構造力学Ⅲ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 構造力学Ⅲ
科目番号 4417 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 都市システム工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 岩坪要:「構造力学」、実教出版
担当教員 三好 崇夫

到達目標

(1)たわみ角法による不静定骨組構造物の支点反力や断面力の求め方を理解し,説明できる.
(2)組み合わせ応力について理解し,説明できる.
(3)単位荷重法,カスティリアーノの第2定理による静定骨組構造物の変形の計算方法について理解し,説明できる.
(4)最小仕事の原理を用いた不静定骨組構造物の支点反力や断面力の計算方法について理解し,説明できる.
(5)ゲルバーばりの影響線を理解し,説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1たわみ角法による不静定骨組構造物の支点反力や断面力の求め方について具体的に説明できる.たわみ角法による不静定骨組構造物の支点反力や断面力の求め方について説明できる.たわみ角法による不静定骨組構造物の支点反力や断面力の求め方について説明できない.
評価項目2組み合わせ応力を具体的に説明できる.組み合わせ応力の応力状態を説明できる.組み合わせ応力を説明できない.
評価項目3単位荷重法,カスティリアーノの第2定理による静定骨組構造物の変形の計算方法について具体的に説明できる.単位荷重法,カスティリアーノの第2定理による静定骨組構造物の変形の計算方法について説明できる.単位荷重法,カスティリアーノの第2定理による静定骨組構造物の変形の計算方法について説明できない.
評価項目4最小仕事の原理を用いた不静定骨組構造物の支点反力や断面力の計算方法について十分に説明できる.最小仕事の原理を用いた不静定骨組構造物の支点反力や断面力の計算方法について説明できる.最小仕事の原理を用いた不静定骨組構造物の支点反力や断面力の計算方法について説明できない.
評価項目5ゲルバーばりの影響線を具体的に説明できる.ゲルバーばりの影響線を説明できる.ゲルバーばりの影響線を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
構造力学は、構造物に発生する力や変形を把握して、構造物の安全性や使用性を定量的かつ客観的に評価するための基礎的な学問である。構造力学に関する知識は、土木分野では、橋梁のみならず、トンネルや基礎、ダムや上下水道管などの地盤,水理分野にも関連する構造物の設計、施工から維持管理といった広い範囲で求められる。よって、構造力学に関する基礎知識は,全ての土木技術者に必須である.本科目では、企業で鋼構造物や鋼橋の設計業務に従事してきた教員が、その経験を活かし、変位を未知数とする不静定構造物の解析方法,エネルギー原理に基づく不静定構造物の解析方法や種々の骨組構造物の変形の計算方法を習得させるため、講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
授業は教科書を使用して板書を中心に説明する。授業中には、学生各自の理解状況を把握するため、構造力学Ⅰ,Ⅱや本科目等で学習済みの項目について、試問しながら進めることがある。
注意点:
本講義は、数学の基礎知識が習得できていることを前提に進める。授業ではしっかり板書し、授業中に学んだ内容に関する不明点は、その時間内に理解できるよう質問をすること。講義内容の復習は欠かさないこと。なお、本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習および課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が90時間に相当する学習内容である。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ゲルバーばり (1)
ゲルバーばりの支点反力や断面力の計算方法,断面力図について学ぶ.
ゲルバーばりの支点反力や断面力を求めることができる.また,断面力図を描くことができる.
2週 ゲルバーばり (2)
ゲルバーばりの支点反力や断面力の影響線の求め方と特徴について学ぶ.
ゲルバーばりの支点反力や断面力に関する影響線を求めることができる.また,その影響線を描くことができる.
3週 たわみ角法(1)
たわみ角法で用いられる力と変形の定義,基本式について学ぶ
材端モーメント,たわみ角,部材回転角の定義,材端モーメント式の誘導過程や,中間荷重の取り扱いについて理解する.
4週 たわみ角法(2)
たわみ角法を連続ばりに適用することにより,節点方程式の使い方,支点反力や断面力の計算方法について学ぶ
節点方程式を適用して,部材に剛体的な回転が生じない不静定構造物の支点反力や断面力が計算できる.
5週 たわみ角法(3)
たわみ角法を不静定ラーメン構造物に適用することにより,節点方程式や層方程式の使い方,支点反力や断面力の計算方法について学ぶ
節点方程式と層方程式を適用して,部材に剛体回転が生じる不静定構造物の支点反力や断面力が計算できる.
6週 組み合わせ応力 (1)
平面応力状態において構造物の任意の面に生ずる応力,主応力と主軸の求め方について学ぶ.
平面応力状態において構造物の任意の面に生ずる応力,主応力や主軸を求めることができる.
7週 組み合わせ応力 (2)
平面応力状態におけるMohrの応力円とその描き方,それを用いた主応力と主軸の図解法について学ぶ.
平面応力状態におけるMohrの応力円を描くことができる.また,それを用いて主応力と主軸を求めることができる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 エネルギー法 (1)
弾性体に蓄えられる内部仕事とひずみエネルギー,外力が構造物になす外部仕事,エネルギー保存則について学ぶ.
弾性状態にある構造物に蓄えられるひずみエネルギー,外力が構造物に対してなす外部仕事を求めることができる.
10週 エネルギー法 (2)
仮想変位や仮想力による仮想仕事について学ぶ.また,仮想力の原理に基づく単位荷重法について学ぶ.
仮想変位や仮想力による仮想仕事とひずみエネルギーの違いが理解できる.仮想力の原理に基づいて単位荷重法の基礎式が導かれることが理解できる.
11週 エネルギー法 (3)
単位荷重法による静定骨組構造物の変位やたわみ角の計算方法を学ぶ
単位荷重法を用いて,静定ばり,トラスやラーメンの変位やたわみ角を求めることができる.
12週 エネルギー法 (4)
Castiglianoの第2定理と,それを用いた静定骨組構造物の変位やたわみ角の計算方法を学ぶ
Castiglianoの第2定理を用いて,静定ばり,トラスやラーメンの変位やたわみ角を求めることができる.
13週 エネルギー法 (5)
最小仕事の原理と,それを用いた不静定骨組構造物の支点反力や断面力を求める方法について学ぶ
最小仕事の原理を用いて,不静定ばりやトラスなどの支点反力や断面力を求めることができる.
14週 エネルギー法 (6)
余力法と,それを用いた不静定骨組構造物の支点反力や断面力を求める方法について学ぶ
余力法を用いて,不静定ばりやトラスなどの支点反力や断面力を求めることができる.
15週 平面骨組構造物の変形の解法
種々の荷重条件にあるはりやラーメン,トラス構造物に関する最適な変形の解法について学ぶ
種々の荷重条件,境界条件にあるはり,ラーメンやトラスなどについて,たわみの微分方程式,弾性荷重法,単位荷重法などから最適な解法を選んで変形を計算できる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。4前1
トラスの種類、安定性、トラスの部材力の意味を説明できる。4前11,前12
節点法や断面法を用いて、トラスの部材力を計算できる。4前11,前12
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。4前2
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。4前2
ラーメンの支点反力、断面力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を計算し、その断面力図(軸力図、せん断力図、曲げモーメント図)を描くことができる。4前4,前5,前11,前12,前13,前14,前15
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。4前6,前7
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。4前6,前7
はりのたわみの微分方程式に関して、その幾何学的境界条件と力学的境界条件を理解し、微分方程式を解いて、たわみやたわみ角を計算できる。4前15
仮想仕事の原理を用いた静定の解法を説明できる。4前10,前11,前15
構造物の安定性、静定・不静定の物理的意味と判別式の誘導ができ、不静定次数を計算できる。4前3,前4,前5,前13,前14
重ね合わせの原理を用いた不静定構造物の構造解析法を説明できる。4前14
応力法と変位法による不静定構造物の解法を説明できる。4前3,前4,前5,前13,前14
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート合計
総合評価割合80000020100
基礎的能力0000000
専門的能力80000020100
分野横断的能力0000000