構造システムⅡ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 構造システムⅡ
科目番号 4030 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築・都市システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 必要に応じてプリントを配布する.崎元達郎:構造力学 [第2版] 下 -不静定編-,森北出版(参考文献),青木隆平,長嶋利夫:設計技術者が知っておくべき有限要素法の基本スキル,オーム社(参考文献)
担当教員 加藤 久人

到達目標

構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について理解し,説明できる(評価項目(1))
構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について理解し,説明できる(評価項目(2))
マトリクス構造解析法における種々の剛性方程式について理解し,説明できる(評価項目(3))
マトリクス構造解析法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる(評価項目(4))
要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について理解し,説明できる(評価項目(5))

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について十分に理解し,説明できる構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について理解し,説明できる構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について理解し,説明できない
評価項目2構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について十分に理解し,説明できる構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について理解し,説明できる構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について十分に理解し,説明できない
評価項目3マトリクス構造解析法におけるの剛性方程式について十分に理解し,説明できるマトリクス構造解析法におけるの剛性方程式について理解し,説明できるマトリクス構造解析法におけるの剛性方程式について理解し,説明できない
評価項目4解析ソフトに対する演習から,計算例を見なくとも,マトリクス構造解析法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる解析ソフトに対する演習から,マトリクス構造解析法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる解析ソフトに対する演習から,マトリクス構造解析法の簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できない
評価項目5要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について十分に理解し,説明できる要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について理解し,説明できる要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について理解し,説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 有限要素法等の数値計算に基づく構造解析技術が,土木,建築分野における構造物の大型化,合理化,長寿命化等に資する技術開発に大きく貢献してきたことは疑う余地もない.現在,それらの構造解析技術は,土木,建築分野の構造物の設計,建設や維持管理において不可欠なものとなっている.構造解析技術自身も進化を続けており,ユーザーフレンドリーで,構造力学などの基礎知識がなくとも使用可能な多くの汎用構造解析ソフトウェアが開発されている.その一方で,入力データミスによる誤った計算結果が,設計や維持管理に使用される危険性もはらんでいる.マトリクス構造解析は,多くの構造物の新設や維持管理のための改修工事の設計に活用され,構造物の設計にかかわるコンサルタント,電算会社やメーカーの技術者から教育機関への教育要請は高い.
 本講義では,企業で鋼橋や鋼構造物の設計業務に従事していた教員が,その経験を活かし,土木,建築分野における構造解析で最も多用されている,バネ,トラス,はり要素を用いたマトリクス変位法による構造解析について,2次元問題に限定して,その基礎理論,計算方法,実用上の注意点について説明し,演習においては構造解析における計算ソフトの使い込みを目指す.それにより,土木,建築技術者として,構造解析結果の妥当性が判断できる素養を習得する.
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行い,各種要素の剛性方程式などの誘導過程,構造全体系の剛性方程式の組み立てなどは板書しながら説明する.剛性方程式の意義や,荷重条件や境界条件の重要性などについて理解を深めるため,授業中に簡単な構造物に対してマトリクス変位法による変形等の計算過程について,具体的に演習を通じて解説するとともに,計算結果を別の構造解析法による結果と比較する.また,実践的に理解を深めさせるため,各種要素の剛性方程式を用いて,簡単な平面骨組構造物の変形や支点反力等に関するレポート課題を課す.
非常勤講師の連絡員:都市システム工学科 三好
注意点:
授業で保証する学習時間と,予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.毎回の授業は,本科レベルの構造力学に関する基礎知識を有することを前提として進める.毎回,Microsoft Excelが利用できるノートパソコンを持参すること.
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 構造物と数値解析(1)
 構造物の計画,設計,建設や維持管理における,マトリクス法や有限要素法などの数値解析法の必要性について説明する.
構造物の計画,設計,建設や維持管理における,マトリクス法や有限要素法等の数値解析法の必要性が理解できる.
2週 構造物と数値解析(2)
 種々の構造解析法の概要や特徴と,対象とする問題に対する適切な構造解析法について説明する.
種々の構造解析法の概要や特徴と,対象とする問題に対する適切な構造解析法について理解できる.
3週 有限要素法の概要
 有限要素法や各種有限要素の特徴について説明する.
有限要素法や各種有限要素の特徴について理解できる.
4週 マトリクス構造解析法(1)
以下の行列演算についてExcelを使って復習を行う.
乗算,転置行列,逆行列,逆行列による連立方程式の解法
バネ要素における荷重と変位の関係をマトリクスで表す.
Excelを用いた行列演算が実施できる.
連立方程式を逆行列を使って解法できる.
バネ要素における荷重と変位の関係をマトリクスで表すことができる.
5週 マトリクス構造解析法(2)
3連バネを対象としたバネ構造のマトリクス法による解析を行う.
手計算の計算結果との一致を確認する.
マトリクス構造解析法のフロウを理解する.
境界条件の意味を理解する.
はりの微分方程式の誘導を行う.
静定はりについて荷重とたわみの関係を表す式を復習する.
3連バネを対象としたバネ構造のマトリクス法による解析を行える.
手計算の計算結果と一致することを確認できる.
マトリクス構造解析法のフロウを理解できる.
境界条件の意味を理解する.
はりの微分方程式の誘導を行える.
静定はりについて荷重とたわみの関係を表す式を誘導することができる.
6週 マトリクス構造解析法(3)
不静定はりの解析方法を復習する.
応力法と変位法の違いを復習する.
はり要素に対する剛性マトリクスを誘導する.
境界条件,荷重の与え方を理解する.
マトリクス法ではりを構造解析し,手計算の計算結果との一致を確認する.
バネ要素の剛性とはり要素の剛性の相似性を理解する.
不静定はりの解析を行うことができる.
応力法と変位法の違いが理解する.
はり要素に対する剛性マトリクスを誘導することができる.
境界条件,荷重を与えることができる.
マトリクス法ではりを構造解析し,手計算の計算結果との一致を確認する.
バネ要素の剛性とはり要素の剛性の相似性を理解する.
7週 マトリクス構造解析法(4)
2径間連続はりをマトリクス法で構造解析する.
たわみ図,断面力図を描く.
分布荷重の取り扱い方法を説明する.
2径間連続はりをマトリクス法で構造解析できる.
たわみ図,断面力図を描くことができる.
分布荷重の載荷方法を理解できる.
8週 中間試験
2ndQ
9週 骨組構造解析法(1)
2次元骨組構造をマトリクス法で構造解析する.
はり要素に軸力方向の自由度を付加して2次元骨組要素の要素剛性マトリクスを誘導する.
局所座標系と全体座標系の意味を理解する.
部材軸の回転に対応する座標回転マトリクスを誘導する.
2次元骨組要素の要素剛性マトリクスを誘導することができる.
局所座標系と全体座標系の意味を理解できる.
座標回転マトリクスを誘導できる.
10週 骨組構造解析法(2)
L形状の2次元骨組みをマトリクス法で構造解析する.
変位図,断面力図を描く.
手計算の計算結果との一致を確認する.
L形状の2次元骨組みをマトリクス法で構造解析できる.
変位図,断面力図を描くことができる.
手計算の計算結果との一致を確認できる.
11週 骨組構造解析法(3)
バネ要素,はり要素の剛性マトリクスを利用して温度変化に対する構造解析を行う.
バネ要素,はり要素の剛性マトリクスを利用して強制変位に対する構造解析を行う.
以上について手計算の計算結果との一致を確認する.
バネ要素,はり要素の剛性マトリクスを利用して温度変化に対する構造解析を行える.
バネ要素,はり要素の剛性マトリクスを利用して強制変位に対する構造解析を行える.
以上について手計算の計算結果との一致を確認できる.
12週 2次元骨組解析演習 (1)
提供される2次元骨組解析汎用ソフトを用い以下の演習を行う.
集中荷重が作用する2径間連続梁の構造解析を行う.
変位図,断面力図を描く.
手計算の計算結果との一致を確認する.
汎用ソフトを使いこなし集中荷重が作用する連続梁の構造解析が行える
変位図,断面力図を描くことができる.
手計算の計算結果との一致を確認できる.
13週 2次元骨組解析演習 (2)
提供される2次元骨組解析汎用ソフトを用い以下の演習を行う.
2径間連続梁の構造解析を行う.
たわみ,反力,曲げ,せん断力の影響線を描く.
影響線の橋梁設計における役割を理解する.
汎用ソフトを使いこなしたわみ,反力,曲げ,せん断力の影響線を描くことができる.
影響線の橋梁設計における役割を理解できる.
14週 2次元骨組解析演習 (3)
提供される2次元骨組解析汎用ソフトを用い以下の演習を行う.
集中荷重が作用する静定トラスの構造解析を行う.
手計算の計算結果との一致を確認する.
トラス断面内の軸力のバランスを確認する
汎用ソフトを使い集中荷重が作用する静定トラスの構造解析を行うことができる.
手計算の計算結果との一致を確認できる.
トラス断面内の軸力のバランスを確認できる.
15週 2次元骨組解析演習 (4)
提供される2次元骨組解析汎用ソフトを用い以下の演習を行う.
L形状の2次元骨組みの温度変化に対する構造解析を行う.
L形状の2次元骨組みの強制変位に対する構造解析を行う.
手計算の計算結果との一致を確認する.
汎用ソフトを使いL形状の2次元骨組みの温度変化,強制変位に対する構造解析を行ことができる.
手計算の計算結果との一致を確認できる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート質疑応答や態度合計
総合評価割合504010100
基礎的能力0000
専門的能力504010100
分野横断的能力0000