公共経済学

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 公共経済学
科目番号 4521 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 都市システム工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は使いませんが、講義の理解には以下の文献が参考になります。 上村敏之(2011)『公共経済学入門』、新世社。 中川雅之(2008)『公共経済学と都市政策』、日本評論社。 伊藤隆敏(2017)『公共政策入門』、日本評論社。
担当教員 武 学穎

到達目標

第1に、経済学的なものの考え方を理解する。第2に、経済学の基礎的なモデル(市場メカニズム)について理解する。第3に、市場の失敗のケースと政府の役割について理解する。第4に、公共投資の経済効果や問題点、今後の課題について理解する。 

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1公共経済学の社会経済における応用可能性について理解する。公共経済学の基礎を理解する。公共経済学が何かを理解できない。
評価項目2簡単な経済学モデルと使って、現実の経済の問題を論じることができる。簡単な経済モデルの意味が理解できる。簡単な経済モデルの意味が理解できない。
評価項目3日本の公共政策について理解し、その問題点、将来的な解決策について論じることができる。日本の公共政策についてその問題点や課題が理解できる。日本の公共政策の意味が理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
近年、公共部門の運営方法に対し批判が多い。しかしながら、経済社会において、消費者や企業といった民間部門に加えて、政府などの公共部門の存在意義は大きい。とりわけ、都市計画や社会資本整備などの分野においては、公共部門は重要な役割を果たしている。本講義では、公共部門の役割や行動についてミクロ経済学的な視点から講義を行う。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行う。講義期間中に数回のレポートを課す。
連絡員:石松一仁
注意点:
公共経済学は公共セクターを主な分析対象とするので、都市システム工学を専攻する学生にとっては重要な科目である。経済学の基礎知識を学習したうえで公共政策について講義するので、積極的に講義に参加してもらいたい。本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。 
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション よりよい社会を考えるために経済学的アプローチがどのように役立つかを理解する。
2週 市場経済(1):需要曲線と供給曲線 消費者と企業の合理的な行動について、需要曲線と消費者余剰および供給曲線と生産者余剰の特徴について理解する。
3週 市場経済(2):市場均衡と価格メカニズム 市場の価格メカニズムにより均衡が達成される様子を確認し、政府による価格政策が市場に与える影響を理解する。
4週 市場経済(3):社会的厚生と総余剰 市場均衡において社会的厚生(総余剰)が最大となることを理解し、政府による競争政策の重要性を理解する。
5週 市場の失敗(1):外部性 市場の失敗のケースとして外部性を取り上げ、社会的に望ましい外部性の内部化について道路混雑の問題を例にとり理解する。
6週 市場の失敗(2):公共財 公共財ではなぜ市場が失敗するかを確認し、社会的に望ましい供給水準の求め方について理解する。
7週 市場の失敗(3):公共選択 地方政府が主な供給主体となる地方公共財および集団の意思決定について学ぶ。
8週 市場の失敗(4):自然独占 巨額の固定費用が必要となる公益事業においてなぜ市場が失敗するかを理解する。
2ndQ
9週 市場の失敗(5):不確実性 情報の不確実性が存在するときに発生する市場のゆがみについて理解する。
10週 税と公債(1):租税 公共施設・サービスの整備や維持の財源となる租税について経済学的な特徴を理解する。
11週 税と公債(2):公債 租税に次いで公共施設・サービスの整備や維持の財源となる公債の経済学的な特徴を理解する。
12週 所得再分配(効率と公正) 経済学が格差や不平等の問題をどのように扱っているかを理解する。
13週 補助の根拠(外部補助と内部補助) 公共施設・サービスには、サービス提供主体が民間企業であっても多くの補助金が拠出される。その根拠について理解する。
14週 公共料金 公共施設・サービスの利用料金はどのように決まっているのか、料金決定に関わる制度や規制、その問題点について理解する。
15週 公共投資と社会資本 社会資本の種類や社会資本整備の近年の動向について理解する。
16週 期末試験 第1週から第15週の内容について試験する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学社会現代社会の考察現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16
専門的能力分野別の専門工学建設系分野計画国土と地域の定義を説明できる。3前2,前5,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16
費用便益分析について考え方を説明でき、これに関する計算ができる。4前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前11,前14,前15,前16
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3前1,前2,前12,前15
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3前1,前2,前12
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3前1,前2,前12,前15
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3前1,前3,前15
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3前1,前3,前12
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3前1,前2,前3,前13
他者の意見を聞き合意形成することができる。3前3,前4,前12,前15
合意形成のために会話を成立させることができる。3前2,前4,前13
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3前2,前4,前12,前13
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3前3,前4,前15
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3前3,前4,前12,前13
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3前3,前13
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3前3,前12,前15
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3前7,前8,前12,前15
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3前7,前8
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3前7,前8,前15,前16
複数の情報を整理・構造化できる。3前7,前8,前15,前16
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。3前7,前8,前12,前16
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3前7,前8,前12
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3前7,前8,前12,前15
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3前7,前8,前9
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3前5,前6,前9,前15
事実をもとに論理や考察を展開できる。3前5,前6,前9
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3前5,前6,前9
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3前5,前6,前9,前15
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3前5,前6,前9
目標の実現に向けて計画ができる。3前5,前6,前7,前15
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3前5,前6
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3前5,前6,前7
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3前5,前8,前11
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3前9,前11,前15
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3前9,前11,前15
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3前9,前11
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3前9,前11
リーダーがとるべき行動や役割をあげることができる。3前8,前11,前15
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3前8,前11,前15
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3前8,前11,前15
法令やルールを遵守した行動をとれる。3前12,前15
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。3前12
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3前12,前15
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。3前11,前15
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。3前11,前15
キャリアの実現に向かって卒業後も継続的に学習する必要性を認識している。3前11
これからのキャリアの中で、様々な困難があることを認識し、困難に直面したときの対処のありかた(一人で悩まない、優先すべきことを多面的に判断できるなど)を認識している。3前11,前14
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業や大学等でどのように活用・応用されるかを説明できる。3前11,前14
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。3前10,前14
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。3前10,前13
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。3前10,前13,前14
企業には社会的責任があることを認識している。3前10,前14
企業が国内外で他社(他者)とどのような関係性の中で活動しているか説明できる。3前10,前14
調査、インターンシップ、共同教育等を通して地域社会・産業界の抱える課題を説明できる。3前10,前13
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。3前10,前13
社会人も継続的に成長していくことが求められていることを認識している。3前10,前14
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。3前10,前13
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。3前10,前14
高専で学んだ専門分野・一般科目の知識が、企業等でどのように活用・応用されているかを認識できる。3前11,前14
企業人として活躍するために自身に必要な能力を考えることができる。3前11,前13
コミュニケーション能力や主体性等の「社会人として備えるべき能力」の必要性を認識している。3前11,前14
総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力総合的な学習経験と創造的思考力工学的な課題を論理的・合理的な方法で明確化できる。3前13
公衆の健康、安全、文化、社会、環境への影響などの多様な観点から課題解決のために配慮すべきことを認識している。3前13
要求に適合したシステム、構成要素、工程等の設計に取り組むことができる。3前13,前14
課題や要求に対する設計解を提示するための一連のプロセス(課題認識・構想・設計・製作・評価など)を実践できる。3前13,前14
提案する設計解が要求を満たすものであるか評価しなければならないことを把握している。3前14
経済的、環境的、社会的、倫理的、健康と安全、製造可能性、持続可能性等に配慮して解決策を提案できる。3前14

評価割合

試験演習課題・小テスト相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合90100000100
基礎的能力0000000
専門的能力90100000100
分野横断的能力0000000