科学技術と環境

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 科学技術と環境
科目番号 5506 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 建築学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は使用せず、適宜資料を配布する
担当教員 今井 良一

到達目標

(1)古代から現代までの科学技術の発達の歴史を知る。
(2)科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを知る。
(3)科学技術と環境破壊の関係を知り、科学技術者はいかに活動すべきかを考える。
(4)工学だけでなく他の分野にも興味をもち、各自の意見をしっかりと述べる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1古代から現代までの科学技術の発達の歴史を十分に理解している。古代から現代までの科学技術の発達の歴史を理解している。古代から現代までの科学技術の発達の歴史を理解してない。
評価項目2科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを十分に理解している。科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを理解している。科学技術の発達によっていかに環境破壊が起こったかを理解していない。
評価項目3科学技術と環境破壊の関係に基づいて科学技術者はいかに活動すべきかを的確に考えることができる。科学技術と環境破壊の関係に基づいて科学技術者はいかに活動すべきかを考えることができる。科学技術と環境破壊の関係に基づいて科学技術者はいかに活動すべきかを考えることができない。
評価項目4工学だけでなく他分野にも興味をもち、自分自身の意見を的確に述べることができる。工学だけでなく他分野にも興味をもち、自分自身の意見を述べることができる。工学だけでなく他分野にも興味をもち、自分自身の意見を述べることができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
食は、私たちが生きるために不可欠であり、身体や心、知能をつくりだす基礎である。現在、環境・農業・食の問題が、人間の健康や生命にかかわるものとして多く取り上げられている。それは2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故をはじめとして、生命が軽んじられるような事件が起きているからでもあると考えられる。そこで、本講義では、食をつくりだす農業・農業技術、そして農学を中心に据え、工学とも関連させながら、古代から現代まで通じ、歴史的に、技術や学問と「環境」とのかかわりについて解説するとともに、技術者倫理にも言及する。
授業の進め方・方法:
講義形式で授業を行う。
連絡員:小笠原
注意点:
授業中の発表・態度・レポートの提出を重視する。
評価の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 Introduction-農耕とは?- 本講義の意義や進め方について理解するとともに、農耕とは何かを学ぶ。
2週 古代文明と農業 古代文明の盛衰と農業との関係について理解する。
3週 江戸期日本の水田耕作 江戸時代は循環型社会であったと見直されている。特に日本の都市は世界一清潔であったといわれ、その秘訣のひとつである水田耕作について理解する。
4週 ヨーロッパ農業革命-三圃式から輪栽式へ― 産業革命の前提条件のひとつとなった農業革命について理解する。
5週 イギリス産業革命と資本主義経済の確立 産業革命および資本主義経済とは何かについて理解する。そのなかで、実は「革命」とよべるほどの経済成長率はなかったとする説についても学ぶ。
6週 明治維新と資本主義経済の確立-西洋技術の導入と日本農業- 明治維新後、西洋の農業技術が導入されるが、日本の気候風土にそのまま合うものではなかった。その結果、どのように日本の農業技術が展開したのかを理解する。
7週 明治~昭和戦前期における日本農業と諸問題 この時期の日本農業の諸問題(地主小作問題など)とともに、農業技術を創った人々の活躍(塩水選、コシヒカリの誕生、沖縄100号、20世紀ナシ、脱穀機の開発など)について理解する。
8週 中間試験
4thQ
9週 総力戦体制と日本農業-鉄だけではない農産物の軍事資源化- 総力戦体制下において、農産物が軍事資源化されたことを理解する(アルコール原料としてのイモ類、航空機潤滑油としての茶油、風船爆弾の材料としてのこんにゃく、和紙、円錐分離・電波兵器のためのブドウなど)。
10週 総力戦体制と植民地-「満洲」農業を中心に- 理想的な農業を営み、貧しさから抜け出すために、「満洲」へ渡った日本人によって行なわれた農業の現実について理解する。
11週 戦争と農学-工学だけではない学問の総動員- 総力戦体制下において、工学だけでなく、様々な学問、技術者が戦争に動員されたことを理解する。
12週 戦後の日本農業の展開 敗戦後、高度経済成長とともに、日本農業がどのように変わっていったのかを理解する。
13週 現在の日本農業-これからの農業・食・環境- 現在の日本農業や食が抱えている諸問題(過疎、飽食、農と食の乖離、地球温暖化など)について理解するとともに、今後の日本農業や食のあり方について学ぶ。
14週 農業・食と原子力発電所 「原発が建ったほとんどの自治体では過疎化が急激に進む」理由を理解する。「復興」と「原発稼働」が両立するのかについて学ぶ。
15週 地球温暖化と原発の役割 地球温暖化対策の切り札として「原発」が特に強調されるようになった。本当に「原発」は温暖化を抑制するのか。様々な資料をもとに検証し、自分の意見をしっかりともつことを目指す。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。3後13,後15
工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。3後11,後14
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3後9,後11,後14,後15
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3後11,後14,後15
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3後11,後13,後14,後15
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。3後2,後3,後13,後15
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。3後13,後15
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。3後13,後14,後15
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。3後2,後3,後11,後13,後14,後15
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3後11,後13,後14,後15
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3後9,後10,後11,後12,後14,後15
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。3後2,後3,後4,後5,後7,後10,後11,後14,後15

評価割合

発表・態度・授業への積極的参加レポート定期試験合計
総合評価割合154540100
基礎的能力154540100
専門的能力0000
分野横断的能力0000