システム制御工学

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 システム制御工学
科目番号 5016 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 機械・電子システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 資料を配布する。参考書として、豊橋技術科学大学・高等専門学校制御工学教育連携プロジェクト『制御工学』実教出版、佐藤・下本・熊澤『はじめての現代制御理論』講談社などを推薦する。
担当教員 榎本 隆二

到達目標

1.システムを状態空間表現できる
2.Lyapunovの安定判別法を用いて、線形時不変システムの安定判別ができる
3.可制御正準系への変換を通じて、指定の極配置を実現する状態フィードバックゲインを算出できる
4.各種オブザーバを設計できる
5.最適レギュレータ、最適フィルタを設計できる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
システムの状態空間表現任意の線形時不変システムについて、その状態空間表現を導出できる幾つかの典型的なシステム例について、その状態空間表現を導出できる状態空間表現の定義を知らない
Lyapunovの安定判別法による安定判別Lyapunovの安定判別法における判定手順に基づき、安定性を判別できるLyapunovの安定判別法における判定手順を説明できるLyapunovの安定判別法を知らない
可制御正準系への変換を通じた状態フィードバックゲインの算出可制御正準系への変換を行い、目的の状態フィードバックゲインを算出できる状態フィードバック制御において安定化すべき行列を説明できる状態フィードバック制御則を知らない
各種オブザーバを設計できる双対システムを利用して、目的のオブザーバゲインを算出できるオブザーバの設計において安定化すべき行列を説明できるオブザーバを知らない
最適レギュレータ、最適フィルタを設計できる最適レギュレータおよび最適フィルタを設計できる簡単なリカッチ方程式を解ける最適レギュレータを知らない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
古典制御では入出力関係のみに着目した伝達関数を基礎とし、周波数領域で制御系を設計する。これに対し、現代制御理論では、システム内部の状態を表す変数(状態変数)を用いた状態空間表現を基礎とし時間領域で制御系を設計する。本講義では、現代制御理論の基礎的な内容を一通り扱う.
授業の進め方・方法:
状態方程式の導出、Lyapunovの安定判別法、可制御性と可観測性、状態フィードバック制御器とオブザーバの設計法などについて学ぶ。講義内容を復習する演習を毎回実施する。オープンソースの制御系CAD(Scilab)を用いる。
注意点:
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。また、ラプラス変換や伝達関数、行列論の初歩である固有値や逆行列などの基礎知識を前提とする。合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 システムの状態空間表現
(モデル式、平衡点における近似線形化、状態方程式、出力方程式)
モデル式から線形近似を経由してシステムの状態空間表現を導出できる
2週 状態方程式の解
(行列のジョルダン標準形、SN分解、行列指数関数、システムの積分表現、伝達関数行列)
状態方程式の解を求められる
3週 システムの固有モード
(固有モード分解、モード分離観測、モード分離制御)
システムのモード解析ができる
4週 可制御性と可観測性
(可制御性、可到達性、可観測性、可検出性)
システムの可制御性・可観測性を判定できる
5週 システムの標準形
(システムの正準構造分解、可制御部分空間、可観測部分空間)
システムの正準構造分解を求められる
6週 システムの安定性解析と漸近安定化問題
(可安定性、リャプノフの安定性定理、リャプノフ関数、リャプノフ方程式、漸近安定化)
リャプノフ方程式を使って漸近安定化問題が解ける
7週 状態フィードバックと極指定問題
(状態フィードバックによる極指定、規範となる極配置、極配置問題におけるロバスト性)
状態フィードバックによる極指定制御系を設計できる
8週 総合演習1
前半のまとめ
2ndQ
9週 オブザーバの設計
(全状態オブザーバ、最小次元オブザーバ)
全状態および最小次元オブザーバを設計できる
10週 オブザーバ併用の出力フィードバック
(制御と観測の分離定理、オブザーバ併用出力フィードバックによる極指定)
オブザーバを併用した極指定出力フィードバック系を設計できる
11週 最適制御系の設計
(変分法、最小作用の原理、ラグランジュ系とハミルトン系、線形最適フィードバック制御)
線形最適フィードバック系を設計できる
12週 最適追従制御系の設計
(積分動作を含む最適フィードバック制御)
LQI制御系を設計できる
13週 カルマンフィルタの設計と制御への応用
(確率システム、ノイズ解析、共分散行列、カルマンフィルタ、カルマンフィルタ併用のフィードバック制御)
適切なノイズ解析を経て、カルマンフィルタを設計できる
14週 非線形制御の基礎
(1階連立偏微分方程式系とフロベニウスの定理、出力の相対次数、厳密線形化問題)
簡単な非線形系の厳密線形化問題が解ける
15週 総合演習2 後半のまとめ
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験演習相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力2010000030
専門的能力3020000050
分野横断的能力1010000020