インクルーシブデザイン概論

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 インクルーシブデザイン概論
科目番号 0018 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築・都市システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 『インクルーシブデザイン ハンドブック』、平井康之編著、財団法人たんぽぽの家、2006年』、『IAUD UDマトリックス ユーザー情報集・事例集』、国際ユニバーサルデザイン協議会編、『ICF』厚労省資料他
担当教員 大塚 毅彦,秋田 直繁,朝尾 浩康,岩田 直樹,竹綱 章浩

到達目標

(1)日本・ヨーロッパにおけるインクルーシブデザインの理解
(2)ユーザー参加型手法についての理解
(3)障害を持つ多様な人の生活を包括的に援助するための、確かな知識と実践力及び人間性の涵養を目標とする。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1インクルーシブデザインについて十分理解し説明できるインクルーシブデザインについて理解し説明できるインクルーシブデザインについて理解し、説明できない。
評価項目2複数の知識を十分に応用し、解が一つでなく複数のアイデアを提示できる。複数の知識を応用し、解が一つでなく複数のアイデアを提示できる。複数の知識を応用し、解が一つでなく複数のアイデアを提示できない。
評価項目3多様なユーザー特性を十分に理解し、説明できる多様なユーザー特性を理解し説明できる。多様なュ^ザー特製を理解し、説明できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (D) 説明 閉じる
学習・教育目標 (H) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 インクルーシブデザインとはこれまで除外されて来た(エクスクルード)ユーザーを包含し(インクルード)かつビジネスとして成り立つメインストリームのデザイン開発を目的とした考え方で、特に最近ではイノベーションの有効な手法としても注目されている。本論では、具体的な医療・福祉分野等での事例研究を題材に、ヨーロッパにおけるインクルーシブデザイン、日本におけるインクルーシブデザイン、およびそのプロセスであるユーザー参加型手法について、WSなどを交えながら理解することを目標とする。竹綱は、30年間デザイナーとして従事。岩田は25年間デザイナーとして従事。朝尾は、30年間、介護・バリアフリー住宅部門の企業を経営。これらの経験を活かし授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
授業が、講義形式とワークショップ等の演習方式によっておこなう。授業に必要な資料は講義で適宜配布する。参考図書:「インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン」(学芸出版社)
注意点:
本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。出身学科を問わず、できるだけ平易に授業し、グループによるワークショップも行う予定である。
合格の対象としない欠席条件(割合) その他

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 インクルーシブデザインとは何か?① 、(竹綱章浩(きづきデザインラボ ))世界のアクセイシブルデザインを理解する。」
これまでのデザインとインクルーシブデザインは何が違うのか?なぜその必要性があるのかについて具体的な事例を題材とし、いっしょに考えていく
世界のアクセイシブルデザイン、バリアフリーからユニバーサルデザインを理解する。
2週 インクルーシブデザインとは何か?② (竹綱章浩(きづきデザインラボ ))
インクルーシブデザインの成立背景やユニバーサルデザインやバリアフリーなど類似の概念との相違点について医学薬学分野での具体的な事例を題材とし、いっしょに考えていく。
インクルーシブデザインの概念・方法論を理解する。
3週 第3週 疑似体験による校内バリフリー 大塚
様々な疑似体験用具を用いて、明石高専内の施設点検を行う。
高齢者、視覚障害者などの疑似体験によって各ユーザーの特製を理解する。
4週 オフィス空間とインクルーシブデザイン1 (秋田直繁(九州大学大学院助教))、大塚
企業では経営理念やビジョンに基づいて商品開発を行っている。企業経営とモノづくりの関係や市場との関係、顧客との関係を考えながら企業でのインクルーシブデザインについて考える。
オフィイス空間でのインクルーシブデザインの実例をもとにユーザーリサーチの方法を学ぶ。
5週 オフィス空間とインクルーシブデザイン2 (秋田)
オフィスとは何か、オフィス空間にはどのような機能があり、どのようなプロダクトが存在するのか。そして、オフィスを計画し、空間をデザインするために何をしなければならないのかを考える。
オフィイス空間でのインクルーシブデザインを当事者ともとに考えることができる。
6週 オフィス空間とインクルーシブデザイン3 (秋田)
オフィスで使うプロダクトには文具や家具などがあるが、それらの商品がどのような考え方、プロセスを経てデザインされているのかを事例を基に学ぶ。
オフィイス空間でのインクルーシブデザインプロセスを理解する。
7週 オフィス空間とインクルーシブデザイン4 (秋田)、大塚
普段勉強している教室や学校空間で気づいたことを出し合って、グループでディスカッションし、課題を設定。そしてアイデアを出し合う。
社会課題を行動観察によって設定でき、課題解決ができる。
8週 チームメイド・デザイン1 (岩田直樹(アトリエ・カプリス))
社会で実際に実践している「チームメイド・デザイン」の事例を紹介しながら、実際に体験をする。「グラフィックデザイン」について講義を行う。
参加と共創のデザインについて、理解する。
2ndQ
9週 チームメイド・デザイン2 (岩田)、大塚
チームメイド・デザインによる「グラフィックデザイン(学生による学科紹介パンフレット・DVD)」の実践をおこなう。実際に行い、検証することで、課題の抽出をおこなう。
チームメイドデザインを使いグラフィックデザイン(パンフレット)を作成する
10週 ICFと福祉住環 (朝尾浩康(株)アーサ)
福祉のメインストリームとなっている ICFの考え方と住環境の関連性及び重要性を認識させ、各疾患ケースの住環境整備のポイントを実践事例から考察し多様な人に対するアプローチ方法を学ぶ。
ICFの考え方と住環境の関連性及び重要性を認識し、住環境整備の基礎を理解する。
11週 生活環境と住宅設備 -体感学習- (朝尾)、大塚
バリアフリー住宅にある主要な設備とそのデザインを考察して、身体に障害を持つ人の生活を包括的に捉えて課題分析をおこない、アプローチ方法を学習する。
インクルーシブなバリアフリー住宅整備の基礎を学ぶ。
12週 当時者との対話によるソーシャル・イノベーション 大塚
我が国の当事者参画の「ユーザーエキスパートシステム」、兵庫県福祉のまちづくり条例における「福祉のまちづくりアドバイザー」制度等の概要について説明する。
我が国、自治体における福祉のまちづくりについて理解する。
13週 インクルーシブデザインワークショップ1 (秋田)・大塚
「アスピレーションのデザイン:デザインができること」というテーマでワークショップを行う。導入として、ワークショップの考え方、進め方について説明する。
当事者とともにインクルーシブデザイン手法によって様々な課題をリサーチする。
14週 インクルーシブデザインワークショップ2 (秋田)・大塚
プロセスにおいて、ニーズの中から重要な課題を抽出し可視化を行う。ユーザーとの直接のやりとりや観察の中から得られた気づきを整理し、重要課題を見つけ出す。
社会課題を抽出・リサーチし可視化し、課題解決を行う。
15週 インクルーシブデザインワークショップ3 講評会  (秋田)・大塚
見つけ出された重要課題についての解決策をデザインする。最後にチーム単位でプレゼンテーションを行う。
重要課題について、インクルーシブデザインによる解決案のプレゼができる。
16週 期末試験実施せず

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度レポートその他合計
総合評価割合07000300100
基礎的能力0000000
専門的能力0000000
分野横断的能力0700030100