科学技術と環境

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 科学技術と環境
科目番号 4506 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 建築学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 『日本ファイバー興亡史―荒井溪吉と繊維で読み解く技術・経済の歴史―』井上尚之著、大阪公立大学共同出版会
担当教員 井上 尚之

到達目標

(1)明治から太平洋戦争後の科学技術の発達の歴史を知る。
(2)科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを知る。
(3)科学技術と環境破壊の関係を知り、科学技術者はいかに活動すべきかを考える。
(4)授業中にマイクを回し、教科書を読み、意見を述べる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1明治から太平洋戦争後の科学技術の発達の歴史を十分に理解している。明治から太平洋戦争後の科学技術の発達の歴史を理解している。明治から太平洋戦争後の科学技術の発達の歴史を理解してない。
評価項目2科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを十分に理解している。科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを理解している。科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを理解していない。
評価項目3科学技術と環境破壊の関係に基づいて科学技術者はいかに活動すべきかを的確に考えることができる。科学技術と環境破壊の関係に基づいて科学技術者はいかに活動すべきかを考えることができる。科学技術と環境破壊の関係に基づいて科学技術者はいかに活動すべきかを考えることができない。
評価項目4授業で議論している教科書の内容に対して的確な意見を述べることができる。授業で議論している教科書の内容に対して意見を述べることができる。授業で議論している教科書の内容に対して意見を述べることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
明治から太平洋戦争後の25年間、日本の主要輸出産業は繊維産業であった。しかし現在、日本の汎用化学繊維生産量は世界の1%にも満たない。日本の繊維産業は総合化学会社に変身し、高付加価値の炭素繊維やアスベスト代替繊維、さらには油水分離フィルター・水質浄化装置・バグフィルターなど環境保全になくてはならない化学物資を生産している。日本の繊維産業の興亡を通して、技術の進歩と経済の歴史を学習する。更に環境問題に産業界がどのように取り組んでいったかを俯瞰すると共に技術者倫理にも言及する。
授業の進め方・方法:
学生による発表を含む講義形式で授業を行う。
注意点:
授業中の発表・態度を重視する。
講師はISO14001の審査員であり、この科目ではその経験を活かして環境問題との関係も含めて技術の進歩と経済の歴史について講義する。
※連絡員:小笠原
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 明治の産業―生糸 繊維の分類、富岡製糸工場の実態、生糸製造過程、第1次大戦後の製糸業の発展等を学ぶ。
2週 日本の産業革命の中心産業―綿紡績(1) 松方デフレ政策と大阪紡績会社の成功、日清・日露戦争後の繊維産業の躍進、第1次世界大戦景気と金融恐慌、昭和恐慌、経済の回復と重化学工業の発達等を学ぶ。
3週 見学旅行のため、本科目の授業なし。 見学旅行のため、本科目の授業なし。
4週 日本の産業革命の中心産業―綿紡績(2) 綿紡績過程、女工哀史、豊田佐吉は何をしたのか、日本の特許制度の確立等を学ぶ。
5週 再生繊維レーヨンの登場(1) 銅アンモニアレーヨン(キュプラ)、ビスコースレーヨン、秦逸三とは何者か等を学ぶ。
6週 再生繊維レーヨンの登場(2) レーヨン黄金期、スフ登場等を学ぶ。
7週 それはニューヨークタイムズ「合成シルク」の記事から始まった ナイロンの報道、ナイロン発表、三井物産と東洋レーヨンの関係、カロザースの生涯、デュポン社の歴史、ナイロン発明の実態等を学ぶ。
8週 中間試験
4thQ
9週 ナイロンショック―荒井溪吉始動(1) ナイロンショック、財団法人日本合成繊維研究協会設立、財団法人日本合成繊維研究協会の活動、終戦後の日本経済牽引役―ビニロンとナイロン等を学ぶ。
10週 ナイロンショック―荒井溪吉始動(2) 財団法人理化学研究所と財団法人日本合成繊維研究所との相違、ナイロンとビニロンの工業化、アセテート、塩化ビニリデンと塩化ビニルの生産、ポリエステルとアクリル等を学ぶ。
11週 太平洋戦争後の荒井溪吉の活躍(1) 財団法人日本放射線高分子化学研究協会設立、高分子原料開発技術研究組合設立、鉱工業技術研究組合法成立等を学ぶ。
12週 太平洋戦争後の荒井溪吉の活躍(2) 法人格のない高分子原料開発技術研究組合から法人格のある高分子原料技術研究組合へ、時代は石炭から石油へ、石油からの合成繊維の工程、技術研究組合の隆盛等を学ぶ。
13週 太平洋戦争後の環境問題とその解決 4大公害裁判など日本の産業発展に伴う環境問題発生、公害対策基本法制定と環境庁設置、環境基本法、循環型社会形成推進基本法等について学ぶ。
14週 化学繊維と環境 化学繊維と環境保全、化学繊維製品のリサイクル、ペットボトルのポリエステル繊維へのリサイクル等を学ぶ。
15週 環境破壊と技術者倫理 人類を幸福にするはずの技術の進歩が逆に人類に不幸を与えた典型が環境破壊である。講師はISO14001の審査員でもあり、これらをもとに技術者倫理はいかにあるべきかを考える。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。3後15
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3後14
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3後14
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3後14
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3後14
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3後13
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3後13
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3後15
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3後15
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3後15
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3後15
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3後15

評価割合

発表・態度・授業への積極的参加レポート定期試験合計
総合評価割合401050100
基礎的能力401050100
専門的能力0000
分野横断的能力0000