地球物理

科目基礎情報

学校 明石工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 地球物理
科目番号 0006 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 建築・都市システム工学専攻 対象学年 専1
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は,使用しない.必要に応じて,プリント資料を配布する.
担当教員 横山 昌彦

到達目標

(1)固体地球に関する物理学的性質(重力・地震波・地磁気・熱流量など)の観測手法や観測結果の特徴を学び,その意味を理解する.また,観測機器の基礎的な原理も理解する.(D)
(2)(1)のような観測を用いることにより,地球内部構造・地球表層現象・地球の歴史などが,どのように解釈されているのかを学ぶ.これにより,固体地球のシステムを,総合的に理解する.(D)
(3)プレートテクトニクスの概念,及びプレートテクトニクスと地球表層での変動現象や地形との関係を,理解する.これにより,地球環境や地震・火山噴火といった災害を考える上での,基礎的な知識を修得する.(A)
目標を達成するために力学・電気磁気学の基本定理を自己学習することが必要である.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1観測結果から物体の持つ物性を推定する仕組みを十分に理解できる。観測結果から物体の持つ物性を推定する仕組みが理解できる。観測結果から物体の持つ物性を推定する仕組みが理解できない。
評価項目2現代の地球に対する理解がどの様な観測事実に基づいた推定であるかを十分に理解できる。現代の地球に対する理解がどの様な観測事実に基づいた推定であるかが理解できる。現代の地球に対する理解がどの様な観測事実に基づいた推定であるかが理解できない。
評価項目3地震や火山噴火などの自然現象をプレート・テクトニクスと言う概念を通して十分に理解できる。地震や火山噴火などの自然現象をプレート・テクトニクスと言う概念を通して理解できる。地震や火山噴火などの自然現象をプレート・テクトニクスと言う概念を通して理解できない。

学科の到達目標項目との関係

学習・教育目標 (A) 説明 閉じる
学習・教育目標 (D) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
地球(主として固体地球)の構造及び性質が現在どのように理解されているのかを,講義する.地球物理学は重力,熱などの物理量を用いて定量的に捉える事が目的である為,地球を構成する物質の物性の理解を主な目的とし,各物理量の基礎的性質や観測手法についての説明も併せて行う.また,観測機器に利用されている物理法則や基本的な構造についての解説も行う.
この科目は台湾の中央研究院に於いて深海底堆積物の掘削コアに対する磁気的特性の調査をしている教員が,その経験を活かし授業を行うものである.
授業の進め方・方法:
講義による。
本科目の連絡員は武内が担当する。
注意点:
本科目は,授業で保証する学習時間と,予習・復習及び課題レポート作成に必要な標準的な自己学習時間の総計が,90時間に相当する学習内容である.授業の計画は,変更する場合がある.授業内容は,毎回の一話完結的なものではなく,連続性をもったものである.
合格の対象としない欠席条件(割合) 1/3以上の欠課

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス・地球の形と大きさ (1)
ガイダンスとして,講義の方針や概要について説明する.
古代における地球の形と大きさの認識を紹介する.
「地球物理学」という学問分野の果たす役割と、物理学の発展が地球内部構造の理解に果たす役割を理解する。
2週 地球の形と大きさ (2)
現在認識されている地球の形(地球楕円体・ジオイド)の定義を説明する.また測位の基本についても述べる.
幾何学を用いた測位法の基礎を理解する。
3週 重力
重力とは何かを説明し,それを利用して得られた地球の質量・密度を示す.また,重力異常の意味について,解説する.
地球に働く重力に関する法則と重力の観測値から地球内部構造を推定する方法を理解する。
4週 アイソスタシー
アイソスタシーについて,その概念や重力との関係を解説する.また,アイソスタシーによって起こる地殻変動現象の例を紹介する.
アイソスタシーと言う概念とそれに繋がる地球の重力の持つ特徴について理解する。
5週 地震波
地震波の性質を説明する.また,地震波による地下構造の探査法について,説明する.
地震波の持つ特徴とそれを利用した地震に関する情報の推定法を理解する。
6週 地球内部構造 (1)
地震波の解析を中心に推定されている,地球内部の大構造を紹介する.
屈折地震探査法の原理とそれを利用した地球内部構造の推定法を理解する。
7週 地球内部構造 (2)
地震波の解析を中心に推定されている,地球表層部の地下構造を紹介する.
反射地震探査法の原理とそれを利用した地下浅部の構造の推定法を理解する。
8週 地球の熱
地球内部の熱源は何であるのかを解説する.また,地球表層での熱量分布を示す.
物理学に於ける熱の持つ意味と地表での熱量分布から推定できる地球内部の状態について理解する。
4thQ
9週 地磁気
地球表面での磁場分布を示し,地磁気の成因について説明する.また,磁気異常について説明する.
「磁気とは何」を理解する事で、地磁気の成因について理解する。
10週 岩石磁化と古地磁気
岩石磁化の獲得メカニズムを解説し,それによって調べられた過去の地磁気の変動について紹介する.
過去の地磁気の情報が岩石中に記録される仕組みについて理解する。
11週 大陸の移動
古典的なウエゲナの大陸移動説を紹介する.さらに,大陸移動説復活のきっかけとなった,古地磁気を用いた大陸位置の復元について解説する.
「大陸移動説」の元となった情報とその解釈更に現在の観測データを利用した大陸移動の推定法を理解する。
12週 海洋底の拡大
海洋底の地形や地下構造,海洋地域における磁気異常の分布と,海洋底拡大説の関係について述べる.
地磁気の記録と大陸の移動を関連付ける仮説について理解する。
13週 プレートテクトニクス (1)
プレートテクトニクスの基礎として,プレートの概念,プレートの動きとプレート境界の形態について解説する.
プレートテクトニクスと言う概念の持つ本来の意味と大陸移動説の違いについて理解する。
14週 プレートテクトニクス (2)
地球表層での変動現象(地震・火山活動・造山運動など)について,プレートテクトニクスを用いて解説する.
地震や火山活動等の自然現象がプレートの運動でどの様に説明できるか理解する。
15週 プレートテクトニクス (3)
ホットスポットの性質について紹介し,プレートの相対運動と絶対運動の違いを説明する.また,プレート運動の原動力について述べる.
プレートの運動が地球全体の機構の中でどの様に機能しているか理解する。
16週 期末試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

演習課題筆記試験合計
総合評価割合3070100
基礎的能力3070100
専門的能力000
分野横断的能力000