建築史Ⅲ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 建築史Ⅲ
科目番号 5524 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 テキスト:鈴木博之編著『近代建築史―部分カラー版』市ヶ谷出版社,2009
担当教員 東野 アドリアナ

到達目標

(1)近代社会の根底にある「人類に普遍的な価値」が西洋世界において建築ではどのような造形として成立したかを理解するとともに、それが世界に拡大する過程で生じた地域文化との軋轢のなかで、世界が多様な建築文化で成り立っていることを理解し、説明することができる。
(2)近代社会に生きる建築家たちが、都市問題や住宅問題に取り組んだ建築家の倫理観についても触れ、その意義を理解し、説明することができる。
(3)歴史上、建築構造学が土木工学を含めた広い技術から生じたこと理解し、隣接分野への関心を深める。
目標を達成するために自己学習が必要である。教科書に目を通してから授業に参加すること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1近代建築の代表的な建築理念やモダンデザインの成立過程を理解し、説明することができる。建築家の社会的な取り組みを理解し、説明することができる。近代建築の代表的な建築理念やモダンデザインの成立過程を理解し、説明することができる。近代建築の代表的な建築理念やモダンデザインの成立過程を理解し、説明することができない。
評価項目2各自調査した近現代建築を批評の視点を明らかにしてレポートにまとめることができる。各自調査した近現代建築をレポートにまとめることができる。各自調査した近現代建築をレポートにまとめることができない。
評価項目3調査内容をスライド形式でまとめ、論旨を明快にして説明することができる。調査内容をスライド形式でまとめ、説明することができる。調査内容をスライド形式でまとめ、説明することができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
20世紀を中心に日本や西洋の近代建築について講じる。近代建築が確立するまでの様々な造形理念を時系列的に紹介し、近代社会が求めた「人類に普遍的な価値」が建築においてどのように帰結したか、またそのことへの批判から様々な方向に広がるポストモダンと呼ばれる状況までの過程を講義する。また、近代建築を成立させた構造技術も合わせて理解を深める。
授業の進め方・方法:
本講義では講師の話を聞くだけではなく学生が自ら講義を行います。近代建築について調査し、 スライドにまとめて、授業の中で発表する。近代建築史をテーマに分け、当てられたテーマについて調べ、それをまとめて発表をする。学生はテーマ2つを担当するのため、発表が2回ある 。そして、近代建築の研究対象事例を選んで、見学、研究をして、成果を動画形式レポートにまとめる。
注意点:
各週のテキスト該当箇所の予習と復習を行うこと。近現代建築の研究対象を選んで各自調査し、その成果をレポートにまとめること。調査の成果をスライド形式でまとめ、発表の準備をすること。
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。
評価の対象としない欠席条件(割合)1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 講義進行説明、発表範囲を分ける

19世紀の西洋建築の近代化と近代都市計画の近代化の過程について説明できる。
2週 近代までの西洋と日本建築の様式の移り変わり 近代建築の造形と理念を説明できる。
3週 西洋近代:近代化の衝撃 20世紀初頭の近代建築の造形と理念を説明できる。
4週 日本近代: 第1章 開国(1854)から維新期(1868)
日本人建築家の系譜、伝統建築の再発見の過程について説明できる。
5週 西洋近代 : 第2章 近代建築の模索 1920年代のヨーロッパ各地の近代建築運動について説明できる。
6週 日本近代: 第2章 洋風建築の本格的導入
初期洋風建築、擬洋風建築、お雇い外国人について説明できる。
7週 西洋近代 :第3章 近代運動の推進力
1930-40年代の近代建築、アールデコ、全体主義、北欧の建築について説明できる。
8週 日本近代:第3章 住宅建築と都市 洋風住宅、公園、集合住宅の諸相について説明できる。
2ndQ
9週 西洋近代 :第4章 近代運動の広がりと反動
1950-60年代の近代建築、巨匠の晩年の作品、構造主義について説明できる。
10週 日本近代:近代都市のなかの建築
近代都市計画におけるオフィスビル、公共建築、日本的表現について説明できる。
11週 西洋近代 :第5章 国際化社会と多様性の萌芽
建築運動の台頭、合理主義建築、ライト、タウト、レーモンドの作品について説明できる。
12週
日本近代:住宅建築と都市
近代都市計画におけるオフィスビル、公共建築、日本的表現について説明できる。
13週 日本近代:近代建築の導入と展開
建築運動の台頭、合理主義建築、ライト、タウト、レーモンドの作品について説明できる。
14週 現代建築:1960年代:世界と日本の共振;1970年代:モダニズムの反省 1960年代の建築、丹下健三、ル・コルビュジエの弟子たち、メタボリズムについて説明できる。
15週 現代建築:1980年代:ポストモダンの開化;1990年代以降のグローバル化 1970−80年代の建築、フォルマリズム、批判的地域主義、ポストモダニズム、デコンについて説明できる。
16週 期末試験 (実施しない)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建築系分野計画・歴史現代社会における都市計画の課題の位置づけについて説明できる。5前9,前11,前14,前15
近現代都市の特質と課題について説明できる。5前3,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
近代の都市計画論について説明できる。5前1,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
現代にいたる都市計画論について説明できる。5前3,前6,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
市街地形成と都市交通のあり方について説明できる。2前1,前2
街路計画の手法と理念について説明できる。2前1,前2
日本の土地利用計画の仕組みについて説明できる。3前9,前14,前15
方法・制度の変遷について説明できる。2前1,前2
景観形成・風景計画、用途・形態規制の仕組みについて説明できる。2前1,前2
市街地を開発する仕組みについて説明できる。2前1,前2
土地区画整理事業について説明できる。2前1,前2
市街地再開発事業について説明できる。2前1,前2
地区計画制度について説明できる。2前1,前2
建築協定・緑化協定などの住民参加・協働のまちづくりの体制について説明できる。2前1,前2
モデュールについて説明できる。2前1,前4,前5,前9,前14,前15
建築設計に関わる基本的な家具をはじめとする住設備機器などの寸法を知っている。2前5,前14,前15
居住系施設(例えば、独立住宅、集合住宅など)の計画について説明できる。3前4,前13,前14,前15
教育や福祉系の施設(例えば、小学校、保育所、幼稚園、中・高・大学など)あるいは類似施設の計画について説明できる。3前14,前15
文化・交流系の施設(例えば、美術館、博物館、図書館など)あるいは類似施設の計画について説明できる。3前14,前15
医療・業務系の施設(例えば、オフィスビル、病院、オーディトリアム、宿泊施設等)あるいは類似施設の計画について説明できる。3前14,前15
建築計画・設計の手法一般について説明できる。3前1,前13,前14,前15
都市と農村の計画について説明できる。2前1,前2
古代(例えば、エジプト、オリエント、エーゲ海、ギリシャ、ローマなど)の特徴について説明できる。4前15
中世(例えば、ビザンチン、イスラム、ロマネスク、ゴシックなど)の特徴について説明できる。4前15
近世(例えば、ルネサンス、マニエリスム、バロック、ロココなど)の特徴について説明できる。4前1,前3,前4,前5,前15
原始(例えば、竪穴住居、高床建築、集落など)の特徴について説明できる。4前15
古代(例えば、住宅建築、寝殿造、都市計画、神社建築、寺院建築など)の特徴について説明できる。4前15
中世(例えば、住宅建築、神社建築、寺院建築(大仏様、禅宗様、折衷様など))の特徴について説明できる。4前15
近世(例えば、住宅建築、書院造、数寄屋風書院、町屋、農家、茶室、霊廟、社寺建築、城郭)の特徴について説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前9,前10,前11,前15
都市・地区・地域・建築物の規模に応じた防災に関する計画、手法などを説明できる。2前1
日本および海外における近現代の建築様式の特徴について説明できる。4前1
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能日本語と特定の外国語の文章を読み、その内容を把握できる。3前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
他者とコミュニケーションをとるために日本語や特定の外国語で正しい文章を記述できる。3前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
他者が話す日本語や特定の外国語の内容を把握できる。3前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
日本語や特定の外国語で、会話の目標を理解して会話を成立させることができる。3前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
円滑なコミュニケーションのために図表を用意できる。3前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
円滑なコミュニケーションのための態度をとることができる(相づち、繰り返し、ボディーランゲージなど)。3前1,前2,前3,前4,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
他者の意見を聞き合意形成することができる。3前1
合意形成のために会話を成立させることができる。3前1
グループワーク、ワークショップ等の特定の合意形成の方法を実践できる。3前1
書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
あるべき姿と現状との差異(課題)を認識するための情報収集ができる3前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
複数の情報を整理・構造化できる。3前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
特性要因図、樹形図、ロジックツリーなど課題発見・現状分析のために効果的な図や表を用いることができる。3前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
課題の解決は直感や常識にとらわれず、論理的な手順で考えなければならないことを知っている。3前1
グループワーク、ワークショップ等による課題解決への論理的・合理的な思考方法としてブレインストーミングやKJ法、PCM法等の発想法、計画立案手法など任意の方法を用いることができる。3前1
どのような過程で結論を導いたか思考の過程を他者に説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
適切な範囲やレベルで解決策を提案できる。3前1
事実をもとに論理や考察を展開できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
結論への過程の論理性を言葉、文章、図表などを用いて表現できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。3前1
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。3前1
目標の実現に向けて計画ができる。3前1
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。3前1
日常の生活における時間管理、健康管理、金銭管理などができる。3前1
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。3前1

評価割合

発表1発表1動画課題態度合計
総合評価割合3030400100
基礎的能力00000
専門的能力30300060
分野横断的能力0040040