鋼構造学Ⅱ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 鋼構造学Ⅱ
科目番号 4515 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 都市システム工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 倉西 茂,中村俊一:最新 橋構造【第3版】森北出版(テキスト),必要に応じてプリントを配布する.長井正嗣:橋梁工学【第2版】共立出版(参考文献),原 隆,山口隆司,北原武嗣,和多田康男:環境・都市システム系教科書シリーズ 鋼構造学,コロナ社(参考文献)
担当教員 加藤 久人

到達目標

(1) 鋼桁橋の力学的な特徴、構造と種類、断面構成について理解し、説明できる
(2) 鋼桁橋の設計方法、補剛材の役割、対傾構、横構や桁の役割と構造について理解し、説明できる
(3) アーク溶接の特徴、溶接継手の種類、制限値について理解し説明できる
(4) 簡単な溶接継手の作用応力、制限値を計算し、照査ができる
(5) アーク溶接の方法、溶接部の構造、溶接欠陥と非破壊検査方法について理解し説明できる
(6) 鋼部材の疲労損傷、S-N曲線、疲労設計について理解し、説明できる
(7) 高力ボルト接合のメカニズム、高力ボルトの種類と材料特性、高力ボルト摩擦接合継手の限界状態、制限値、照査方法について理解し、説明できる
(8) 高力ボルト摩擦接合継手のボルト中心間隔や縁端距離、接触面の処理、ボルト軸力の管理などの施工方法について理解し、説明できる
(9) 簡単な高力ボルト摩擦接合継手の作用力と限界値の計算ができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1鋼桁橋の力学的な特徴、構造と種類、断面構成について十分に理解し、説明できる。鋼桁橋の力学的な特徴、構造と種類、断面構成について理解し、説明できる。鋼桁橋の力学的な特徴、構造と種類、断面構成について理解し、説明できない。
評価項目2鋼桁橋の設計方法、補剛材の役割、対傾構、横構や横桁の役割と構造について十分に理解し、説明できる。鋼桁橋の設計方法、補剛材の役割、対傾構、横構や横桁の役割と構造について理解し、説明できる。鋼桁橋の設計方法、補剛材の役割、対傾構、横構や横桁の役割と構造について理解し、説明できない。
評価項目3アーク溶接の特徴、溶接継手の種類、制限値について十分に理解し説明できる。アーク溶接の特徴、溶接継手の種類、制限値について理解し説明できる。アーク溶接の特徴、溶接継手の種類、制限値について理解し説明できない。
評価項目4計算例を見なくとも、簡単な溶接継手の作用応力、制限値を計算し、照査ができる。計算例を見ながら、簡単な溶接継手の作用応力、制限値を計算し、照査ができる。計算例を見ながら、簡単な溶接継手の作用応力、制限値を計算し、照査ができない。
評価項目5アーク溶接の方法、溶接部の構造、溶接欠陥と非破壊検査方法について十分に理解し説明できる。アーク溶接の方法、溶接部の構造、溶接欠陥と非破壊検査方法について理解し説明できる。アーク溶接の方法、溶接部の構造、溶接欠陥と非破壊検査方法について理解し説明できない。
評価項目6鋼部材の疲労損傷、S-N曲線、疲労設計について十分に理解し、説明できる。鋼部材の疲労損傷、S-N曲線、疲労設計について理解し、説明できる。鋼部材の疲労損傷、S-N曲線、疲労設計について理解し、説明できない。
評価項目7高力ボルト接合のメカニズム、高力ボルトの種類と材料特性、高力ボルト摩擦接合継手の限界状態、制限値、照査方法について十分に理解し、説明できる。高力ボルト接合のメカニズム、高力ボルトの種類と材料特性、高力ボルト摩擦接合継手の限界状態、制限値、照査方法について理解し、説明できる。高力ボルト接合のメカニズム、高力ボルトの種類と材料特性、高力ボルト摩擦接合継手の限界状態、制限値、照査方法について理解し、説明できない。
評価項目8高力ボルト摩擦接合継手のボルト中心間隔や縁端距離、接触面の処理、ボルト軸力の管理などの施工方法について十分に理解し、説明できる。高力ボルト摩擦接合継手のボルト中心間隔や縁端距離、接触面の処理、ボルト軸力の管理などの施工方法について理解し、説明できる。高力ボルト摩擦接合継手のボルト中心間隔や縁端距離、接触面の処理、ボルト軸力の管理などの施工方法について理解し、説明できない。
評価項目9計算例を見なくとも、簡単な高力ボルト摩擦接合継手の作用力と制限値の計算ができる。計算例を見ながら、簡単な高力ボルト摩擦接合継手の作用力と制限値の計算ができる。計算例を見ながら、簡単な高力ボルト摩擦接合継手の作用力と制限値の計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
本科目では、鋼構造物の設計や維持管理に不可欠な基礎知識として、企業で鋼橋や鋼構造物の設計業務に従事していた教員が、その経験を生かして、溶接や高力ボルト接合等の連結構造の設計、施工方法、溶接部の欠陥やその検出に用いられる非破壊検査方法や疲労強度の評価方法について、鋼構造学Ⅰに引き続いて講義形式で授業を行うものである。また、代表的な鋼構造物として鋼桁橋の特徴、形式や構造と設計方法の概要についても講義形式による授業を行う。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で進めるが、溶接や高力ボルト摩擦接合を用いた連結構造、鋼桁の設計方法、溶接部の疲労強度の評価方法などについて理解を深めるため、授業中にそれらの計算例を示して解説する。また、授業中には構造力学や関連する科目、本科目で学習済みの内容に関する理解度を確認するため、学生にはそれらに関する試問をしながら授業を進めることがある。
非常勤講師の連絡員:都市システム工学科 三好
注意点:
本講義は、構造力学や鋼構造学Ⅰの知識が修得できていることを前提として進める。講義では、溶接や高力ボルトを用いた鋼構造物の連結方法のメカニズムやその設計法を理解し、簡単な構造の設計計算ができるように努めること。また、溶接継手の疲労強度の計算方法、鋼桁の断面諸量、設計応力の計算方法について理解し、説明できるように努めること。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 鋼桁橋(1)
 プレートガーダーの原理,形態,箱桁,ねじり定数,せん断遅れについて学ぶ。
プレートガーダーの原理,形態,箱桁,ねじり定数,せん断遅れについて理解できる。
2週 鋼桁橋(2)
 プレートガーダーの断面構成,腹板せん断座屈,斜張力場,桁高,腹板厚,フランジ幅と板厚の設計について学ぶ。
プレートガーダーの断面構成,腹板せん断座屈,斜張力場,桁高,腹板厚,フランジ幅と板厚の設計について理解できる。
3週 鋼桁橋(3)
 プレートガーダーの補剛材の設計と製作,横桁,対傾構,横構の設計について学ぶ。
プレートガーダーの補剛材の設計と製作,横桁,対傾構,横構の設計について理解できる。
4週 溶接接合(1)
 鋼部材の接合法,溶接方法,溶接欠陥と非破壊検査方法について学ぶ。
鋼部材の接合法,溶接方法,溶接欠陥と非破壊検査方法について理解できる。
5週 溶接接合(2)
 溶接継手の種類,溶接部の寸法を表す用語,溶接継手の限界状態について学ぶ。
溶接継手の種類,溶接部の寸法を表す用語,溶接継手の限界状態について理解できる。
6週 溶接接合(3)
 軸力,せん断力や曲げモーメントを受ける溶接継手の限界状態1における作用応力、制限値の計算方法や、照査方法について学ぶ。
軸力,せん断力や曲げモーメントを受ける溶接継手の限界状態1における作用応力、制限値の計算方法や、照査方法について理解できる.
7週 溶接接合(4)
 軸力,せん断力や曲げモーメントを受ける溶接継手の限界状態3における作用応力、制限値の計算方法や、照査方法について学ぶ。
 軸力,せん断力や曲げモーメントを受ける溶接継手の限界状態3における作用応力、制限値の計算方法や、照査方法が理解できる。
8週 中間試験
4thQ
9週 鋼部材の疲労損傷
 鋼材の疲労破壊,S-N曲線,溶接部の疲労設計について学ぶ。
鋼材の疲労破壊,S-N曲線,溶接部の疲労設計について理解できる。
10週 ボルト接合(1)
 高力ボルト接合の概要と高力ボルトの種類について学ぶ
高力ボルト摩擦,支圧,引張接合のメカニズムについて説明できる.高力ボルトの種類と特徴について説明できる.
11週 ボルト接合(2)
 高力ボルト摩擦接合の限界状態と制限値,純断面積,最大・最小中心間隔について学ぶ.
 高力ボルト摩擦接合の限界状態と制限値について説明できる.簡単な高力ボルト摩擦接合継手の純断面積,最大・最小中心間隔が計算できる.
12週 ボルト接合(3)
 高力ボルト摩擦接合の縁端距離,ボルト軸力,すべり強度と施工について学ぶ.
高力ボルト摩擦接合の最大・最小縁端距離について説明できる.縁端距離が規定されている根拠について説明できる.ボルト軸力とすべり強度について計算できる.ボルト軸力の管理方法について説明できる
13週 ボルト接合(4)
 限界状態1に対する高力ボルト摩擦接合継手の高力ボルト,母板と連結板の照査について学ぶ.
限界状態1において,ボルト1本当たりに生ずる力と,すべりの制限値,母板に生ずる応力と制限値,連結板の板厚が計算できる.
14週 ボルト接合(5)
 限界状態3に対する高力ボルト摩擦接合継手の高力ボルトの照査について学ぶ.
限界状態3において,ボルト1本当たりに生ずる力と,せん断破断の制限値が計算できる.
15週 ボルト接合(6)
 限界状態3に対する高力ボルト摩擦接合継手の母板と連結板の照査,高力ボルト摩擦接合継手の設計フローについて学ぶ.
限界状態3における母板に生ずる応力とその制限値を計算し,照査できる.簡単な摩擦接合継手に関して作用力の計算からボルト本数の決定,限界状態1,3に対する一連の照査ができる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野構造断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。4後1,後2,後3,後6,後7
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。4後1,後2,後3,後6,後7
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。4後1,後2,後7
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。4後1,後2,後6,後7
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。4後1,後2,後6,後7
各種示方書に基づく設計法(許容応力度、終局状態等)の概要を説明でき、安全率、許容応力度などについて説明できる。4後2,後3,後5,後6,後7,後11,後13,後14,後15
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。4後6,後7,後13,後14,後15
接合の定義・機能・種類、溶接と高力ボルト接合について、説明できる。4後4,後5,後6,後10,後11,後12,後13,後14,後15
鋼桁橋(プレートガーダー橋)の設計の概要、特徴、手順について、説明できる。4後1,後2,後3
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3後8,後16

評価割合

試験質疑応答や態度合計
総合評価割合9010100
専門的能力9010100