鋼構造学Ⅰ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 鋼構造学Ⅰ
科目番号 0099 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 都市システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 倉西 茂、中村俊一:最新 橋構造【第3版】森北出版(テキスト)、必要に応じてプリントを配布する。 長井正嗣:橋梁工学【第2版】共立出版(参考文献)
担当教員 三好 崇夫

到達目標

(1) 鋼材の製造方法、特徴、材料規格や特性値を理解し説明できる(D)
(2) 鋼部材の限界状態、耐荷性能の照査方法の概要、軸方向引張力を受ける部材の照査方法について理解し、説明できる(D)
(3) 引張部材の作用応力と制限値等が計算できる(F)
(4) 軸方向圧縮力を受ける部材の全体座屈と局部座屈、座屈に及ぼす初期不整の影響について理解し、説明できる(D)
(5) 無補剛板や補剛板の局部座屈、幅厚比パラメータや最小板厚について理解し、説明できる(D)
(6) 簡単な無補剛板や補剛板の圧縮、曲げ圧縮応力度や制限値などが計算できる(F)
(7) 圧縮部材の全体座屈、細長比パラメータ、有効座屈長、連成座屈や細長比制限について理解し、説明できる(D)
(8) 簡単な圧縮部材の作用圧縮応力度や制限値などが計算できる(F)
(9) 曲げモーメントを受ける部材の横座屈、座屈パラメータについて理解し、説明できる(D)
(10) 簡単な曲げモーメントを受ける部材の作用曲げ引張、圧縮応力度やそれぞれに対する制限値などが計算できる(F)
(11) せん断力を受ける部材の制限値について理解して説明できるとともに、同部材の作用せん断応力や制限値などが計算できる(D、F)
(12) 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の照査方法について理解して説明できるとともに、同部材の作用応力や制限値などが計算できる(D、F)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鋼材の製造方法、特徴、材料規格や特性値を十分に理解し説明できる。鋼材の製造方法、特徴、材料規格や特性値を理解し説明できる。鋼材の製造方法、特徴、材料規格や特性値を理解し説明できない。
評価項目2鋼部材の限界状態、耐荷性能の照査方法の概要、軸方向引張力を受ける部材の照査方法について十分に理解し、説明できる。鋼部材の限界状態、耐荷性能の照査方法の概要、軸方向引張力を受ける部材の照査方法について理解し、説明できる。鋼部材の限界状態、耐荷性能の照査方法の概要、軸方向引張力を受ける部材の照査方法について理解し、説明できない。
評価項目3計算例を見なくとも、簡単な引張部材の作用応力や制限値などが計算できる。簡単な引張部材の作用応力や制限値などが、計算例を見ながら計算できる。簡単な引張部材の作用応力や制限値などが、計算例を見ながら計算できない。
評価項目4軸方向圧縮力を受ける部材の全体座屈と局部座屈、座屈に及ぼす初期不整の影響について十分に理解し、説明できる。軸方向圧縮力を受ける部材の全体座屈と局部座屈、座屈に及ぼす初期不整の影響について理解し、説明できる。軸方向圧縮力を受ける部材の全体座屈と局部座屈、座屈に及ぼす初期不整の影響について理解し、説明できない。
評価項目5無補剛板や補剛板の局部座屈、幅厚比パラメータや最小板厚について十分に理解し、説明できる。無補剛板や補剛板の局部座屈、幅厚比パラメータや最小板厚について理解し、説明できる。無補剛板や補剛板の局部座屈、幅厚比パラメータや最小板厚について理解し、説明できない。
評価項目6計算例を見なくとも、簡単な無補剛板や補剛板の圧縮、曲げ圧縮応力度や制限値などが計算できる。簡単な無補剛板や補剛板の圧縮、曲げ圧縮応力度や制限値などが、計算例を見ながら計算できる。簡単な無補剛板や補剛板の圧縮、曲げ圧縮応力度や制限値などが、計算例を見ながら計算できない。
評価項目7圧縮部材の全体座屈、細長比パラメータ、有効座屈長、連成座屈や細長比制限について十分に理解し、説明できる。圧縮部材の全体座屈、細長比パラメータ、有効座屈長、連成座屈や細長比制限について理解し、説明できる。圧縮部材の全体座屈、細長比パラメータ、有効座屈長、連成座屈や細長比制限について理解し、説明できない。
評価項目8計算例を見なくとも、簡単な圧縮部材の作用圧縮応力度や制限値などが計算できる。簡単な圧縮部材の作用圧縮応力度や制限値などが、計算例を見ながら計算できる。簡単な圧縮部材の作用圧縮応力度や制限値などが、計算例を見ながら計算できない。
評価項目9曲げモーメントを受ける部材の横座屈、座屈パラメータについて十分に理解し、説明できる。曲げモーメントを受ける部材の横座屈、座屈パラメータについて理解し、説明できる。曲げモーメントを受ける部材の横座屈、座屈パラメータについて理解し、説明できない。
評価項目10簡単な曲げモーメントを受ける部材の作用曲げ引張、圧縮応力度やそれぞれに対する制限値などが計算例を見なくとも計算できる。簡単な曲げモーメントを受ける部材の作用曲げ引張、圧縮応力度やそれぞれに対する制限値などが計算例を見ながら計算できる。簡単な曲げモーメントを受ける部材の作用曲げ引張、圧縮応力度やそれぞれに対する制限値などが計算例を見なら計算できない。
評価項目11せん断力を受ける部材の制限値について十分に理解して説明できるとともに、計算例を見なくとも同部材の作用せん断応力や制限値などが計算できる。せん断力を受ける部材の制限値について理解して説明できるとともに、計算例を見ながら同部材の作用せん断応力や制限値などが計算できる。せん断力を受ける部材の制限値について理解して説明できず、計算例を見ながら同部材の作用せん断応力や制限値などが計算できない。
評価項目12軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の照査方法を十分に理解し、計算例を見なくとも同部材の作用応力、制限値を計算して照査ができる。軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の照査方法を理解し、計算例を見ながら同部材の作用応力、制限値を計算して照査ができる。軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の照査方法が理解できず、計算例を見ながら同部材の作用応力、制限値を計算して照査ができない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育到達度目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育到達度目標 (F) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
鋼材は社会基盤構造物の構築に欠かせない材料であり、既存の多くの構造物に改良を加えられながら活用されてきただけでなく、より高性能、高機能化されて、今後、更新、新設される構造物にも適用されていくものと考えられる。よって,社会基盤構造物の計画、設計、建設や維持管理に携わる技術者にとって、鋼を使用した鋼構造物に関する基礎知識は必要不可欠である。本科目では、鋼構造物の設計、製作、架設、維持・補修に必要となる基礎知識を修得させるため、企業で鋼構造物や鋼橋の設計業務に従事してきた教員が、その経験を活かし、主として鋼材の特徴、それを用いた部材の耐荷性能の評価法について、講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行うが、簡単な鋼部材の設計計算例を示しながら解説することによって、鋼部材の設計における作用や、耐荷性能の評価方法について理解を深めさせる。授業中には、学生各自の理解状況を把握するため、構造力学や本科目等で学習済みの項目について、試問しながら進めることがある。
注意点:
本講義は、構造力学の基礎知識が習得できていることを前提に進める。講義では、簡単な鋼構造物の計算例を通して、鋼部材の設計において基本となる応力や制限値、照査方法の考え方について説明する。講義内容の復習は欠かさず、講義中に説明した鋼部材の応力や制限値の計算は、自身でもできるように努めること。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 鋼材
 鋼の製造方法、熱処理、材料規格、応力-ひずみ関係、強度の特性値、じん性について学ぶ。
鋼の製造方法、熱処理方法とそれが材質に及ぼす影響、鋼橋に使用される鋼材の種類やJIS規格名、応力-ひずみ関係、強度の特性値について理解できる。
2週 鋼部材の耐荷性能の照査
 鋼道路橋を対象とした荷重抵抗係数設計法における、設計状況、限界状態、全般的な耐荷性能の照査法について学ぶ。
鋼道路橋を対象とした荷重抵抗係数設計法における、設計状況、鋼部材の状態、限界状態、全般的な耐荷性能の照査方法について理解できる。 
3週 軸方向引張力を受ける部材
 軸方向引張力を受ける部材の各限界状態に対する制限値について学ぶ。
 軸方向引張力を受ける部材の各限界状態に対する制限値、作用応力の計算と照査方法について理解できる。
4週 軸方向圧縮力を受ける部材(1)
 軸方向圧縮力を受ける部材の全体座屈と局部座屈、座屈に及ぼす初期不整の影響について学ぶ。
 軸方向圧縮力を受ける部材に生ずる全体座屈と局部座屈、座屈に及ぼす初期不整の影響について理解できる。
5週 軸方向圧縮力を受ける部材(2)
 鋼部材を構成する板要素、無補剛板と補剛板の構造、無補剛板や補剛板の局部座屈、幅厚比パラメータや最小板厚について学ぶ。
 鋼部材を構成する板要素、無補剛板と補剛板の構造、無補剛板や補剛板の局部座屈、幅厚比パラメータや最小板厚について理解できる。
6週 軸方向圧縮力を受ける部材(3)
 種々の境界条件を持つ、簡単な無補剛板や補剛板の圧縮、曲げ圧縮応力度や制限値などの計算方法について学ぶ。
 種々の境界条件を持つ、簡単な無補剛板や補剛板の圧縮、曲げ圧縮応力度や制限値などが計算できる。
7週 軸方向圧縮力を受ける部材(4)
 種々の境界条件を持つ軸方向圧縮力を受ける部材の全体座屈、細長比パラメータ、有効座屈長、連成座屈や細長比制限について学ぶ。
 種々の境界条件を持つ軸方向圧縮力を受ける部材の全体座屈、細長比パラメータ、有効座屈長、連成座屈や細長比制限について理解できる。
8週 中間試験
2ndQ
9週 軸方向圧縮力を受ける部材(5)
 種々の境界条件を持つ軸方向圧縮力を受ける部材の作用圧縮応力度や制限値の計算方法について学ぶ。
 種々の境界条件を持つ軸方向圧縮力を受ける部材の作用圧縮応力度や制限値などが計算できる。
10週 曲げモーメントを受ける部材(1)
 曲げモーメントを受ける部材の横座屈、座屈パラメータについて学ぶ。
 曲げモーメント受ける部材の横座屈、座屈パラメータについて理解できる。
11週 曲げモーメントを受ける部材(2)
 簡単な曲げモーメントを受ける部材の作用曲げ引張、圧縮応力度やそれぞれに対する制限値などの計算方法について学ぶ。
 簡単な曲げモーメントを受ける部材の作用曲げ引張、圧縮応力度やそれぞれに対する制限値などが計算できる。
12週 せん断力を受ける部材
 せん断力を受ける部材の制限値、同部材の作用せん断応力や制限値などの計算方法について学ぶ。
 せん断力を受ける部材の制限値について理解し、同部材の作用せん断応力や制限値などが計算できる。
13週 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材(1)
 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力、制限値や照査方法について学ぶ。
 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力、制限値や照査方法について理解できる。
14週 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材(2)
 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力の計算方法について学ぶ。
 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力を計算できる。
15週 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材(3)
 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の制限値の計算方法と照査方法について学ぶ。
 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の制限値を計算して照査ができる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。4前4,前7,前9,前10,前11,前14
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。4前4,前7,前9,前10,前11,前14
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。4前14
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。4前1
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。4前3,前9,前11,前12
圧縮力を受ける柱の分類(短柱・長柱)を理解し、各種支持条件に対するEuler座屈荷重を計算できる。4前4,前7
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。3前2
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。3前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15

評価割合

試験質疑応答など合計
総合評価割合9010100
専門的能力9010100