第1に、経済学的なものの考え方を理解する。第2に、経済学の基礎的なモデル(市場メカニズム)について理解する。第3に、市場の失敗のケースと政府の役割について理解する。第4に、公共投資の経済効果や問題点、今後の課題について理解する。
概要:
近年、公共部門の運営方法に対し批判が多い。しかしながら、経済社会において、消費者や企業といった民間部門に加えて、政府などの公共部門の存在意義は大きい。とりわけ、都市計画や社会資本整備などの分野においては、公共部門は重要な役割を果たしている。本講義では、公共部門の役割や行動についてミクロ経済学的な視点から講義を行う。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行う。講義期間中に数回のレポートを課す。
連絡員:石松一仁
注意点:
公共経済学は公共セクターを主な分析対象とするので、都市システム工学を専攻する学生にとっては重要な科目である。経済学の基礎知識を学習したうえで公共政策について講義するので、積極的に講義に参加してもらいたい。本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
イントロダクション |
よりよい社会を考えるために経済学的アプローチがどのように役立つかを理解する。
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2週 |
市場経済(1):需要曲線と供給曲線 |
消費者と企業の合理的な行動について、需要曲線と消費者余剰および供給曲線と生産者余剰の特徴について理解する。
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3週 |
市場経済(2):市場均衡と価格メカニズム |
市場の価格メカニズムにより均衡が達成される様子を確認し、政府による価格政策が市場に与える影響を理解する。
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4週 |
市場の失敗(1):外部性 |
市場の失敗のケースとして外部性を取り上げ、社会的に望ましい外部性の内部化について道路混雑の問題を例にとり理解する。
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5週 |
市場の失敗(2):公共財 |
公共財ではなぜ市場が失敗するかを確認し、社会的に望ましい供給水準の求め方について理解する。
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6週 |
市場の失敗(3):公共選択 |
地方政府が主な供給主体となる地方公共財および集団の意思決定について学ぶ。
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7週 |
市場の失敗(4):自然独占 |
巨額の固定費用が必要となる公益事業においてなぜ市場が失敗するかを理解する。
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8週 |
中間試験 |
第1週から第7週の内容について試験する。
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2ndQ |
9週 |
市場の失敗(5):不確実性 |
情報の不確実性が存在するときに発生する市場のゆがみについて理解する。
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10週 |
税と公債(1):租税 |
公共施設・サービスの整備や維持の財源となる租税について経済学的な特徴を理解する。
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11週 |
税と公債(2):公債 |
租税に次いで公共施設・サービスの整備や維持の財源となる公債の経済学的な特徴を理解する。
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12週 |
所得再分配(効率と公正) |
経済学が格差や不平等の問題をどのように扱っているかを理解する。
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13週 |
補助の根拠(外部補助と内部補助) |
公共施設・サービスには、サービス提供主体が民間企業であっても多くの補助金が拠出される。その根拠について理解する。
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14週 |
公共料金 |
公共施設・サービスの利用料金はどのように決まっているのか、料金決定に関わる制度や規制、その問題点について理解する。
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15週 |
公共投資と社会資本 |
社会資本の種類や社会資本整備の近年の動向について理解する。
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16週 |
期末試験 |
第8週から第15週の内容について試験する。
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4,前5,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 計画 | 国土と地域の定義を説明できる。 | 3 | 前2,前4,前5,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16 |
費用便益分析について考え方を説明でき、これに関する計算ができる。 | 4 | 前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前11,前14,前15,前16 |