鋼構造学Ⅰ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 鋼構造学Ⅰ
科目番号 0096 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 都市システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 舘石和雄:土木・環境系コアテキストシリーズ B-4 鋼構造学,コロナ社(テキスト)  必要に応じてプリントを配布する. 長井正嗣:橋梁工学【第2版】,共立出版(参考文献)
担当教員 三好 崇夫

到達目標

(1) 鋼材の製造方法や材料特性,材料規格や設計材料強度を理解し説明できる(D).
(2) 引張部材の応力集中,偏心やケーブルについて理解し,説明できる(D).
(3) 引張部材の強度を求め,簡単な設計計算ができる(F).
(4) 圧縮部材の座屈現象,細長比パラメータ,有効座屈長や初期不整について理解し,説明できる(D).
(5) 柱の基準耐荷力を求め,簡単な柱部材の設計計算ができる(F).
(6) 無補剛板や補剛板の座屈現象,幅厚比パラメータについて理解し,説明できる(D).
(7) 無補剛板や補剛板の基準耐荷力を求め,簡単な設計計算ができる(F).
(8) 圧縮部材の幅厚比制限,連成座屈強度,細長比制限について理解し,説明できる(D).
(9) 曲げ部材の断面区分,ねじり定数比,せん断中心,腹板に生ずる座屈やせん断遅れについて理解し,説明できる.(D)
(10) 曲げ部材の降伏モーメント,全塑性モーメント,横ねじり座屈強度や基準せん断強度を理解し,簡単な設計計算ができる.(F)
(11) 組み合わせ外力を受ける部材の照査方法を理解し,簡単な組み合わせ外力状態にある部材の設計計算ができる.(F)
(12) 鋼桁橋の構造と特徴,その設計方法のあらましについて理解し,説明できる.(D)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鋼材の製造方法や材料特性等を十分に理解し説明できる鋼材の製造方法や材料特性等を理解し説明できる鋼材の製造方法や材料特性等を理解し説明できない
評価項目2引張部材の応力集中,偏心やケーブルについて,十分に理解し,説明できる.引張部材の応力集中,偏心やケーブルについて理解し,説明できる.引張部材の応力集中,偏心やケーブルについて理解や説明ができない.
評価項目3計算例がなくとも,引張部材の強度を求め,簡単な設計計算ができる.計算例を見ながら,引張部材の強度を求め,簡単な設計計算ができる.引張部材の強度を求めたり,簡単な設計計算ができない.
評価項目4圧縮部材の座屈現象,細長比パラメータ,有効座屈長や初期不整について十分に理解し,説明できる.圧縮部材の座屈現象,細長比パラメータ,有効座屈長や初期不整について理解し,説明できる.圧縮部材の座屈現象,細長比パラメータ,有効座屈長や初期不整について理解できず,説明もできない.
評価項目5計算例がなくとも,柱の基準耐荷力を求め,簡単な柱部材の設計計算ができる.計算例を見ながら,柱の基準耐荷力を求め,簡単な柱部材の設計計算ができる.柱の基準耐荷力を求めたり,簡単な柱部材の設計計算ができない.
評価項目6無補剛板や補剛板の座屈現象,幅厚比パラメータについて十分に理解し,説明できる.無補剛板や補剛板の座屈現象,幅厚比パラメータについて理解し,説明できる.無補剛板や補剛板の座屈現象,幅厚比パラメータについての理解や説明ができない.
評価項目7設計計算例を見なくとも,無補剛板や補剛板の基準耐荷力を求め,簡単な設計計算ができる.設計計算例を見ながら,無補剛板や補剛板の基準耐荷力を求め,簡単な設計計算ができる.無補剛板や補剛板の基準耐荷力を求めることや,簡単な設計計算ができない.
評価項目8圧縮部材の幅厚比制限,連成座屈強度,細長比制限について十分に理解し,説明できる.圧縮部材の幅厚比制限,連成座屈強度,細長比制限について理解し,説明できる.圧縮部材の幅厚比制限,連成座屈強度,細長比制限について理解や説明ができない.
評価項目9曲げ部材の断面区分,ねじり定数比,せん断中心,腹板に生ずる座屈やせん断遅れについて十分に理解し,説明できる.曲げ部材の断面区分,ねじり定数比,せん断中心,腹板に生ずる座屈やせん断遅れについて理解し,説明できる.曲げ部材の断面区分,ねじり定数比,せん断中心,腹板に生ずる座屈やせん断遅れについて理解や説明ができない.
評価項目10曲げ部材の降伏モーメント,全塑性モーメント,横ねじり座屈強度や基準せん断強度を十分に理解し,計算例を見なくとも簡単な設計計算ができる.曲げ部材の降伏モーメント,全塑性モーメント,横ねじり座屈強度や基準せん断強度を理解し,計算例を見ながら簡単な設計計算ができる.曲げ部材の降伏モーメント,全塑性モーメント,横ねじり座屈強度や基準せん断強度の理解やそれらの簡単な設計計算ができない.
評価項目11組み合わせ外力を受ける部材の照査方法を十分に理解し,計算例を見なくとも簡単な組み合わせ外力状態にある部材の設計計算ができる.組み合わせ外力を受ける部材の照査方法を理解し,計算例を見ながら簡単な組み合わせ外力状態にある部材の設計計算ができる.組み合わせ外力を受ける部材の照査方法が理解できず,簡単な組み合わせ外力状態にある部材の設計計算もできない.
評価項目12鋼桁橋の構造と特徴,その設計方法のあらましについて十分に理解し,説明できる.鋼桁橋の構造と特徴,その設計方法のあらましについて理解し,説明できる.鋼桁橋の構造と特徴,その設計方法のあらましについての理解や説明ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (F) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
鋼材は社会基盤構造物の構築に欠かせない材料であり,これまでにも多くの鋼構造物が建設されている.したがって,社会基盤構造物の設計や建設,維持管理に携わる技術者にとって,鋼構造物に関する基礎知識は必要不可欠である.本科目ではそれらの設計,製作,架設,維持・補修に必要となる基礎知識を修得する.
授業の進め方・方法:
講義形式で授業を行い,部材の設計上の考え方や強度評価方法について理解を深めるため,授業中にそれらの計算例を示して解説する.また,部材や板要素の基準強度の評価等に関するレポート課題を課すことがある.その採点は教員側で行うが,授業で返却後に,学生に板書させて解説させることがある.
注意点:
本講義は,構造力学の知識が習得できていることを前提に進める.授業中には,簡単な鋼構造物の設計例題を通して,設計の考え方について説明する.特に,講義内容の復習は欠かさず,講義中に説明した設計計算は,自身でもできるように努めること.
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 鋼材(1)
 鋼の製造方法,組織と相変態,熱処理,鋼材の破壊について学ぶ.
鋼の製造方法,材料特性や熱処理方法とそれが材質に及ぼす影響,代表的な破壊形態について理解できる.
2週 鋼材(2)
 鋼材の応力-ひずみ関係,降伏条件,じん性について学ぶ.
 鋼材の応力-ひずみ関係や降伏の数学的表現,破壊じん性や低温特性について理解できる.
3週 鋼材(3)
 鋼材の規格,設計材料強度について学ぶ.
鋼構造物に使用される鋼材のJIS規格名,設計材料強度の意味について理解できる.
4週 引張部材
 引張部材の概要,応力集中,偏心,ケーブル,引張強度と引張部材の設計について学ぶ.
引張部材の定義,応力集中現象,偏心の発生要因やそれがもたらす影響,ケーブル系材料の種類や特徴,引張強度の評価方法と引張部材の設計方法について理解できる.
5週 圧縮部材(1)
 柱の座屈現象,弾性座屈荷重,細長比パラメータ,有効座屈長,初期不整と基準耐荷力について学ぶ.
柱の座屈現象,弾性座屈荷重,細長比パラメータや有効座屈長の意味,初期不整とそれが強度に及ぼす影響,基準耐荷力の意味と計算方法について理解できる.
6週 圧縮部材(2)
 無補剛板の弾性座屈応力,幅厚比パラメータと基準耐荷力について学ぶ.
無補剛板と局部座屈の意味,弾性座屈応力と幅厚比や座屈応力の関係,幅厚比パラメータや基準耐荷力の意味と計算方法について理解できる.
7週 圧縮部材(3)
 補剛板の弾性座屈応力,幅厚比パラメータと基準耐荷力について学ぶ.
 補剛板の構造と意義,幅厚比パラメータや基準耐荷力の意味とその計算方法について理解できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 圧縮部材(4)
 圧縮部材の幅厚比制限,連成座屈強度,圧縮部材の照査方法と細長比制限について学ぶ.
幅厚比制限の意味,連成座屈現象とその強度の評価方法,圧縮を受ける部材の強度評価とその照査方法,細長比制限の意味について理解できる.
10週 曲げ部材(1)
 降伏モーメント,全塑性モーメント,断面区分,横ねじり座屈現象と限界モーメントについて学ぶ.
降伏モーメントと全塑性モーメントの意味と計算方法,断面区分の意味,横ねじり座屈現象とその限界モーメントの計算方法について理解できる.
11週 曲げ部材(2)
 ねじり定数比,横ねじり座屈強度,曲げモーメントを受ける部材の設計について学ぶ.
ねじり定数比の意味,横ねじり座屈基準耐力の計算方法,様々な断面を持つ部材に対する曲げ基準耐力の計算と照査方法について理解できる.
12週 曲げ部材(3)
 曲げに伴うせん断応力,せん断中心と基準せん断強度について学ぶ.
曲げに伴うせん断力とせん断流,せん断中心の意味とその計算方法,基準せん断強度の計算方法について理解できる.
13週 曲げ部材(4)
 曲げ部材の腹板に生ずる座屈,その設計とせん断遅れについて学ぶ.
曲げ部材腹板のせん断座屈現象,その強度評価方法や幅厚比,せん断遅れ現象やその対処方法について理解できる.
14週 組み合わせ外力を受ける部材の設計
 軸力と曲げを受ける部材の照査,軸力,曲げ,せん断を受ける部材の照査について学ぶ.
組み合わせ外力の意味,組み合わせ外力を受ける部材の照査方法について理解できる.
15週 鋼桁橋の設計
 代表的な鋼構造物として,鋼桁橋を取り上げ,その構造と特徴,その設計の流れの概要と,本講義で学んだ部材の設計法との関連についても学ぶ.
鈑桁橋の力学的な特徴,構造部材の名称とその役割,設計方法の概要と,曲げ部材として,腹板などの板要素としての破壊形態と,それを防止するために本講義で学んだ強度評価法などの設計方法との関係が理解できる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。4
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。4
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。4
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。4
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。4
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。4
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。3
橋の構成、分類について、説明できる。3
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。3
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。3
鋼桁橋(プレートガーダー橋)の設計の概要、特徴、手順について、説明できる。4

評価割合

試験レポート質疑応答合計
総合評価割合801010100
専門的能力801010100