真空工学

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 真空工学
科目番号 0028 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・電子システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 堀越源一:物理工学実験4 「真空技術」、東京大学出版会プリント資料を適宜配付する。
担当教員 藤野 達士

到達目標

1)熱運動速度、粘性流と分子流、排気速度とp-Q線図等の、基礎的な概念について理解すること。(D)
2)各種真空機器の名称と動作原理、取り扱い方を理解し、拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた排気装置について、運転と停止の手順について理解すること。(H)
3)拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた簡単な真空排気系の設計に必要な事柄を理解すること。(F) 

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1熱運動速度、粘性流と分子流、排気速度とp-Q線図等の、基礎的な概念について理解し、応用も含めて説明できる。熱運動速度、粘性流と分子流、排気速度とp-Q線図等の、基礎的な概念について理解し、説明できる。熱運動速度、粘性流と分子流、排気速度とp-Q線図等の、基礎的な概念について理解し、応用も含めて説明できない。
評価項目2各種真空機器の名称と動作原理、取り扱い方を理解し、拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた排気装置について、運転と停止の手順について、応用も含めて理解し説明できる。各種真空機器の名称と動作原理、取り扱い方を理解し、拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた排気装置について、運転と停止の手順について、理解し説明できる。各種真空機器の名称と動作原理、取り扱い方を理解し、拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた排気装置について、運転と停止の手順について、説明できない。
評価項目3拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた簡単な真空排気系の設計に必要な事柄を理解し、応用例も含めて説明できる。拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた簡単な真空排気系の設計に必要な事柄を理解し、説明できる。拡散ポンプ、またはターボ分子ポンプを用いた簡単な真空排気系の設計に必要な事柄を理解し、説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育目標 (F) 説明 閉じる
学習・教育目標 (H) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 現代社会を支える先端技術の多くは、真空関連の技術の上になり立っている。授業では、気体分子の熱運動・気体の流れ・コンダクタンスなど、真空の性質について概説する。ついで各種真空ポンプを使った真空の作り方、各種真空計を用いた真空の測り方、真空材料、漏れ捜しの技法と対策などの関連・応用技術などについて述べる。 本科目では以上の講義と一部の実習を行い、真空装置の動作原理を理解し、取り扱いや設計に関する技術を修得することを目的とする。
授業の進め方・方法:
定期試験成績(50%)・授業中の小テスト(20%)・レポート(30%)により行い、 総合60%以上の評価に達したものを合格とする。 小テストは、熱運動速度やp-Q線図等に関する講義内容について出題する。 レポートは、指定真空ポンプの動作概要、および、真空排気装置の設計と取 り扱いに関する課題を出題する。 定期試験では、上記達成目標の1),2)の達成度を、小テストでは上記達成目 標の1)の達成度を、レポートでは上記達成目標の2),3)の達成度を評価する 。
注意点:
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。機械系、電気系学科出身を問わず、受講可能である。気体運動論の部分については、物理学の教科書等を参考にすること。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 真空とは何か、気体分子運動論の基礎
真空の意味、それを測る尺度や区分、実社会や実験室でどの程度の真空度が要求されるか等について述べる。また、状態方程式、平均自由行程等の気体分子運動の基礎的概念について講義する。
真空の意味、それを測る尺度や区分、実社会や実験室でどの程度の真空度が要求されるか等について理解し、また、状態方程式、平均自由行程等の気体分子運動の基礎的概念を理解する。
2週 速度分布関数と気体の圧力、熱運動速度
気体分子の速度分布関数(マクスウェルの分布則)を定義し、これを用いて気体の圧力を計算する。また重要な物理量である気体分子の熱運動速度を算出し、自由分子条件について考察する。
気体分子の速度分布関数(マクスウェルの分布則)を定義し、これを用いて気体の圧力を計算する。また重要な物理量である気体分子の熱運動速度を算出し、自由分子条件について考察できる。
3週 壁面を叩く気体分子数
真空ポンプの分子流領域での動作を理解するうえで重要な、壁面を叩く気体分子数の概念とその算出法について述べ、理想的な真空ポンプの排気速度を表す式を導出する。
真空ポンプの分子流領域での動作を理解するうえで重要な、壁面を叩く気体分子数の概念とその算出法について理解し、理想的な真空ポンプの排気速度を表す式を導出できる。
4週 熱伝導・粘性
真空排気には一般的に熱の移動を伴うが、これについて考察し、気体の熱伝導率を算出する。また、同様の概念として運動量の移動について考察することにより、粘性係数を算出する。
真空排気には一般的に熱の移動を伴うが、これについて考察でき、気体の熱伝導率を算出できる。また、同様の概念として運動量の移動について考察することにより、粘性係数を算出することができる。
5週 固体表面と気体分子、気体の流れ
真空装置の実際的な姿である、固体表面と気体分子の振る舞いについて説明し、粘性流・分子流の違いについてふれる。また、種々の真空配管における排気コンダクタンスについて考察する。
真空装置の実際的な姿である、固体表面と気体分子の振る舞いについて説明し、粘性流・分子流の違いについて理解する。また、種々の真空配管における排気コンダクタンスについて考察することができる。
6週 種々の真空ポンプ
実際の真空排気装置に使用される真空ポンプの種類・動作原理・特性等について、ここでは主に油回転ポンプ・油拡散ポンプ・ブースターポンプ、及び新型ポンプについて述べる。
実際の真空排気装置に使用される真空ポンプの種類・動作原理・特性等について、ここでは主に油回転ポンプ・油拡散ポンプ・ブースターポンプ、及び新型ポンプについて理解することができる。
7週 真空排気系とその取扱方法
前週扱った真空ポンプを使用した実際の排気系について講義し、始動・運転・停止の方法を確認する。また、停電・断水等に対する対策にも言及する。
前週扱った真空ポンプを使用した実際の排気系について理解し、始動・運転・停止の方法がわかる。また、停電・断水等に対する対策にも理解する。
8週 排気速度とp-Q線図
真空ポンプの排気速度と排気量について述べ、粗排気・本排気における排気過程の様子をp-Q線図を使い説明する。
真空ポンプの排気速度と排気量について述べ、粗排気・本排気における排気過程の様子をp-Q線図を使い説明することができる。
4thQ
9週 種々の真空計
ガイスラー放電管・各種マノメータ・マクラウドゲージ・ピラニーゲージ・電離真空計等の圧力を測る計器について、その原理と取り扱いについて述べる。
ガイスラー放電管・各種マノメータ・マクラウドゲージ・ピラニーゲージ・電離真空計等の圧力を測る計器について、その原理と取り扱いについて説明できる。
10週 超高真空ポンプI
超高真空ポンプの中でも、気体ため込み式ポンプの仲間であるスパッターイオンポンプ・ソープションポンプ・クライオポンプ等について、その原理と取り扱い法を述べる。
超高真空ポンプの中でも、気体ため込み式ポンプの仲間であるスパッターイオンポンプ・ソープションポンプ・クライオポンプ等について、その原理と取り扱い法を説明できる。
11週 超高真空ポンプII
超高真空ポンプの中でも、気体輸送式ポンプとして有名なターボ分子ポンプの動作原理と構造・特性について述べ、このポンプを使用した実際の排気装置について理解をはかる。
超高真空ポンプの中でも、気体輸送式ポンプとして有名なターボ分子ポンプの動作原理と構造・特性について述べ、このポンプを使用した実際の排気装置について理解することができる。
12週 ガス放出とガスの吸着
実際の真空排気装置において、到達圧力を左右する重要な量となる真空材料のガス放出と吸着について考察し、洗滌・ベーキングなどの対策について述べる。
実際の真空排気装置において、到達圧力を左右する重要な量となる真空材料のガス放出と吸着について考察し、洗滌・ベーキングなどの対策について説明ができる。
13週 関連部品
ゲージポート・フランジ・ガスケット・バルブ・トラップ・ベローズ・絶縁端子・ホース類等、真空装置を構成するのに必要な関連部品について概説し、使用上の注意について述べる。
ゲージポート・フランジ・ガスケット・バルブ・トラップ・ベローズ・絶縁端子・ホース類等、真空装置を構成するのに必要な関連部品について概説し、使用上の注意について説明できる。
14週 漏れ捜しの技法
技術者にとって非常に厄介で、実際の真空装置においてしばしば発生する『漏れ』とその探索・解決の方法について述べる。
技術者にとって非常に厄介で、実際の真空装置においてしばしば発生する『漏れ』とその探索・解決の方法について説明できる。
15週 真空技術とその応用
真空が可能とする技術には多種多様なものがある。ここでは幾つかの真空応用分野について概説する。
真空が可能とする技術には多種多様なものがある。幾つかの真空応用分野について紹介できる。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価小テストレポートその他合計
総合評価割合500020300100
基礎的能力0000000
専門的能力500020300100
分野横断的能力0000000