概要:
当教科は電気情報工学科の電気磁気学Ⅰ・Ⅱを基礎とし、更に充実発展させるものである。電気磁気学Ⅰ・Ⅱでも概ね大学レベルの講義を行っているが、学年的な制約(周辺基礎学力等との関連)から一部の事項を省いたり、厳密な取扱いを緩めて簡略化したりしている部分がある。専攻科においては、特に電気磁気学のような基礎科目の学力は名実共に大学並としておくことが望ましいと考えられるので、電気磁気学Ⅰ・Ⅱの内容を補いつつ一層のレベルアップを図る。
授業の進め方・方法:
成績評価は100%定期試験の成績で評価する。これらを総 合して60点以上を獲得することが合格ラインである。配布するプリントの内容は電磁気学の理論、定式化および具体的な計算問題である。
注意点:
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。受講に当たっては、本校電気情報工学科の電気磁気学I及びII(第3・第4学年)程度の電気磁気学を修得していることが望ましい。
評価の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
真空中の静電界 電気的現象の場としての電界、電気力線という仮想的概念について解説し、電界のポテンシャルとしての電位を定義し、電位の傾きとしての電界を考える。この場の計算には、▽、grad を使用する。 |
電気的現象の場としての電界、電気力線という仮想的概念について理解し、電界のポテンシャルとし ての電位を定義し、電位の傾きとしての電界を考えることができる。
|
2週 |
ガウスの定理 電界を計算する場合に最も多く利用されると思われる「ガウスの定理」について、その物理的意味および計算への応用法を解説し、例題を紹介する。 |
電界を計算する場合に最も多く利用されると思われる「ガウスの定理」について、その物理的意味お よび計算への応用法を理解し、例題を解くことができる。
|
3週 |
ラプラスおよびポアソンの方程式 発散(div)を導入して電気力線およびベクトルの発散について物理的・数学的に考察する。また、静電界を記述する最も汎用的で有名なラプラスおよびポアソンの方程式の使用例を解説する。 |
発散(div)を導入して電気力線およびベクトルの発散について物理的・数学的に考察することができる。また、静 電界を記述する最も汎用的で有名なラプラスおよびポアソンの方程式の使用法を理解している。
|
4週 |
静電容量 帯電した導体系について、電位係数・容量係数、導体系の保有するエネルギーを概説する。導体系の最もポピュラーな2つの導体系即ち静電容量については実際の計算例を含めて詳しく学ぶ。 |
帯電した導体系について、電位係数・容量係数、導体系の保有するエネルギーを理解できる。導体系の 最もポピュラーな2つの導体系即ち静電容量については実際の計算例を含めて理解できる。
|
5週 |
誘電体(分極) コンデンサでは真空(空気)より絶縁物(誘電体)のある場合が多い。電界中の誘電体での物理現象を知る上で、電束密度の概念を導入し、種々の物質の誘電率等について学ぶ。 |
コンデンサでは真空(空気)より絶縁物(誘電体)のある場合が多い。電界中の誘電体での物理現象を知 る上で、電束密度の概念を導入し、種々の物質の誘電率等について説明できる。
|
6週 |
誘電体中の電界 誘電体中の電界の取扱い特に、誘電体の界面条件,電気力線の屈折、電界のエネルギー密度、誘電体に働く力(仮想変位の法)について解説し、例題を解く。 |
誘電体中の電界の取扱い特に、誘電体の界面条件,電気力線の屈折、電界のエネルギー密度、誘電体 に働く力(仮想変位の法)について説明でき、例題を解くことができる。
|
7週 |
影像法による電界 真空中及び誘電体中での電界を求める場合、一般的にはラプラス及びポアソンの方程式を解くことになるが、特別な境界条件では古くから知られた巧妙かつ簡単な解法「影像法」について解説する。 |
真空中及び誘電体中での電界を求める場合、一般的にはラプラス及びポアソンの方程式を解くことに なるが、特別な境界条件では古くから知られた巧妙かつ簡単な解法「影像法」について説明できる。
|
8週 |
電流の場と静電界 連続導体中を電流が分布して流れている場合、静電界との相似を使用して簡単に問題が解ける場合がある。また、回路でよく出てくるキルヒホッフの法則を電気磁気学的に表現する。 |
連続導体中を電流が分布して流れている場合、静電界との相似を使用して簡単に問題が解ける場合が ある。また、回路でよく出てくるキルヒホッフの法則を電気磁気学的に表現する。
|
4thQ |
9週 |
磁界 磁界の根源は電流にある、との基本的立場からビオ・サバールの法則を出発点とし、アンペアの周回積分の法則を導く過程を詳説する。 |
磁界の根源は電流にある、との基本的立場からビオ・サバールの法則を出発点とし、アンペアの周回 積分の法則を導く過程を説明できる。
|
10週 |
磁界分布の計算 電界とは出発点の異なる磁界を記述するには電界とは異なる数学的表現が必要となる。磁界ではベクトルの回転(rot)が重要となる。ベクトル・ポテンシャル、電流に働く力等を解説する。 |
電界とは出発点の異なる磁界を記述するには電界とは異なる数学的表現が必要となる。磁界ではベク トルの回転(rot)となり、ベクトル・ポテンシャル、電流に働く力等を説明できる。
|
11週 |
磁性体 磁界を利用する実際の電気機器では殆ど磁性体(強磁性体)を使用する。理論的な取扱の難しい磁性体について、磁界と静電界の対応(BD、HE対応)、磁気回路、磁界のエネルギー密度等含めて解説する。 |
磁界を利用する実際の電気機器では殆ど磁性体(強磁性体)を使用する。理論的な取扱の難しい磁性体 について、磁界と静電界の対応(BD、HE対応)、磁気回路、磁界のエネルギー密度等含めて説明できる。
|
12週 |
電磁誘導現象 発電機等多くの機器の原理である電磁誘導現象だが、磁束自身の時間的変動でも導体―磁束の相対運動によっても起電力は生じる。この現象を数式的に扱い、Maxwell の電磁方程式へと導く。 |
発電機等多くの機器の原理である電磁誘導現象だが、磁束自身の時間的変動でも導体―磁束の相対運 動によっても起電力は生じる。この現象を数式的に扱い、Maxwell の電磁方程式へと導くことができる。
|
13週 |
インダクタンス 電気回路でも代表的な素子としてインダクタンスは頻出するが、磁界エネルギーという観点から自己インダクタンス、相互インダクタンスを学び、計算例として往復線路の波動伝搬速度等を解説する。 |
電気回路でも代表的な素子としてインダクタンスは頻出するが、磁界エネルギーという観点から自己 インダクタンス、相互インダクタンスを学び、計算例として往復線路の波動伝搬速度等を計算することができる。
|
14週 |
Maxwell の電磁方程式 電気電子工学や物理学を学ぶ者にとって極めて重要な意味を持つ、Maxwell の電磁方程式を詳説する。方程式の導出すると共に、同方程式からこれまで学んできた電界磁界の基本法則を逆導出する。 |
電気電子工学や物理学を学ぶ者にとって極めて重要な意味を持つ、Maxwell の電磁方程式を説明できる。また、方程式の導出すると共に、同方程式からこれまで学んできた電界磁界の基本法則を逆導出することができる。
|
15週 |
Maxwell 電磁方程式の解と電磁波 Maxwell の電磁方程式を連立偏微分方程式として解き、その結果として電磁波の存在とその速度を計算する。また、電磁波の基本的性質を解説する。 |
Maxwell の電磁方程式を連立偏微分方程式として解き、その結果として電磁波の存在とその速度を計 算することができる。また、電磁波の基本的性質を解説できる。
|
16週 |
期末試験
|
|