概要:
本科目では,企業で鋼橋や鋼構造物の設計業務に従事していた教員が,その経験を活かして,構造物の設計に必要な知識として鋼構造物やコンクリート構造物の概要とともに,それらの設計法の概要を説明する.また,具体的な構造物の設計手順について理解するため,設計荷重の載荷方法と設計断面力の計算方法,RC床板の設計方法について説明するとともに設計計算を行う.
授業の進め方・方法:
本科目では,橋梁を対象として,組み合わせ荷重を受ける部材の照査方法,設計荷重,影響線を用いたその載荷方法とそれを利用した設計断面力の計算方法について講義形式で説明する.それらの理解度は中間試験で確認する.また,代表的なコンクリート構造部材として橋梁の床版を取り上げ,床版の構造や種類とともに具体的なその設計の流れについて順を追って説明する.その理解度を確認するため,RC床板の設計課題を課す.
非常勤講師の連絡員:都市システム工学科 三好
注意点:
本講義では,構造力学,建設材料,コンクリート構造の基礎的知識が習得できていることを前提として授業を進める.設計計算に関するレポートや設計課題は,かなりの量があること,学習内容の理解度を深める効果が期待できるため,授業の進行に合わせて取り組んでいくこと.
本科目は,授業で保証する学習時間と,予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である. 合格の対象としない欠席条件(割合) 1/4以上の欠課
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材(1) 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力,制限値や照査方法について学ぶ. |
軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力,制限値や照査方法について理解できる.
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2週 |
軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材(2) 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力の計算方法について学ぶ. |
軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の作用応力を計算できる.
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3週 |
軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材(3) 軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の制限値の計算方法と照査方法について学ぶ. |
軸方向力と曲げモーメントを同時に受ける部材の制限値を計算して照査ができる.
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4週 |
設計荷重(1) 構造物として橋梁を対象に,設計に用いる荷重の種類,死荷重と活荷重,衝撃の影響について学ぶ. |
動荷重と静荷重の差異,橋梁の設計に用いる死荷重と活荷重の特徴とその考え方,動的な効果の取り扱いについて理解できる.
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5週 |
設計荷重(2) 単純プレートガーダー橋を対象として,死荷重の計算方法,活荷重の影響線載荷方法について学ぶ. |
影響線を用いた,等分布荷重や集中荷重を受ける単純プレートガーダー橋を構成する部材の死荷重の計算方法,荷重による断面力や支点反力の計算方法について理解できる.
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6週 |
設計荷重(3) 単純プレートガーダー橋を対象として,死荷重と活荷重による設計断面力の計算方法について学ぶ. |
単純プレートガーダー橋の主桁の設計断面力を計算する場合について,影響線を使用した活荷重の載荷範囲の決定や,それによる具体的な断面力の計算方法について理解できる.
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7週 |
設計荷重(4) 橋梁の設計における地震,風,温度変化の影響について学ぶ. |
死荷重,活荷重以外に,橋梁を設計する場合に考慮しなければならない荷重として,地震力,風荷重や温度変化の取り扱いについて理解できる.
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8週 |
中間試験 |
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4thQ |
9週 |
RC床版の設計(1) 床版の構造,種類と基本的な設計の考え方について学ぶ. |
各種床版の構造,種類と基本的な設計の考え方について理解できる.
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10週 |
RC床版の設計(2) 床版支間の定義,床版厚の決定とコンクリートの曲げ圧縮応力度の制限値と鉄筋の引張応力度の制限値について学ぶ. |
床版支間の定義,床版厚の決定とコンクリートの曲げ圧縮応力,鉄筋の引張応力の制限値について説明できる.
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11週 |
RC床版の設計(3) 設計曲げモーメントと床板の配筋方法について学ぶ. |
設計曲げモーメントと,支間部,支点部,片持ち部における配筋方法について理解できる.
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12週 |
RC床版の設計(4) 配筋の決定方法と床版の構造細目と限界状態について学ぶ. |
鉄筋の曲げあげ,曲げ下げ,ハンチや桁端部の構造,照査時に考慮すべき限界状態について理解する.
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13週 |
RC床版の設計(5) 床版の限界状態と配筋方法について学ぶ. |
限界状態を満たさない場合の配筋修正方法,限界状態の照査方法について理解する.
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14週 |
RC床板の設計(6) 各限界状態に対する照査方法について学ぶ. |
各限界状態に対する照査方法について理解する.
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15週 |
RC床版の設計(7) RC床板の設計計算例を通じて,その設計方法について復習するとともに,具体的な設計計算方法について学ぶ. |
RC床板の設計計算例を見ながら,設計方法や具体的な設計計算方法について説明できる.
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16週 |
期末試験実施せず |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 材料 | コンクリート構造の代表的な設計法である限界状態設計法、許容応力度設計法について、説明できる。 | 4 | 前9,前12,前13,前14,後10,後12,後13,後14 |
曲げモーメントを受ける部材の断面応力度の算定、使用性(ひび割れ幅)を検討できる。 | 4 | 前10,前11,前12,後10,後11,後13,後14 |
構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | 前10,後1,後2,後3 |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 4 | 前10,後1,後2,後3 |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 4 | 前6,後11 |
影響線を利用して、支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | 前5,後5,後6 |
影響線を応用して、与えられた荷重に対する支点反力や断面力を計算できる。 | 4 | 前5,後5,後6 |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 4 | 前10,後10 |
橋の構成、分類について、説明できる。 | 4 | 前2,後9 |
橋梁に作用する荷重の分類(例、死荷重、活荷重)を説明できる。 | 4 | 前4,前5,前7,後4,後5,後6,後7 |
軸力を受ける部材、圧縮力を受ける部材、曲げを受ける部材や圧縮と曲げを受ける部材などについて、その設計法を説明でき、簡単な例に対し計算できる。 | 4 | 後1,後2,後3 |
製図 | 線と文字の種類を説明できる。 | 4 | 前15,後15 |
与えられた条件を基に設計計算ができる。 | 4 | 前6,前15,後15 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | 後8 |