構造システムⅡ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 構造システムⅡ
科目番号 0034 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築・都市システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 配布資料、崎元達郎:構造力学 [第2版] 下 -不静定編ー(参考文献)、青木隆平、長嶋利夫:設計技術者が知っておくべき有限要素法の基本スキル、オーム社(参考文献)
担当教員 三好 崇夫

到達目標

構造物の設計、施工や維持管理における、構造解析の必要性について理解し、説明できる(評価項目(1))
種々の構造解析法の概要や特徴について理解し、説明できる(評価項目(2))
構造解析に用いられる有限要素の種類と特徴、その適用対象について理解し、説明できる(評価項目(3))
マトリクス構造解析法における剛性方程式について理解し、説明できる(評価項目(4))
1次元バネ要素の剛性方程式について理解し、説明できる(評価項目(5))
要素剛性方程式の重ね合わせによる構造全体系の剛性方程式の組み立てについて理解し、説明できる(評価項目(6))
2次元問題における剛性方程式の座標変換について理解し、説明できる(評価項目(7))
エネルギー原理に基づく2次元骨組要素の剛性方程式の誘導について理解し、説明できる(評価項目(8))
マトリクス変位法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる(評価項目(9))
要素分割、境界条件や荷重条件など、マトリクス変位法に基づく構造解析における実用上の留意点について理解し、説明できる(評価項目(10))

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1構造物の設計、施工や維持管理における力学上の問題点を見出し、構造解析の必要性について十分に理解し、説明できる構造物の設計、施工や維持管理における、提示された力学上の問題点を解決するため、構造解析の必要性について理解し、説明できる構造物の設計、施工や維持管理における、提示された力学上の問題点を解決するため、構造解析の必要性について理解し、説明できない
評価項目2種々の構造解析法の概要や特徴について十分に理解し、説明できる種々の構造解析法の概要や特徴について理解し、説明できる種々の構造解析法の概要や特徴について理解し、説明できない
評価項目3構造解析に用いられる有限要素の種類と特徴、その適用対象について十分に理解し、説明できる構造解析に用いられる有限要素の種類と特徴、その適用対象について理解し、説明できる構造解析に用いられる有限要素の種類と特徴、その適用対象について理解し、説明できない
評価項目4マトリクス構造解析法における剛性方程式について十分に理解し、説明できるマトリクス構造解析法における剛性方程式について理解し、説明できるマトリクス構造解析法における剛性方程式について理解し、説明できない
評価項目51次元バネ要素の剛性方程式について十分に理解し、説明できる1次元バネ要素の剛性方程式について理解し、説明できる1次元バネ要素の剛性方程式について理解し、説明できない
評価項目6要素剛性方程式の重ね合わせによる構造全体系の剛性方程式の組み立てについて十分に理解し、説明できる要素剛性方程式の重ね合わせによる構造全体系の剛性方程式の組み立てについて理解し、説明できる要素剛性方程式の重ね合わせによる構造全体系の剛性方程式の組み立てについて理解し、説明できない
評価項目72次元問題における剛性方程式の座標変換について十分に理解し、説明できる2次元問題における剛性方程式の座標変換について理解し、説明できる2次元問題における剛性方程式の座標変換について理解し、説明できない
評価項目8エネルギー原理に基づく2次元骨組要素の剛性方程式の誘導について十分に理解し、説明できるエネルギー原理に基づく2次元骨組要素の剛性方程式の誘導について理解し、説明できるエネルギー原理に基づく2次元骨組要素の剛性方程式の誘導について理解し、説明できない
評価項目9資料等を参照せずとも、マトリクス変位法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる資料等を参照しながら、マトリクス変位法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できるマトリクス変位法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できない
評価項目10要素分割、境界条件や荷重条件など、マトリクス変位法に基づく構造解析における実用上の留意点について十分に理解し、説明できる要素分割、境界条件や荷重条件など、マトリクス変位法に基づく構造解析における実用上の留意点について理解し、説明できる要素分割、境界条件や荷重条件など、マトリクス変位法に基づく構造解析における実用上の留意点について理解し、説明できない

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (F) 説明 閉じる
学習・教育目標 (H) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 有限要素法等の数値計算に基づく構造解析技術が、土木、建築分野における構造物の大型化、合理化、長寿命化等に資する技術開発に大きく貢献してきたことは疑う余地もない。現在、それらの構造解析技術は、土木、建築分野の構造物の設計、建設や維持管理において不可欠なものとなっている。構造解析技術自身も進化を続けており、ユーザーフレンドリーで、構造力学などの基礎知識がなくとも使用可能な多くの汎用構造解析ソフトウェアが開発されている。その一方で、入力データミスによる誤った計算結果が、設計や維持管理に使用される危険性もはらんでいる。
 本講義では、企業で鋼橋や鋼構造物の設計業務に従事していた教員が、その経験を活かし、土木、建築分野における構造解析で最も多用されている、バネ、トラス、はり要素を用いたマトリクス変位法による構造解析について、2次元問題に限定して、その基礎理論、計算方法、実用上の注意点について説明する。それにより、土木、建築技術者として、構造解析結果の妥当性が判断できる素養を習得する。
授業の進め方・方法:
 授業は講義形式で行い,各種要素の剛性方程式などの誘導過程、構造全体系の剛性方程式の組み立てなどは板書しながら説明する。剛性方程式の意義や、荷重条件や境界条件の重要性などについて理解を深めるため,授業中に簡単な構造物に対してマトリクス変位法による変形等の計算過程を具体的に解説するとともに、計算結果を別の構造解析法による結果と比較する。また、実践的に理解を深めさせるため、各種要素の剛性方程式を用いて、簡単な平面骨組構造物の変形や支点反力等に関するレポート課題を課す。
注意点:
 本科目は、授業で保証する学習時間と、予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が、90時間に相当する学習内容である。毎回の授業は、本科レベルの構造力学に関する基礎知識を有することを前提として進める。簡単な平面骨組構造物の変形や支点反力等に関するレポート課題では、10元程度の連立一次方程式を解く必要があるため、Microsoft EXCEL等の表計算ソフトを使用できることが望ましい。
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 構造物のライフタイムにおける構造解析(1) 構造物の設計、施工や維持管理の各段階で扱われる、あるいは生じうる力学上の問題点を理解できる。
2週 構造物のライフタイムにおける構造解析(2) 構造物の設計などの各段階で生じうる力学上の問題点を解決するための手段として、構造解析が必要であることが理解できる。
3週 構造物のライフタイムにおける構造解析(3) 種々の構造解析法の概要や特徴と、対象とする問題に対する適切な構造解析法について理解できる。
4週 有限要素法の概要(1) 有限要素法が登場した背景やその特徴について理解できる。
5週 有限要素法の概要(2) 各種有限要素の特徴、概要や適用事例について理解できる。
6週 マトリクス構造解析法(1) 線形性と重ね合わせの原理に基づいて構造物の剛性方程式が導けること、力のつり合い条件とHookeの法則を用いて1次元バネ要素やトラス要素の剛性方程式が導けることを理解できる。
7週 マトリクス構造解析法(2) 要素剛性方程式の重ね合わせとして構造全体系の剛性方程式が組み立てられることと、剛性マトリクスの特徴が理解できる
8週 マトリクス構造解析法(3) 2次元問題における剛性方程式の座標変換や座標変換マトリクスについて理解できる
2ndQ
9週 2次元トラス要素を用いた構造解析(1) 2次元トラス構造を対象に、トラス要素を用いた手計算による構造解析を実施し、剛性マトリクスの計算方法、座標変換、荷重条件、境界条件の設定について理解できる。
10週 2次元トラス要素を用いた構造解析(2) 2次元トラス構造を対象に、トラス要素を用いた手計算による構造解析を実施し、変位、断面力や支点反力の計算方法、ほかの構造解析法と同じ結果が得られることが理解できる。
11週 2次元骨組要素(1) 変位法に基づく有限要素法の概要、2次元骨組要素内の変位で表現したひずみエネルギー、変位関数について理解できる
12週 2次元骨組要素(2) Castiglianoの第1定理に基づく要素剛性方程式の誘導について理解できる
13週 2次元骨組要素を用いた構造解析(1) 2次元ラーメン構造を対象に、2次元骨組要素を用いた手計算による構造解析を実施し、剛性マトリクスの計算方法、座標変換、荷重条件、境界条件の設定について理解できる。
14週 2次元骨組要素を用いた構造解析(2) 2次元ラーメン構造を対象に、平面骨組要素を用いた手計算による構造解析を実施し、変位、断面力や支点反力の計算方法、ほかの構造解析法と同じ結果が得られることが理解できる。
15週 マトリクス構造解析法における留意点 2次元骨組構造を対象とした構造解析における、要素分割、境界条件や荷重条件など、実用上の留意点について理解できる
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート質疑応答や態度合計
総合評価割合504010100
基礎的能力0000
専門的能力504010100
分野横断的能力0000