到達目標
本科目は入門的な科目に位置づけられるため、法学の予備知識は不要である。ただし、法学が実社会と密接な関連をもつ学問であることから、日頃から時事問題には常に注意を向ける姿勢が求められる。また、講師はインタラクティブな授業を想定しているので、受講者に積極的な発言を求めることもある。受講生の主体的な学習態度をもとに以下を達成したい。
本科目では、最初に法学の対象、目的、方法論等、法学に関する基本的な知識の習得を目指す。その後、実定法の体系を確認し、憲法、刑法、及び民法の基礎知識を、具体的な事例や重要判例の分析等を通じて習得する。また、国家間の権利義務関係を規律する国際公法についても理解を深める。そして最終的に、現代社会で生じている様々な事件や事象を、法的に考察する能力を身につけることを目標とする。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 法学の対象、目的、方法論等、法学に関する基本的な知識を熟知している | 法学の対象、目的、方法論等、法学に関する基本的な知識を持っている。 | 法学の対象、目的、方法論等、法学に関する基本的な知識が不十分。 |
評価項目2 | 憲法、刑法、及び民法に関し、具体的な事例や重要判例を含めた十分な知識がある。また国際公法についてもよく理解している。 | 憲法、刑法、及び民法に関しある程度の基礎知識があり、具体的な事例や重要判例も一応の知識がある。国際公法についても初歩的な理解がある。 | 憲法、刑法、及び民法の基礎知識が不十分。国際公法についても理解が不十分。 |
評価項目3 | 現代社会で生じている様々な事件や事象を、的確に法的に考察することができる。 | 現代社会で生じている様々な事件や事象を考える際に,ある程度法的な思考ができる。 | 現代社会で生じている様々な事件や事象を捉える際、法的な観点からの思考ができない。 |
学科の到達目標項目との関係
学習・教育到達度目標 (A)
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学習・教育到達度目標 (B)
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学習・教育到達度目標 (C)
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教育方法等
概要:
本科目では、法律学の基本概念及び法的思考を理解し、社会生活における重要なテーマを通じて、社会と法の在り方や問題について考えていくことを目的とする。また、日本における様々な法律について、基本的人権といった重要事項と関連づけて学習を行う。
授業の進め方・方法:
配布資料や板書を用いた講義を中心とするが、インタラクティブな授業にするために受講者には積極的な発言を求める。
注意点:
本科目では法律学の基本概念を体系的に解説するが、受講者の理解度を見て各授業のテーマ、取り上げる順番を変更することがある。
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス・法とは何か 法の概念や分類について学習する。 |
私達の世界が複数の種類の法によって重畳的に構成されていることを理解する。
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2週 |
法の歴史 法の歴史的な発展過程について学習する。 |
私達の周囲の法はどのように生まれたのかについて理解する。
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3週 |
法の適用 法源や法の構造について学習する。 |
法には、文で示されるものでなく、不文の形式もある。様々な形式の法があることを理解する。
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4週 |
法の解釈 法の解釈方法について学習する。 |
法の文言の意味は必ずしも一つではない。解釈の方法によって異なる意味合いを持つことを理解する。
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5週 |
法と裁判(民事裁判制度) 民事裁判制度について学習する。 |
私達が裁判の当事者になった場合に、どのように進行していくのかを理解する。
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6週 |
法と裁判(刑事裁判制度) 刑事裁判制度について学習する。 |
前回に引き続き、私達が裁判の当事者になった場合に、どのように進行していくのかを理解する。
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7週 |
憲法入門(憲法の基本原理) 日本国憲法の基本原理(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)について学習する。 |
憲法は国家の基本法であり、日本のあらゆる法の最上位にある憲法の根幹理念を理解する。
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8週 |
レポート作成
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レポート課題を課す。
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2ndQ |
9週 |
憲法における諸権利 憲法には様々な人権規定があり、人権規定の全体的構造を学ぶ。 |
憲法の重要概念である基本的人権について、憲法がどのように保障しているのかを理解する。
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10週 |
憲法における人権:自由権 憲法が保障する自由権について学習する。 |
自由権について、その基礎概念を理解する。
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11週 |
憲法における人権:社会権 憲法が保障する社会権について学習する。 |
社会権について、その基礎概念を理解する。
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12週 |
刑法の基本原則 刑法の機能や犯罪の成立要件について学習する。 |
ある行為がいかにして刑法上の犯罪として法的に構成されるのかを理解する。
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13週 |
民法の基本原則 財産法や家族法の基本原則について学習する。 |
日常生活における私人間の約束は、民法上の契約を構成しうることを理解する。
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14週 |
国際社会と法(国際法の基礎) 国家間関係を規律する国際法の基礎的事項について学習する。 |
法は個人だけに適用されるのではなく、国家にも適用される。国際法の基礎について理解する。
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15週 |
国際社会と法(武力紛争法) 武力紛争時における適用規範である武力紛争法の基本原則について学習する。 |
武力紛争(戦争)時には、平時とは異なる法が適用される。武力紛争法の基本について理解する。
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16週 |
期末試験
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期末試験(筆記)を行う。
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 公民的分野 | 自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 3 | |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 2 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 1 | |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 2 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 2 | |
分野横断的能力 | 態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 2 | |
評価割合
| 期末試験 | 課題(小レポート) | 相互評価 | 平常点(授業態度) | ポートフォリオ | その他 | 合計 |
総合評価割合 | 80 | 10 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
基礎的能力 | 80 | 10 | 0 | 10 | 0 | 0 | 100 |
専門的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
分野横断的能力 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |