応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 0036 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 ビジュアルアプローチ力学(森北出版)
担当教員 稲田 直久

到達目標

1. 運動量と力積の一般的な関係の導出および運動量保存則の物理的な理解ができ、それらを用いた応用問題が解けるようになること。質量が変化する運動の問題が解けるようになること。
2. 広義のエネルギー保存則を導出し、仕事の計算ができるようになること。力学的エネルギー保存則の物理的意味を理解し、その応用問題が解けるようになること。
3. 慣性力および極座標を理解できること。また、角運動量とトルクの概念を理解し、質点系の運動について理解できるようになること。惑星の運動について説明できること。
4. 剛体の概念を理解し、慣性モーメントの計算および剛体の運動に関する具体的な問題が解けるようになること。流体と波動の基本概念を理解し、現代物理の考え方に慣れること。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1
評価項目2
評価項目3

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-1) 説明 閉じる
JABEE基準 (d-2a) 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 B-2 説明 閉じる
システム創成工学教育プログラム学習・教育目標 D-1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
4年次は、3年次までに学習したことをより一層発展させ、5年次になって本格的な研究を行うための準備期間として重要な時期である。そのような時期にあたっては、専門科目の基礎となる物理の基本法則をより高度な数学的知識(特に微分や積分)を用いて学ぶことが不可欠であり、また、そのような学習を通して自分自身の理解力や洞察力を高めることは、「技術者が責任ある行動や決断を行う」ことの基礎の構築へと繋がっていく。以上をふまえ、本講義では、物理学の①数理的理解(数式、特に微分積分を用いて基本法則を理解すること)、および②系統的理解(物理学的理解が自然界のいろいろな現象を統一的に説明すること)を得ることを目標とする。
授業の進め方・方法:
4年次の応用物理では、力学(座標変換、運動量/エネルギー保存則、質点系/剛体の力学)、流体力学あるいは波動現象、現代物理学の講義を行い、それぞれの内容を共通に貫く数理的理解、ならびに物理概念の系統的理解を念頭においた講義を行う予定である。なお、理解をより深めるために授業中にこちらから質問を投げることがあるので、それらに答えられるよう、理解が不十分な点を早めに解消しておくようにして欲しい。また、物理の基本法則を学ぶ上では“演習”や“実験”をすることも重要であり、必要に応じてそれらを講義に組み入れていくことを予定している。
注意点:
関連科目 3年次までに履修する物理学、数学、および応用数学。
学習指針 本講義は3年次までの物理学、および数学(応用数学)の基本知識を必要としているので注意すること。また、授業時に総合的な演習を3回行い、かつ長期休業中の課題を予定しているのでそれらのレポートをきちんと提出すること。講義内容は予定であり、学生の理解度を考慮して多少の変更があることに注意して頂きたい。
自己学習 復習の意味も含め、教科書の例題や演習問題を授業の進度に合わせて自分で解き進めておくこと。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 導入 講義の方針や授業方法、成績評価について理解する。
2週 物理数学① 三角関数等、応用物理Ⅱに必要な数学の計算ができる。
3週 物理数学② ベクトル解析等、応用物理Ⅱに必要な数学の計算ができる。
4週 運動量 運動量の変化と力積の一般的な関係式を導出できる。
5週 質量が変化する運動 質量が変化する物体の運動に関する問題が解ける。
6週 運動量の保存則 運動量の保存則とその成立条件を理解する。
7週 演習① 運動量、運動量保存則に関する演習を解くことができる。
8週 前期中間試験・返却 総合的な問題が解け、理解が不十分な点を解消する。
2ndQ
9週 運動エネルギー 運動方程式から広義のエネルギー保存則を導出できる。
10週 仕事 一般的な仕事の定義を理解し、その計算ができる。
11週 力学的エネルギー保存則 力学的エネルギー保存則が成り立つ条件が理解できる。
12週 保存力 保存力と位置エネルギーの概念、およびそれらの関係が理解できる。
13週 ポテンシャルの計算 種々の保存力と位置エネルギーの関係を計算して求めることができる。
14週 演習② 力学的エネルギー保存則の応用問題を解くことができる。
15週 座標変換① 見かけの力(慣性力)の導出を理解する。
16週 前期期末試験・返却 総合的な問題が解け、理解が不十分な点を解消する。
後期
3rdQ
1週 座標変換② コリオリ力・遠心力について理解し、極座標の考え方を学ぶ。
2週 回転とトルク 回転を生み出す力のモーメントの数学的表現を理解する。
3週 角運動量 角運動量とトルクの関係、および角運動量保存則が理解できる。
4週 質点系の力学① 質点系の並進運動および重心について理解する。
5週 質点系の力学② 質点系の回転運動について理解する。
6週 万有引力 万有引力について学び、惑星の運動を説明できる。
7週 実験 実験を行う。
8週 後期中間試験・返却 総合的な問題が解け、理解が不十分な点を解消する。
4thQ
9週 剛体の力学① 「剛体」の概念を理解し、静止剛体に関する計算ができる。
10週 剛体の力学② 慣性モーメントの概念を理解し、その計算ができる。
11週 剛体の力学③ 剛体の運動に関する基本問題が解ける。
12週 演習③ 剛体の運動の具体的な演習問題を解くことができる。
13週 波動 波動力学の基本的な考え方が理解できる。
14週 流体 流体力学の基本的な考え方が理解できる。
15週 現代物理 相対性理論、量子力学の基礎が理解できる。
16週 学年末試験・返却 総合的な問題が解け、理解が不十分な点を解消する。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3
物体に作用する力を図示することができる。3
力の合成と分解をすることができる。3
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3
慣性の法則について説明できる。3
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3
運動方程式を用いた計算ができる。3
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3
仕事と仕事率に関する計算ができる。3
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3
角運動量を求めることができる。3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3
重心に関する計算ができる。3
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3
物理実験物理実験安全を確保して、実験を行うことができる。3
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70000030100
基礎的能力5000002070
専門的能力2000001030
分野横断的能力0000000