鋼構造学Ⅱ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 2018
授業科目 鋼構造学Ⅱ
科目番号 0097 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 都市システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 舘石和雄:土木・環境系コアテキストシリーズ B-4 鋼構造学,コロナ社(テキスト), 必要に応じてプリントを配布する. 長井正嗣:橋梁工学【第2版】,共立出版(参考文献)
担当教員 三好 崇夫

到達目標

(1) アーク溶接の特徴,溶接継手の種類,残留応力と溶接継手の強度について理解し説明できる(D).
(2) 溶接継手の設計耐力を計算し,簡単な溶接継手の強度評価ができる(F).
(3) アーク溶接の方法,溶接部の構造,溶接欠陥,溶接変形,施工上の留意点と非破壊検査方法について理解し説明できる(D).
(4) 高力ボルト接合のメカニズム,高力ボルトの種類と機械的特性,高力ボルト摩擦接合継手の耐力,母板と連結板の耐力について理解し,説明できる(D).
(5) 高力ボルト摩擦接合継手の設計耐力の計算方法と照査方法,ボルト中心間隔や縁端距離について理解し,説明できる(D).
(6) 高力ボルト摩擦接合継手の設計すべり耐力,母板と連結板の設計引張耐力の計算ができる(F).
(7) 高力ボルト摩擦接合継手の接触面の処理,ボルト軸力の管理などの施工方法を理解し,説明できる(D).
(8) 鋼の腐食のメカニズム,腐食環境や各種防食法について理解し,説明できる(D).
(9) S-N曲線,疲労強度に影響を及ぼす因子や設計疲労強度について理解し,説明できる(D).
(10) レインフロー法や線形被害則を用いた変動振幅応力の取り扱いについて理解し,説明できる(D).
(11) 溶接継手について,繰り返し数を考慮して,疲労強度を計算し,疲労照査ができる(F).
(12) 高性能鋼材について,その概要を理解し,説明できる(D).

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1アーク溶接の特徴,溶接継手の種類,残留応力と溶接継手の強度について,十分に理解し説明できる.アーク溶接の特徴,溶接継手の種類,残留応力と溶接継手の強度について理解し説明できる.アーク溶接の特徴,溶接継手の種類,残留応力と溶接継手の強度について理解や説明ができない.
評価項目2計算例を見ずとも溶接継手の設計耐力を計算し,簡単な溶接継手の強度評価ができる.計算例を見ながら,溶接継手の設計耐力を計算し,簡単な溶接継手の強度評価ができる.溶接継手の設計耐力の計算や,簡単な溶接継手の強度評価ができない.
評価項目3アーク溶接の方法,溶接部の構造,溶接欠陥,溶接変形,施工上の留意点と非破壊検査方法について十分に理解し説明できる.アーク溶接の方法,溶接部の構造,溶接欠陥,溶接変形,施工上の留意点と非破壊検査方法について理解し説明できる.アーク溶接の方法,溶接部の構造,溶接欠陥,溶接変形,施工上の留意点と非破壊検査方法についての理解や説明ができない.
評価項目4高力ボルト接合のメカニズム,高力ボルトの種類と機械的特性,高力ボルト摩擦接合継手の耐力,母板と連結板の耐力について十分に理解し,説明できる.高力ボルト接合のメカニズム,高力ボルトの種類と機械的特性,高力ボルト摩擦接合継手の耐力,母板と連結板の耐力について理解し,説明できる.高力ボルト接合のメカニズム,高力ボルトの種類と機械的特性,高力ボルト摩擦接合継手の耐力,母板と連結板の耐力について理解や説明ができない.
評価項目5高力ボルト摩擦接合継手の設計耐力の計算方法と照査方法,ボルト中心間隔や縁端距離について十分に理解し,説明できる.高力ボルト摩擦接合継手の設計耐力の計算方法と照査方法,ボルト中心間隔や縁端距離について理解し,説明できる.高力ボルト摩擦接合継手の設計耐力の計算方法と照査方法,ボルト中心間隔や縁端距離についての理解や説明ができない.
評価項目6計算例を見ずとも,高力ボルト摩擦接合継手の設計すべり耐力,母板と連結板の設計引張耐力の計算ができる.計算例を見ながら,高力ボルト摩擦接合継手の設計すべり耐力,母板と連結板の設計引張耐力の計算ができる.高力ボルト摩擦接合継手の設計すべり耐力,母板と連結板の設計引張耐力の計算ができない.
評価項目7高力ボルト摩擦接合継手の接触面の処理,ボルト軸力の管理などの施工方法を十分に理解し,説明できる.高力ボルト摩擦接合継手の接触面の処理,ボルト軸力の管理などの施工方法を理解し,説明できる.高力ボルト摩擦接合継手の接触面の処理,ボルト軸力の管理などの施工方法の理解や,説明ができない.
評価項目8鋼の腐食のメカニズム,腐食環境や各種防食法について十分に理解し,説明できる.鋼の腐食のメカニズム,腐食環境や各種防食法について理解し,説明できる.鋼の腐食のメカニズム,腐食環境や各種防食法についての理解や,説明ができない.
評価項目9S-N曲線,疲労強度に影響を及ぼす因子や設計疲労強度について十分に理解し,説明できる.S-N曲線,疲労強度に影響を及ぼす因子や設計疲労強度について理解し,説明できる.S-N曲線,疲労強度に影響を及ぼす因子や設計疲労強度についての理解や説明ができない.
評価項目10レインフロー法や線形被害則を用いた変動振幅応力の取り扱いについて十分に理解し,説明できる.レインフロー法や線形被害則を用いた変動振幅応力の取り扱いについて理解し,説明できる.レインフロー法や線形被害則を用いた変動振幅応力の取り扱いについての理解や説明ができない.
評価項目11溶接継手について,計算例を見ずとも,繰り返し数を考慮して疲労強度を計算し,疲労照査ができる.溶接継手について,計算例を見ながら,繰り返し数を考慮して疲労強度を計算し,疲労照査ができる.溶接継手について,繰り返し数を考慮して疲労強度を計算することや,疲労照査ができない.
評価項目12高性能鋼材について,その概要を十分に理解し,説明できる.高性能鋼材について,その概要を理解し,説明できる.高性能鋼材について,その概要の理解や説明ができない.

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (F) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科目では,鋼構造学Ⅰに引き続き,鋼構造物の基礎知識として,溶接やボルト接合等の連結方法について,それらの施工方法とともに修得する.また,鋼構造物の劣化現象として腐食と疲労,防食対策の基礎知識や,今後我が国の土木構造物への活用が期待される高性能鋼材の特徴についても修得する.
授業の進め方・方法:
 講義形式で授業を行い,連結構造の設計方法や疲労強度の評価方法などについて理解を深めるため,授業中にそれらの計算例を示して解説する.また,それらに関するレポート課題を課すことがある.その採点は教員側で行うが,授業で返却後に,学生に板書させて解説させることがある.
注意点:
本講義は,構造力学,鋼構造学Ⅰの知識が修得できていることを前提に進める.講義では,鋼構造物の連結方法のメカニズムやその設計法を理解し,設計基準に従って簡単な連結構造の設計計算ができるように努めること.また,鋼構造物の腐食や疲労現象,溶接継手の疲労強度の計算方法を理解し,説明できるように努めること.
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 鋼部材の溶接(1)
 鋼構造物の製作に多用されるアーク溶接の概要,溶接継手の種類,残留応力と溶接継手の強度について学ぶ.
アーク溶接の原理,全面溶け込み溶接,部分溶け込み溶接とすみ肉溶接,開先の種類,荷重伝達型,非伝達型継手,残留応力の発生メカニズム,のど厚と有効長,のど厚断面の取り方,について理解できる.
2週 鋼部材の溶接(2)
 溶接継手の設計耐力と強度評価法について学ぶ.
溶接継手毎の設計耐力照査式,組み合わせ外力を受ける溶接継手の照査方法について理解できる.
3週 鋼部材の溶接(3)
 アーク溶接の方法,溶接部の構造,溶接欠陥,溶接変形と施工上の留意点,非破壊検査方法について学ぶ.
主なアーク溶接方法,入熱量の評価,溶接部の組織,各種溶接欠陥,溶接変形の種類,溶接施工時の留意点,溶接部の各種非破壊検査方法について理解できる.
4週 鋼部材の高力ボルト接合(1)
 高力ボルト接合として,摩擦接合,引張接合と支圧接合のメカニズム,高力ボルトの種類と機械的特性,高力ボルト摩擦接合継手の耐力,母材と連結板の耐力について学ぶ.
高力ボルト摩擦,支圧,引張接合の構造と荷重伝達メカニズム,高力ボルトの種類と特徴,高力ボルト摩擦接合継手,連結板や母板の耐力の評価方法について理解できる.
5週 鋼部材の高力ボルト接合(2)
 高力ボルト摩擦接合継手の設計耐力の計算と照査方法,ボルト中心間隔や縁端距離について学ぶ.
軸力,せん断力や曲げモーメントを受ける継手のすべり耐力の評価方法,母板と連結板の照査方法,ボルト中心間隔や縁端距離の取り方について理解できる
6週 鋼部材の高力ボルト接合(3)
 高力ボルト摩擦接合継手の施工方法として,接触面の処理方法とボルト軸力の管理方法について学ぶ.あわせて溶接接合と比較した場合の長所と短所について整理する.
高力ボルト摩擦接合における接触面の処理方法,ボルト軸力の管理方法について理解できる.また,溶接接合とボルト接合の長所と短所が理解できる.
7週 鋼部材の連結に関する計算演習
 簡単な溶接接合構造とボルト接合構造に関する,計算演習を行う.
 溶接継手とボルト継手の耐力評価式と照査式を使って,簡単な連結構造の設計や照査ができる.
8週 中間試験
4thQ
9週 鋼の腐食と防食(1)
 鋼の腐食のメカニズム,腐食環境,防食法の種類と塗装について学ぶ.
 腐食の分類とメカニズム,犠牲防食作用,腐食を生じうる環境,各種防錆防食法と塗装材料と塗装系について理解できる.
10週 鋼の腐食と防食(2)
 耐候性鋼材,金属溶射や電気防食について学ぶ.
耐候性鋼材の特徴,保護性錆,溶融亜鉛メッキ,金属溶射と電気防食について理解できる.
11週 鋼部材の疲労(1)
 疲労の概要,S-N曲線,疲労強度に影響を与える因子と設計疲労強度について学ぶ.
鋼材の疲労現象,低・高サイクル疲労,S-N曲線,応力比,疲労限,疲労強度に影響を与える因子,設計疲労強度について理解できる.
12週 鋼部材の疲労(2)
 レインフロー法,線形被害則や等価応力範囲を用いた変動振幅応力の取り扱いについて学ぶ.
 一定振幅応力と変動振幅応力,レインフロー法,疲労損傷比,線形被害則,等価応力範囲について理解できる.
13週 鋼部材の疲労(3)
 繰り返し数を考慮した疲労照査法について学ぶ.
繰り返し数を用いた疲労照査方法について理解できる.
14週 溶接構造物の疲労設計に関する計算演習
 簡単な溶接構造の疲労強度や寿命に関する計算演習を行う.
 溶接継手の設計疲労強度曲線を使って,一定,変動振幅応力を受ける溶接継手の疲労設計や寿命予測ができる.
15週 高性能鋼材
 従来の鋼材よりも強度,じん性,溶接性などの性質が改善されている鋼材について学ぶ.
 近年開発されている種々の高性能鋼材の特徴が理解できる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。4
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。4
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。4
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。4
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。4
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。4
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。4
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。4
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。4
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。4

評価割合

試験レポートおよび演習課題質疑応答や態度合計
総合評価割合801010100
専門的能力801010100