概要:
過去の哲学者・倫理学者の思想や、学問的思考の技術を学びながら、暮らしや社会における身近な問題について、多角的かつ批判的に思考・議論する力の習得を目指す。また、応用編として、現代社会において技術者が直面する倫理的な問題について、実際の事例や法律を参照しながら分析を行う。
授業の進め方・方法:
用意した資料を用いた講義を中心として授業を進める。
また、適宜学生に対して授業の内容に関連する質問を行い、意見を出してもらう。
加えて、毎回課題とアンケートを提出してもらい、理解度を測るとともに、疑問点や理解不足の点については翌週以降にフィードバックする。
注意点:
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
哲学・倫理学とは何か? 授業計画の概観
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哲学・倫理学についての基本的な考え方を知り、それを学ぶことの意義を理解する。
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2週 |
日本における哲学の歴史1(明治初期) 科学としての学問 |
近代日本の学問の基礎を作った福沢諭吉の思想を理解し、近代における「科学」としての学問の有様について反省する。
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3週 |
日本における哲学の歴史2(明治初期) 哲学と科学の関係 |
日本で初めて「科学」の構想を示した西周の思想を理解し、「哲学」が学問において有する意義について考える。
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4週 |
日本における哲学の歴史3(明治初期) 科学と教育 |
近代日本の教育の基礎となった「学制」の思想を理解し、そこで「哲学」が果たした役割について考察する。
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5週 |
日本における哲学の歴史4(明治中期) 進化論と道徳 |
日本の科学・哲学研究に大きな影響を与えた「進化論」を理解し、そこから出てくる道徳についての思索を検討する。
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6週 |
日本における哲学の歴史5(明治中期) 生物の進化と社会の進化 |
「進化論」の導入以降の日本の科学研究の変化について理解し、それが与えた影響を把握する。
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7週 |
日本における哲学の歴史6(明治中期) 「進化論」の問題点 |
「進化論」の思想が有する問題点について理解し、その得失について批判的に論ずる。
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8週 |
レポート作成
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哲学・倫理学上の問題について、個々の観点から考察し、意見を提示する。
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2ndQ |
9週 |
日本における哲学の歴史7(明治後期) 「科学」に対する二つの観点 |
明治期の後半から現れてきた新しい「科学」観を理解し、それが過去のそれといかに異なるかを考える。
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10週 |
日本における哲学の歴史8(明治後期) 新しい「科学」と道徳 |
明治後期以降の「科学」観において提示される道徳についての思索を理解し、その特性について検討する。
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11週 |
日本における哲学の歴史9(明治後期) 二つの「科学」観と「哲学」の関係 |
明治後期以降の「科学」観と、当時の「哲学」研究の結びつきを理解し、「哲学」の意義を再考する。
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12週 |
日本における哲学の歴史10(大正期) 哲学的思考と科学的思考 |
大正期以降の哲学研究の基礎を作った西田幾多郎の思想を理解し、そこで示される「哲学」「科学」の差異を把握する。
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13週 |
日本における哲学の歴史11(大正期) 科学技術と倫理 |
大正期の哲学・倫理学研究で提示される科学技術と倫理の関係についての思索を理解し、その現代的意義を反省する。
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14週 |
技術倫理1 技術倫理とは何か? |
現代社会においてどのような「技術倫理」の問題が見られるかを理解し、具体的な事例に即してその意義を考察する。
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15週 |
技術倫理2 技術者として生きることの問題 |
現代において技術者として生きることをめぐる問題について理解し、いかにしてそれに対応すべきかを考える。
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16週 |
レポート作成 |
哲学・倫理学的思索と現代社会の関係について各々の観点から考察し、意見を提示する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 3 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13 |
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 1 | 前2,前3,前4 |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 前8,前14,前15,前16 |
工学基礎 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 2 | 前14,前15 |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 2 | 前14,前15 |
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 2 | 前1,前12,前13,前14,前15 |