構造システムⅡ

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 構造システムⅡ
科目番号 5028 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築・都市システム工学専攻 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 崎元達郎:構造力学[第2版・新装版]下:不静定編,森北出版(教科書),必要に応じてプリントを配布する.青木隆平,長嶋利夫:設計技術者が知っておくべき有限要素法の基本スキル,オーム社(参考文献)
担当教員 三好 崇夫

到達目標

構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について理解し,説明できる(評価項目(1))
構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について理解し,説明できる(評価項目(2))
マトリクス構造解析法における種々の剛性方程式について理解し,説明できる(評価項目(3))
マトリクス構造解析法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる(評価項目(4))
要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について理解し,説明できる(評価項目(5))

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について十分に理解し,説明できる構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について理解し,説明できる構造物の設計,施工や維持管理における,構造解析の必要性について理解し,説明できない
評価項目2構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について十分に理解し,説明できる構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について理解し,説明できる構造解析に用いられる種々の数値解析法の概要や特徴について十分に理解し,説明できない
評価項目3マトリクス構造解析法におけるの剛性方程式について十分に理解し,説明できるマトリクス構造解析法におけるの剛性方程式について理解し,説明できるマトリクス構造解析法におけるの剛性方程式について理解し,説明できない
評価項目4解析ソフトに対する演習から,計算例を見なくとも,マトリクス構造解析法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる解析ソフトに対する演習から,マトリクス構造解析法を用いて簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できる解析ソフトに対する演習から,マトリクス構造解析法の簡単な平面骨組構造の変位や節点力が計算できない
評価項目5要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について十分に理解し,説明できる要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について理解し,説明できる要素分割,境界条件や荷重条件など,マトリクス構造解析法における実用上の留意点について理解し,説明できない

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
 有限要素法等の数値計算に基づく構造解析技術が,土木,建築分野における構造物の大型化,合理化,長寿命化等に資する技術開発に大きく貢献してきたことは疑う余地もない.現在,それらの構造解析技術は,土木,建築分野の構造物の設計,建設や維持管理において不可欠なものとなっている.構造解析技術自身も進化を続けており,ユーザーフレンドリーで,構造力学などの基礎知識がなくとも使用可能な多くの汎用構造解析ソフトウェアが開発されている.その一方で,入力データミスによる誤った計算結果が,設計や維持管理に使用される危険性もはらんでいる.マトリクス構造解析は,多くの構造物の新設や維持管理のための改修工事の設計に活用され,構造物の設計にかかわるコンサルタント,電算会社やメーカーの技術者から教育機関への教育要請は高い.
 本講義では,企業で鋼橋や鋼構造物の設計業務に従事していた教員が,その経験を活かし,土木,建築分野における構造解析で最も多用されている,バネ,トラス,はり要素を用いたマトリクス変位法による構造解析について,2次元問題に限定して,その基礎理論,計算方法,実用上の注意点について説明し,演習においては構造解析における計算ソフトの使い込みを目指す.それにより,土木,建築技術者として,構造解析結果の妥当性が判断できる素養を習得する.
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行い,各種要素の剛性方程式などの誘導過程,構造全体系の剛性方程式の組み立てなどは板書しながら説明する.剛性方程式の意義や,荷重条件や境界条件の重要性などについて理解を深めるため,授業中に簡単な構造物に対してマトリクス変位法による変形等の計算過程について,具体的に演習を通じて解説するとともに,計算結果を別の構造解析法による結果と比較する.また,実践的に理解を深めさせるため,各種要素の剛性方程式を用いて,簡単な平面骨組構造物の変形や支点反力等に関するレポート課題を課す.
注意点:
本科目は,授業で保証する学習時間と,予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.毎回の授業は,本科レベルの構造力学に関する基礎知識を有することを前提として進める.簡単な平面骨組構造物の構造解析では,Visual Basicで作成されたプログラムを使用するため,Microsoft EXCELが使用できることが望ましい.
評価の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 構造物と数値解析(1)
 構造物の計画,設計,建設や維持管理における,マトリクス法や有限要素法などの数値解析法の必要性について説明する.
構造物の計画,設計,建設や維持管理における,マトリクス法や有限要素法等の数値解析法の必要性が理解できる.
2週 構造物と数値解析(2)
 種々の構造解析法の概要や特徴と,対象とする問題に対する適切な構造解析法について説明する.
種々の構造解析法の概要や特徴と,対象とする問題に対する適切な構造解析法について理解できる.
3週 有限要素法の概要
 有限要素法や各種有限要素の特徴について説明する.
有限要素法や各種有限要素の特徴について理解できる.
4週 マトリクス構造解析法(1)
線形性と重ね合わせの原理に基づいて,一般的な構造物の剛性方程式を導けることを説明する.
線形性と重ね合わせの原理に基づいて,一般的な構造物の剛性方程式が導けることが理解できる.
5週 マトリクス構造解析法(2)
力のつり合い条件とHookeの法則を用いて1次元バネ要素やトラス要素の剛性方程式が導けることを説明する.
力のつり合い条件とHookeの法則を用いて1次元バネ要素やトラス要素の剛性方程式が導けることが理解できる.
6週 マトリクス構造解析法(3)
要素剛性方程式を重ね合わせて,構造全体系の剛性方程式が組み立てられること,剛性マトリクスの特徴について説明する.
力のつり合い条件とHookeの法則を用いて1次元バネ要素やトラス要素の剛性方程式が導けることが理解できる.
7週 マトリクス構造解析法(4)
1次元バネ要素用いた簡単な構造解析例,直接法による2次元バネ要素の要素剛性方程式の誘導について説明する.
マトリクス構造解析法を用いて,簡単な1次元バネ構造が解析できる.直接法による2次元バネ要素の要素剛性方程式の誘導について理解できる.
8週 2次元トラス要素 (1)
2次元トラス要素の要素剛性方程式を導くため,トラス要素とバネ要素との関係と1次元バネ要素の拡張について説明する.また,2次元問題における変位や力の座標変換と座標変換マトリクスについて説明する.
2次元トラス要素の要素剛性方程式を導くため,トラス要素とバネ要素との関係と1次元バネ要素の拡張について理解できる.また,2次元問題における変位や力の座標変換と座標変換マトリクスについて理解できる.
2ndQ
9週 2次元トラス要素 (2)
拡張された1次元バネ要素に座標変換を施すことによって,2次元トラス要素の要素剛性方程式が導かれることを説明する.
拡張された1次元バネ要素に座標変換を施すことによって,2次元トラス要素の要素剛性方程式が導かれることが理解できる.
10週 2次元トラス要素 (3)
2次元トラス要素の剛性方程式を用いて簡単な構造物を解き,その結果を応力法による計算結果と比較することによって,同じ結果が得られることを示す.また,マトリクス構造解析における一般的な計算の流れについて説明する.
2次元トラス要素の剛性方程式を用いて,簡単な構造物を解き,その結果を応力法による計算結果と比較することができる.また,いずれの解析法を用いても,同じ結果が得られることが理解できる.さらに,マトリクス構造解析における一般的な計算の流れについて理解できる.
11週 2次元骨組要素 (1)
2次元骨組(ビーム)要素の要素剛性方程式を導くため,ひずみエネルギーと変位関数について説明する.
2次元骨組(ビーム)要素の,ひずみエネルギーと変位関数について理解できる.
12週 2次元骨組要素 (2)
Castiglianoの第1定理を用いて,ひずみエネルギーから2次元骨組(ビーム)要素の要素剛性方程式が導かれることを説明する.また,座標変換マトリクスを拡張し,任意方向を向く2次元骨組要素の剛性方程式が導かれることを説明する.
Castiglianoの第1定理を用いて,ひずみエネルギーから2次元骨組(ビーム)要素の要素剛性方程式が導かれることができる.また,座標変換マトリクスを拡張し,任意方向を向く2次元骨組要素の剛性方程式が導かれることが理解できる.
13週 2次元骨組要素 (3)
構造解析の手順について理解を深めるため,2次元骨組要素の剛性方程式を用いて簡単な構造物を解く.
2次元骨組要素の剛性方程式を用いて簡単な構造物を解くことができる.それによって,構造解析の手順について理解できる.
14週 2次元骨組要素 (4)
2次元骨組要素の剛性方程式を用いて解いたのと同じ簡単な構造物について応力法によって計算し,マトリクス構造解析と同じ計算結果が得られることを説明する.
2次元骨組要素の剛性方程式を用いて解いたのと同じ簡単な構造物について応力法による計算ができる.また,マトリクス構造解析と同じ計算結果が得られることが理解できる.
15週 マトリクス構造解析法における留意点
2次元骨組構造の構造解析における,要素分割,境界条件や荷重条件など,実用上の留意点について説明できる.
2次元骨組構造の構造解析における,要素分割,境界条件や荷重条件など,実用上の留意点について理解できる.
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験レポート質疑応答や態度合計
総合評価割合504010100
基礎的能力0000
専門的能力504010100
分野横断的能力0000