フィジカルシステムのシミュレータの設計を担当していた教員が指導する講義である。
授業の進め方・方法:
数名の小班に分かれて班ごとにPBL形式でのシステム開発課題に取り組む。システム概念設計では任務要求事項(ミッション)を明示する。システム基本設計では「そのシステムが開発された状態」を具体的に記述する。システム詳細設計ではその実現方法を規定する。各段階で教員による設計審査(レビュー)がある。部品発注、サブシステムの組み立てを経てシステムを統合し、性能・機能試験を実施した後、開発完了を報告する。
注意点:
開発するシステムは、複数のセンサ入力をもつマイコンとホスト側のプログラムを有し、タイマー割り込み、ハードウエア割り込みの活用を必須事項とする。
評価の対象としない欠席条件(割合):1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 システム開発上の諸注意・班編成 システム開発工程の各段階の意義を説明できる
2週 システム概念設計1 開発システムに名前をつけ、それが如何なるミッションを有するかを説明できる
3週 システム概念設計2・システム基本設計1 概念設計書を完成させ、そのシステムが完成された状態を規定できる
4週 システム基本設計2 開発システムが完成したか否かを知るための具体的なチェック方法(システム試験項目)を列挙できる
5週 システム設計審査1 システム基本設計書を提出し、教員による設計審査を通過する
6週 システム詳細設計1 開発システムを実現するための工学プロセスを進めることができる。必要ならばプロトライプ機を組み立てて検討する
7週 システム詳細設計2 開発システムを実現するための工学プロセスを進めることができる。必要ならばプロトライプ機を組み立てて検討する
8週 システム詳細設計3 システム詳細設計書と物品の発注依頼票を提出する
2ndQ
9週 システム実装1 サブシステムごとの実装開発を進める
10週 システム実装2 サブシステムごとの実装開発を進めるつつ、システム統合を模索する
11週 システム実装3 サブシステムの統合を進め、問題点を把握し、また性能向上のための改善設計を行う
12週 システム試験1 システムを統合し、システムレベルの試験を実施、システム改善を進める
13週 システム試験2 システムレベルの試験を繰り返し、試験報告書を提出する
14週 システム開発完了報告会 開発システムのデモンストレーションを行い、システム開発の完了を報告する
15週 システム開発完了報告書作成 システム開発完了報告書を提出する
16週 期末試験は実施しない

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。4前9
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。4前9
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。4前9
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。4前16
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。4前16
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。4前16
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。4前16
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。4前11,前12,前13,前14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。4前11,前12,前13,前14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。4前11,前12,前13,前14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。4前16
専門的能力分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】増幅回路等(トランジスタ、オペアンプ)の動作に関する実験結果を考察できる。4前1,前9
トランジスタの電気的特性の測定法を習得し、その実験結果を考察できる。4前9
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能他者の意見を聞き合意形成することができる。4前2,前3,前4,前5,前10
合意形成のために会話を成立させることができる。4前2,前3,前4,前5,前10
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。4前2,前3,前4,前5,前10
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。4前2,前6,前7,前15
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。4前2,前3,前4
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前10
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。4前7,前15
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。4前7,前15
事実をもとに論理や考察を展開できる。4前15,前16
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。4前15,前16
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。4前11,前12,前13,前14
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。4前11,前12,前13,前14
目標の実現に向けて計画ができる。4前5,前8
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。4前8
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。4前8
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。4前5,前10,前11,前12,前13,前14
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。4前5,前10,前11,前12,前13,前14
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。4前5,前10,前11,前12,前13,前14
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。4前5,前10,前11,前12,前13,前14
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。4前5,前10
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。4前2,前3,前4,前10,前11,前12,前13,前14
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている4前5,前10
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。4前4,前11
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。4前4,前11
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。4前4,前11
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。4前2,前3,前4
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。4前2,前3,前4
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。4前2,前3,前4

評価割合

各種設計書開発完了報告会開発完了報告書合計
総合評価割合403030100
基礎的能力10101030
専門的能力20202060
分野横断的能力100010