到達目標
(1) 鋼構造物の設計に関する力学基礎について理解し,説明できる.
(2) 鋼材の製造方法,特徴,材料規格や特性値を理解し,説明できる.
(3) 鋼橋の構成,部材名称や荷重伝達経路について理解し,説明できる.
(4) 鋼構造物に関連するDX技術を活用できる.
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
評価項目1 | 鋼構造物の設計に関する力学基礎について十分に理解し,説明できる. | 鋼構造物の設計に関する力学基礎について理解し,説明できる. | 鋼構造物の設計に関する力学基礎について理解し,説明できない. |
評価項目2 | 鋼橋の構成,部材名称や荷重伝達経路について十分に理解し,説明できる. | 鋼橋の構成,部材名称や荷重伝達経路について理解し,説明できる. | 鋼橋の構成,部材名称や荷重伝達経路についての理解や説明ができない. |
評価項目3 | 鋼材の製造方法,特徴,材料規格や特性値を十分に理解し説明できる. | 鋼材の製造方法,特徴,材料規格や特性値を理解し説明できる. | 鋼材の製造方法,特徴,材料規格や特性値を理解し説明できない. |
評価項目4 | 鋼構造物に関連するDX技術を十分に活用できる. | 鋼構造物に関連するDX技術を活用できる. | 鋼構造物に関連するDX技術を活用できない. |
学科の到達目標項目との関係
教育方法等
概要:
鋼材は社会基盤構造物の構築に欠かせない材料であり,既存の多くの構造物に改良を加えられながら活用されてきただけでなく,より高性能,高機能化されて,今後,更新,新設される構造物にも適用されていくものと考えられる.よって,社会基盤構造物の計画,設計,建設や維持管理に携わる技術者にとって,鋼を使用した鋼構造物に関する基礎知識は必要不可欠である.本科目では,鋼構造物の設計,製作,架設,維持・補修に必要となる基礎知識を修得させるため,企業で鋼構造物や鋼橋の設計業務に従事してきた教員が,その経験を活かし,主として,鋼構造物や鋼橋の概要,鋼構造物に関連するDX,鋼材の特徴,鋼構造物の設計に関する力学基礎について,講義形式で授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
本科目では講義形式により,鋼構造物の設計に必要な力学基礎について説明し,計算例を通じて理解を深めさせる.また,鋼材,鋼橋の分類,構造形式やメカニズムについても説明する.さらに,鋼構造物に関連するDX技術について説明し,それを活用した演習を行う.授業中には,学生各自の理解状況を把握するため,構造力学や本科目等で学習済みの項目について,試問しながら進めることがある.
注意点:
本講義は,構造力学の基礎知識が習得できていることを前提に進める.講義では,簡単な鋼構造物に関する計算例を通して,鋼部材の設計に必要な基礎力学について説明する.講義内容の復習は欠かさず,講義中に説明した力学計算は,自身でもできるように努めること.
評価の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課
授業の属性・履修上の区分
授業計画
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
鋼構造物の力学基礎 (1) 鋼構造物の骨組構造物へのモデル化について学ぶ. |
鋼構造物のモデル化について理解できる.
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2週 |
鋼構造物の力学基礎 (2) 単純支持桁の支点反力,断面力の求め方について学ぶ. |
単純支持桁の支点反力,断面力が計算できる.
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3週 |
鋼構造物の力学基礎 (3) 単純支持トラス桁の支点反力,断面力の求め方について学ぶ. |
単純支持トラス桁の支点反力,断面力が計算できる.
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4週 |
鋼構造物の力学基礎 (4) 連続桁やゲルバー桁の支点反力,断面力の求め方について学ぶ. |
連続桁やゲルバー桁の支点反力,断面力が計算できる.
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5週 |
鋼部材の断面諸量 (1) 一般的な断面形状の図心,断面一次モーメントと断面二次モーメントについて学ぶ. |
一般的な断面形状の図心,断面一次モーメントと断面二次モーメントの計算方法について理解できる.
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6週 |
鋼部材の断面諸量 (2) 種々の鋼部材断面の断面諸量の求め方について学ぶ. |
I形,箱形,溝形断面等の図心,断面一次モーメントと断面二次モーメントが計算できる.
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7週 |
鋼部材の応力 断面力によって鋼部材に生ずる応力の求め方について学ぶ. |
断面力によって鋼部材に生ずる応力が計算できる.
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8週 |
中間試験 |
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2ndQ |
9週 |
鋼材(1) 鋼の製造方法,熱処理,材料規格について学ぶ. |
鋼の製造方法,熱処理方法とそれが材質に及ぼす影響,鋼橋に使用される鋼材の種類やJIS規格名について理解できる.
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10週 |
鋼材(2) 鋼の応力-ひずみ関係,強度の特性値,じん性について学ぶ. |
鋼の応力-ひずみ関係,強度の特性値について理解できる.
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11週 |
鋼橋の概要(1) 橋梁の分類と鋼橋の概要について学ぶ. |
橋梁の様々な観点からの分類と鋼橋の概要について理解できる.
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12週 |
鋼橋の概要 (2) 鋼橋の分類と構造形式,そのメカニズムついて学ぶ. |
鋼橋の様々な尺度による分類,構造形式とそのメカニズムについて理解できる.
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13週 |
AIによる橋梁形式の自動判別(1) 橋の画像から橋梁形式をAIで自動判別するための環境構築と,データセットの作成方法について学ぶ. |
pickleファイル作成プログラムを用いて,鋼橋のサンプル画像をそれらの形式(桁橋,トラス橋,アーチ橋,斜張橋,ラーメン橋,吊橋)とともにデータセットとして準備できる.
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14週 |
AIによる橋梁形式の自動判別(2) CNNを用いた教師画像の学習と,テスト画像による検証について学ぶ. |
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)プログラムにデータセットを学習させ,テストデータを用いて鋼橋の形式を分類できる.
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15週 |
AIによる橋梁形式の自動判別(3) 各自が撮影した鋼橋の画像をAIモデルに入力して,その形式を自動判別する方法について学ぶ. |
学生各自が撮影した鋼橋の画像をAIモデルに読み込ませて,その形式が妥当に分類されることを理解できる.また,妥当に分類されない要因について考察できる.
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16週 |
期末試験
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モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 建設系分野 | 材料 | 鋼材の種類、形状を説明できる。 | 4 | 前9 |
鋼材の力学的性質(応力-ひずみ関係、降伏強度、引張強度、弾性係数等)を説明できる。 | 4 | 前10 |
構造 | 断面1次モーメントを理解し、図心を計算できる。 | 4 | 前5,前6,前8 |
断面2次モーメント、断面係数や断面2次半径などの断面諸量を理解し、それらを計算できる。 | 4 | 前5,前6,前8 |
各種静定ばりの断面に作用する内力としての断面力(せん断力、曲げモーメント)、断面力図(せん断力図、曲げモーメント図)について、説明できる。 | 4 | 前2,前3,前4 |
応力とその種類、ひずみとその種類、応力とひずみの関係を理解し、弾性係数、ポアソン比やフックの法則などの概要について説明でき、それらを計算できる。 | 4 | 前7,前10 |
断面に作用する垂直応力、せん断応力について、説明できる。 | 4 | 前7,前12 |
鋼構造物の種類、特徴について、説明できる。 | 4 | 前11 |
橋の構成、分類について、説明できる。 | 4 | 前12,前13,前14,前15 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。 | 3 | 前15 |
評価割合
| 試験 | レポート | 取組 | 合計 |
総合評価割合 | 70 | 20 | 10 | 100 |
専門的能力 | 70 | 20 | 10 | 100 |