機械工作法Ⅰ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 機械工作法Ⅰ
科目番号 0032 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 機械系教科書シリ-ズ3 機械工作法」,出版社コロナ社,著者平井・和田・塚本共著
担当教員 廣 和樹

到達目標

1.鋳造
鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。
精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物の作り方を説明できる。
鋳物の欠陥とその検査方法を説明できる。
2.溶接
溶接法を分類できる。
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。
3.塑性加工 塑性加工法の種類を説明できる。
鍛造とその特徴を説明できる。
プレス加工とその特徴を説明できる。
転造、押出し、圧延、引抜きなどの加工法を説明できる。
4.切削加工
切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。
切削工具材料の条件と種類を説明できる。
切削速度、送り、切込みなどの切削条件を選定できる。
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。

5.研削加工
研削加工の原理、円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。
砥石の三要素、構成、選定、修正のしかたを説明できる。

6.精密加工と特殊加工
ホーニング、超仕上げ、ラッピングなどの研削加工を説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
鋳造鋳造: 1.  鋳造法(工程,模型,鋳型,溶解など)の概要と重要ポイントを説明できる. 2.  特殊鋳造法(精密鋳造法,ダイカスト法,連続鋳造など)の概要と重要ポイントを説明できる. 3.  鋳造欠陥,検査方法,製品設計および種々の金属の鋳造等の概要と重要ポイントを説明できる.理想的な到達レベルの目安 (優)の内, いずれか2項目について 説明できる.理想的な到達レベルの目安(優)の内, いずれか1項目以下について 説明できる.
塑性加工塑性加工: 1.  塑性加工の種類と概要を説明できる. 2.  鍛造,圧延,引抜き加工の原理や特徴を説明できる. 3.  せん断,曲げ,絞り加工やその他板材成形加工の原理や特徴を説明できる.理想的な到達レベルの目安 (優)の内, いずれか3項目について 説明できる.理想的な到達レベルの目安 (優)の内, いずれか2項目以下について 説明できる.
溶接溶接: 1.  アークおよびガス溶接(原理,構成,種類など)の概要と重要ポイントを説明できる. 2.  各種溶接法の概要と溶接部の組織や欠陥を説明できる.理想的な到達レベルの目安 (優)の内, いずれか3項目について 説明できる.理想的な到達レベルの目安 (優)の内, いずれか2項目以下について 説明できる.
切削加工切削加工: 1. 切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。 2. バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。 3. フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。 4. ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。 5. 切削工具材料の条件と種類を説明できる。 6. 切削速度、送り、切込みなどの切削条件を選定できる。 7. 切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。 理想的な到達レベルの目安 (優)の内、 いずれか5項目について 説明できる。 理想的な到達レベルの目安 (優)の内、 いずれか4項目以下について 説明できる。
研削加工研削加工: 1. 研削加工の原理、円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。 2. 砥石の三要素、構成、選定、修正のしかたを説明できる。 理想的な到達レベルの目安 (優)の内、 いずれか1項目について 説明できる。 理想的な到達レベルの目安 (優)の内、 いずれか1項目以下について 説明できる。
精密加工と特殊加工精密加工と特殊加工: 1. ホーニング、超仕上げ、ラッピングなどの研削加工を説明できる。 理想的な到達レベルの目安 (優)の項目について説明できる。 理想的な到達レベルの目安 (優)の項目について 説明できない。

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
各種工作法の原理および基礎知識を理解し,構造物の設計・製作において合理的かつ信頼性のある加工法を選択する能力を養う.加工法の原理を説明するとともに加工機械,最適な加工条件および加工中に生じる現象などについて解説する.各種工作法及び工作機械の基礎理論を理解し、工作物に対する最適の合理的工作法の選択能力及び研究能力を習得し、設計のための基礎的知識を養うことにある。
授業の進め方・方法:
座学による講義が中心である.講義項目ごとに演習問題に取り組み,各自の理解度を確認する.また,定期試験返却時に解説を行い,理解が不十分な点を解消する.
注意点:
関連科目
第1,2学年 機械工作実習Ⅰ,Ⅱとの関連も深い.
学習指針
各自の様々な経験や身近な体験を通じて説明できるまで理解することが重要である。
事前学習と事後展開学習
事前学習・・・あらかじめ講義内容に該当する部分の教科書を読み、理解できるところ、理解できないところを明らか
にしておく。
事後展開学習・・・適宜課題を出すので、自分で解き、知識の定着を図るとともに定期試験に備えておく。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 機械工作法とは
鋳造1
機械工作における変形、除去、付着加工について説明することができる。
鋳造について概観し、模型製作時の注意点などについて説明することができる。
2週 鋳造2
塑性加工とは
鋳型の種類と用途、欠陥の原因などについて説明できる。
塑性加工の概要、種類などについて説明することができる。
3週 鍛造 鍛造の原理や特徴などを説明できる。
各種鍛造機械などについて説明できる。
4週 圧延加工
圧延加工の原理や特徴などを説明できる。
各種圧延加工様式について説明できる。
5週 引抜き加工と押出し加工 引抜き加工と押出し加工について説明できる。
6週 溶接1 溶接について原理や特徴を説明できる。
7週 前期中間試験
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
8週 試験返却・解答
溶接2
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
各種溶接法について説明することができる。
2ndQ
9週 切削1 切削の概要、2次元切削模型などについて説明できる。
10週 切削2 切削抵抗について説明できる。すくい面に直角な力N、平行な力F、すくい面と切りくずの摩擦係数μ(ミュー)、摩擦角β、せん断面上における垂直力Fn、せん断力Fs、せん断面上における平均垂直応力σs、平均せん断応力τsについて計算することができる。
11週 切削3 引き続き、切削抵抗について説明できる。
12週 工具材料 工具材料について説明できる。切削温度について説明できる。炭素工具鋼、高速度鋼、超硬合金、サーメット、セラミックス、立方晶窒化ほう素、ダイヤモンド、コーテッド工具について説明することができる。
13週 工具の損傷と寿命 工具の損傷と寿命について説明できる。
14週 まとめ
切削抵抗に関する演習を行い、学習した内容について説明できる。
15週 前期末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
後期
3rdQ
1週 表面粗さⅠ(p.87-) 送り方向と切削方向の仕上げ面粗さの違い、理論仕上げ面粗さの求め方について説明することができる。
2週 面粗さⅡ(作図)
(プリント)
作図ならびに理論計算から、最大高さを求める方法について説明することができる。(A3グラフ用紙2枚と、製図用具持参)
3週 表面粗さⅢ(演習) 第1,2週で行ってきた授業の演習
4週 フライス盤Ⅰ(p.98-) フライス削りのモデルについて説明する。上向き削りと下向き削りの書き方(p.118 図6.1(b))、上向き削りと下向き削りの拡大図の書き方について説明することができる。(コンパス持参)
5週 フライス盤Ⅱ 上向き削りと下向き削りの特徴について説明することができる。切削厚さの変化、切削力の方向、バックラッシュとその除去装置、切りくずのたまる場所について説明することができる。
6週 ボール盤およびその他の工作機械(p.96-) ドリルの描き方、各部の名称を説明することができる。シンニングの効果、ドリルのすくい角と逃げ角、先端角、ねじれ角、バックテーパ、ドリルの材質について説明することができる。また、平削り盤、形削り盤、ブロ-チ盤、ホブ盤についても説明することができる。
7週 後期中間試験
試験返却・解答
研削加工(p.122-)
授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.
砥石車について、砥石の3要素と5因子
8週 平面研削とフライス削りの相違(p.117-) 平面研削とフライス削りの相違について説明することができる。
4thQ
9週 砥石の研削状態(p.125-) 自生作用について説明することができる。(p.119 図6.2)、砥石の研削状態について説明することができる。(p.125~)
10週 精密加工および特殊加工Ⅰ ホーニング、超仕上げ、ラッピングについて、加工の方法、特徴(長所、短所)、どの様な部品の加工に使用されているかについて説明することができる。
11週 精密加工および特殊加工Ⅱ 超音波加工(p.145-)、放電加工(p.148-)、電解研磨(p.153-)、電解加工(p.153-)について説明することができる。
12週 精密加工および特殊加工Ⅲ 電解研削、その他の精密加工および特殊加工について説明することができる。
13週 プラスチック成型加工Ⅰ 各種プラスチック成型加工法について説明することができる。
14週 プラスチック成型加工Ⅱ 身近なプラスチック成型品を挙げ、その製造工程などについて説明することができる。
15週 学年末試験 授業内容を理解し,試験問題に対して正しく解答することができる.
16週 試験返却・解答 試験問題を見直し,理解が不十分な点を解消する.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野工作鋳物の作り方、鋳型の要件、構造および種類を説明できる。4
精密鋳造法、ダイカスト法およびその他の鋳造法における鋳物の作り方を説明できる。4
鋳物の欠陥について説明できる。4
溶接法を分類できる。4
ガス溶接の接合方法とその特徴、ガスとガス溶接装置、ガス溶接棒とフラックスを説明できる。4
アーク溶接の接合方法とその特徴、アーク溶接の種類、アーク溶接棒を説明できる。4
サブマージアーク溶接、イナートガスアーク溶接、炭酸ガスアーク溶接で用いられる装置と溶接のしくみを説明できる。4
塑性加工の各加工法の特徴を説明できる。4
降伏、加工硬化、降伏条件式、相当応力、及び体積一定則の塑性力学の基本概念が説明できる。4
平行平板の平面ひずみ圧縮を初等解析法により解くことができる。4
軸対称の圧縮を初等解析法により解くことができる。4
切削加工の原理、切削工具、工作機械の運動を説明できる。4
バイトの種類と各部の名称、旋盤の種類と構造を説明できる。4
フライスの種類と各部の名称、フライス盤の種類と構造を説明できる。4
ドリルの種類と各部の名称、ボール盤の種類と構造を説明できる。4
切削工具材料の条件と種類を説明できる。4
切削速度、送り量、切込みなどの切削条件を選定できる。4
切削のしくみと切りくずの形態、切削による熱の発生、構成刃先を説明できる。4
研削加工の原理、円筒研削と平面研削の研削方式を説明できる。4
砥石の三要素、構成、選定、修正のしかたを説明できる。4
ホーニング、超仕上げ、ラッピングなどの研削加工を説明できる。4

評価割合

試験課題(遠隔授業における小テスト)ノート態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合451540000100
基礎的能力451540000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000