機械工作実習Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 機械工作実習Ⅰ
科目番号 0018 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実習 単位の種別と単位数 履修単位: 3
開設学科 機械工学科 対象学年 1
開設期 通年 週時間数 3
教科書/教材 最新 機械製作:著者械製作法研究会編(養賢堂)/配布プリント
担当教員 平 俊男

到達目標

1. 各種工作機械および測定の実技、原理を習得し、日常生活における使用している工業製品の加工方法を各自で考えることができるようになる。
2. 習得した加工法、測定法の作業手順等を、他者に適切に伝わるような報告書としてまとめられるようになる。
3. 報告書を決められた様式で書き、期限までに提出できるようになる。
4. 自己と他者の安全に配慮できるようになる。また、習得した安全作業を日常生活に応用できるようになり、危険な作業を具体的に指摘できるようになる。
なお、到達目標3が達成できない場合は、他の目標が達成されていても本科目の習得とはしない。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1各種工作機械および測定の実技、原理を習得するしたうえで、日常生活における使用している工業製品の加工方法を考えることができる。各種工作機械および測定の実技、原理を習得する。各種工作機械および測定の実技、原理が習得できない。
評価項目2習得した加工法、測定法の作業手順等を、他者に適切に伝わるような報告書としてまとめられる。習得した加工法、測定法の作業手順等を、報告書としてまとめられる。習得した加工法、測定法の作業手順等を、報告書としてまとめられない。
評価項目3報告書を決められた様式で書き、期限までに提出できる。報告書を期限までに提出できる。報告書を期限までに提出できない。
評価項目4自己と他者の安全を配慮できる。また、習得した安全作業を日常生活に応用し、危険な作業を具体的に指摘できるようになる。自己と他者の安全に配慮できる。自己と他者の安全に配慮できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
各種の実習を通じて、いろいろな工作法および測定の基本を習得する。また、労働災害につながる危険性をこの実習を通じて理解し、安全面に配慮できる能力を身につける。
授業の進め方・方法:
安全作業に関するガイダンスを行い、合計7つのテーマの実習実技を班単位のローテーションによって習得する。評価のポイントは実技の上手さではなく、作業全体を振返った報告書にある。
注意点:
関連科目:
 機械工学入門、機械設計製図Iをはじめ、機械工作法I、IIなど多教の科目に関連する。
学習指針:
 安全に作業を行うために、ガイダンスで配布したプリント、作業ごとに配布されるプリントを、予め熟読し、実習に臨むこと。
 テーマごとに課される報告書を全て確実に提出すること。

※授業計画に記載された作業テーマは各班5週ごとのローテーションとなるため、進行はこの順番通りにはならない。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス1 技術者教育における実技の必要性と、機械工作実習の意義を理解する。作業中の危険について理解し、安全第一の考え方を身につける。
2週 ガイダンス2 実習工場を見学し、工作機械の名称等を覚える。
報告書の意義を理解し、様式を理解する。
ノギスによる測定法を習得する。
3週 ガイダンス3 実習作業に必要となる簡単な読図ができるようになる。
4週 鋳造作業1 木型製作の基礎と鋳造作業の基本を理解する。
5週 鋳造作業2 基本の鋳造作業(ブラケット等)を習得する。
6週 鋳造作業3 応用の鋳造作業(アンビル等)を習得する。
7週 鋳造作業4 アルミニウム合金の鋳込み作業(レベリングブロック)を習得する。
8週 鋳造作業5 鋳物砂試験(通気度,圧縮・せん断)の手順を習得する。
習得した鋳造作業について報告書を作成できる。
2ndQ
9週 旋盤作業1 安全に旋盤を扱うための基本動作を習得する。
ノギスによる測定方法,端面削りを習得する。
10週 旋盤作業2 外周削り、溝入れを習得する。
11週 旋盤作業3 穴あけ、中ぐり作業と治具の取扱いを習得する。
12週 旋盤作業4 穴あけ、中ぐり作業と治具の取扱いを習得する。
13週 旋盤作業5 ホブ盤による歯切り作業を習得する。
習得した旋盤作業について報告書を作成できる。
14週 手仕上げ1 センターポンチの製作。
やすりによる端面仕上げと、罫書きを習得する。
15週 手仕上げ2 ポンチ先端部の四角錐から円錐への仕上げを習得する。
16週 手仕上げ3 やすりによる八角柱の仕上げを習得する。
後期
3rdQ
1週 手仕上げ4 中目、細目、油目やすりによる仕上げとポンチ後端部の半球状の形状への仕上げを習得する。
2週 手仕上げ5 ポンチ先端部の仕上げと焼入れを習得する。
習得した手仕上げ作業について報告書を作成できる。
3週 中間まとめ 実習前半を振返り、より安全に作業を進められるようになる。
4週 フライス盤作業1 安全にフライス盤を扱うための基本動作を習得する。
立フライスを用いた基本作業として平面切削を習得する。
5週 フライス盤作業2 横フライスを用いた基本作業として平面切削を習得する。
6週 フライス盤作業3 立・横フライスを用いた基本作業として溝・側面切削を習得する。
習得したフライス盤作業について報告書を作成できる。
7週 マシニングセンター1 数値制御工作機械の概念を理解し、簡単なプログラミングを習得する。
8週 マシニングセンター2 プログラミングを習得する。
習得したマシニングセンターの扱い方、プログラミングについて報告書を作成できる。
4thQ
9週 溶接作業1 安全に溶接を行うための基本動作を習得する。
安定したビードを作れるようになる。
10週 溶接作業2 溶接によって、実際に製品を作れるようになる。
11週 溶接作業3 帯板引張試験片を製作できるようになる。
習得した溶接作業について報告書を作成できる。
12週 測定作業1 ダイヤルゲージの精度検査の手順を習得する。
13週 測定作業2 レーザ変位センサの使い方を習得する。
習得した測定作業について報告書を作成できる。
14週 まとめ1 習得した加工法、測定法を的確に説明できるようになる。
15週 まとめ2 実習中に遭遇したヒヤリハット事例を分析できるようになる。
16週 まとめ3 1年間の間に身についた安全意識を発揮して、日常生活の危険性を指摘できるようになる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。3
鋳物の欠陥について説明できる。3
溶接法を分類できる。3
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。3
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。3
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。3
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。3
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。2
分野別の工学実験・実習能力機械系分野【実験・実習能力】機械系【実験実習】実験・実習の目標と心構えを理解し、実践できる。4
災害防止と安全確保のためにすべきことを理解し、実践できる。4
レポートの作成の仕方を理解し、実践できる。4
ノギスの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。3
マイクロメータの各部の名称、構造、目盛りの読み方、使い方を理解し、計測できる。3
ダイヤルゲージ、ハイトゲージ、デプスゲージなどの使い方を理解し、計測できる。3
けがき工具を用いてけがき線をかくことができる。3
やすりを用いて平面仕上げができる。3
アーク溶接の原理を理解し、アーク溶接機、アーク溶接器具、アーク溶接棒の扱い方を理解し、実践できる。3
アーク溶接の基本作業ができる。3
旋盤主要部の構造と機能を説明できる。3
旋盤の基本操作を習得し、外丸削り、端面削り、段付削り、ねじ切り、テ―パ削り、穴あけ、中ぐりなどの作業ができる。3
フライス盤主要部の構造と機能を説明できる。3
フライス盤の基本操作を習得し、平面削りや側面削りなどの作業ができる。3
NC工作機械の特徴と種類、制御の原理、NCの方式、プログラミングの流れを説明できる。3
少なくとも一つのNC工作機械について、各部の名称と機能、作業の基本的な流れと操作を理解し、プログラミングと基本作業ができる。3

評価割合

各作業の実習報告書の完成度実習で作成するものの完成度安全面への配慮合計
総合評価割合801010100
基礎的能力405550
専門的能力405550
分野横断的能力0000