材料学Ⅱ

科目基礎情報

学校 奈良工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 材料学Ⅱ
科目番号 0050 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 機械工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 「機械・金属材料学」,PEL編集委員会,黒田大介 編著
担当教員 谷口 幸典

到達目標

1.鉄鋼精錬プロセスの概要,炭素鋼の組織および熱処理工程とそのCCT線図との対応,各種熱処理組織や留意点を説明できる.
2.普通鋼,高張力鋼,構造用合金鋼,工具鋼,および,ステンレス鋼を代表としたその他の特殊用途用鋼について,種類,機械的性質などの特徴ならびに使用するにあたっての留意点が説明できる.
3.鋳鉄の基本的性質と用途についての知識,特徴,組織を説明できる.
4.非鉄金属とその合金について基本的性質と種類,用途,特徴,それら合金設計の意図と組織~力学的特性の関係ならびに機能性を説明できる.
5.金属酸化物を中心とする無機材料の代表的なものについて特徴や応用を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1右記に加えて,鋳鉄の基本的性質と用途についての知識,特徴,組織を説明できる.鉄鋼精錬プロセスの概要,炭素鋼の組織および熱処理工程とそのCCT線図との対応,各種熱処理組織や留意点を説明できる.鉄鋼精錬プロセスの概要,炭素鋼の組織および熱処理工程とそのCCT線図との対応,各種熱処理組織や留意点を説明できない.
評価項目2右記に加えて,非鉄金属とその合金について基本的性質と種類,用途,特徴,それら合金設計の意図と組織~力学的特性の関係ならびに機能性を説明できる.普通鋼,高張力鋼,構造用合金鋼,工具鋼,および,ステンレス鋼を代表としたその他の特殊用途用鋼について,種類,機械的性質などの特徴ならびに使用するにあたっての留意点が説明できる.普通鋼,高張力鋼,構造用合金鋼,工具鋼,および,ステンレス鋼を代表としたその他の特殊用途用鋼について,種類,機械的性質などの特徴ならびに使用するにあたっての留意点が説明できない.
評価項目3右記に加えて,粉末冶金法についてそのプロセスや適用例を説明できる.金属酸化物を中心とする無機材料の代表的なものについて特徴や応用を説明できる.金属酸化物を中心とする無機材料の代表的なものについて特徴や応用を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

準学士課程(本科1〜5年)学習教育目標 (2) 説明 閉じる

教育方法等

概要:
材料学Ⅰで学んだ知識を活用し,前期は鋼を中心として,その状態図と組織,精錬,熱処理方法と各種合金元素添加による強度特性の変化,様々な鉄鋼材料の特性・用途およびJIS規格による表記を習得する. 後期は鋼と鋳鉄の知識を踏まえたうえで,非鉄金属材料について,特徴と用途,加工性,分類,JIS規格などを習得する.通じて,金属材料を機械技術者として正しく選定使用できる能力を修得する.
授業の進め方・方法:
教科書に示された図や記述の行間の解説を受け,理解するパッシブな授業形式とする.質疑応答のやりとりを毎回行うとともに,適宜レポートや演習等の課題を配布・指示して理解度を確認する.実験・実習で実際に使用する材料も多いので関連を明確にしながら進める.
注意点:
関連科目
機械工作法,機械工作実習,機械設計製図,機械工学実験など,機械材料を扱う全ての科目
学習指針
専門用語,JIS記号など,学習事項が非常に多いため集中して理解し,質疑応答内容もノートや教科書に書き込みする.わからない点や聞き漏らした事項はまず先輩や同僚に聞く.それでもわからないことはオフィスアワーを活用されたし.
事前学習
教科書の予習課題に取り組み,学内外の端末で教科書出版社Webサイトに公開されている解説を確認しておくこと.
事後展開学習
章末の演習課題に取り組むとともに、適宜ノートを清書して復習に努めること。

学修単位の履修上の注意

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 鉄鋼精錬 鋼材がどのように製造されるか基礎事項を説明できる.
2週 鋼の状態図 鋼の状態図の読み方と標準組織が説明できる.
3週 鋼の組織とその性質 鋼の組織計算ができ,性質変化を説明できる.
4週 冷却と変態 冷却と変態,マルテンサイト変態を説明できる.
5週 連続冷却変態曲線 炭素鋼のS曲線,TTT曲線,CCT曲線と組織の関係を説明できる
6週 各種熱処理工程 熱処理の種類と生成組織の関係を説明できる.
7週 中間試験 到達目標1に関する知識が定着している.
8週 試験返却・解答 理解が不十分な事項を認識し,正しく理解できる.
2ndQ
9週 鋼の焼入れ ジョミニー試験と理想臨界直径,サブゼロ処理を説明できる.
10週 焼戻し,焼なまし,焼ならし それぞれの目的と生成組織,留意点を説明できる.
11週 鋼の分類・構造用鋼① 鋼の種類と対応するJIS鉄鋼記号,一般構造用鋼を説明できる.
12週 鋼の分類・構造用鋼② 高張力鋼、機械構造用炭素鋼について説明できる.
13週 機械構造用合金鋼 性質と組織の基礎知識及び規格と用途を説明できる.
14週 工具鋼・工具材料 工具鋼を中心に工具材料の種類・特徴,組織を説明できる.
15週 前期期末試験 到達目標2に関する知識が定着している.
16週 試験返却・解答 理解が不十分な事項を認識し,正しく理解できる.
後期
3rdQ
1週 特殊用途用鋼 ステンレス鋼を中心として特殊用途用鋼の特徴と分類,留意点を説明できる.
2週 鋳鉄の組織と状態図 鋳鉄の組織と状態図,Maurerの組織図を説明できる.
3週 実用鋳鉄とその性質 実用鋳鉄の特徴と分類,留意点を説明できる.
4週 展伸Al合金 展伸Al合金の特徴と分類,留意点を説明できる.
5週 鋳造用Al合金 鋳造用Al合金の特徴と分類,留意点を説明できる.
6週 純銅の性質 純銅の物理的・化学的・機械的性質を説明できる.
7週 後期中間試験 ここまでの知識が定着している.
8週 試験返却・解答 理解が不十分な事項を認識し,正しく理解できる.
4thQ
9週 Cu合金 Cu合金の特徴と分類,留意点を説明できる.
10週 チタンとその合金 工業用TiとTi合金の特徴と分類,留意点を説明できる.
11週 ニッケル・コバルトとその合金 NiおよびNi合金、Co合金の種類と特徴,おもな用途が説明できる.
12週 マグネシウムとその合金 Mg合金の特徴と分類,留意点を説明できる.
13週 無機材料 無機材料の分類と結晶粒径の相関,機械的性質を説明できる.
14週 ガラス・セラミックス ガラスおよびセラミックスの特徴と使用例を説明できる.
15週 学年末試験 ここまでの知識が定着している.
16週 試験返却・解答 理解が不十分な事項を認識し,正しく理解できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学機械系分野材料機械材料に求められる性質を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
金属材料、非金属材料、複合材料、機能性材料の性質と用途を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,前16,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15,後16
引張試験の方法を理解し、応力-ひずみ線図を説明できる。4
脆性および靱性の意味を理解し、衝撃試験による粘り強さの試験方法を説明できる。4
機械的性質と温度の関係およびクリープ現象を説明できる。4
金属と合金の結晶構造を説明できる。4前1,前4,前5,後3,後4,後9,後12
合金の状態図の見方を説明できる。4前4,前5,前14,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9
鉄鋼の製法を説明できる。4前1
炭素鋼の性質を理解し、分類することができる。4前2,前3,前11
Fe-C系平衡状態図の見方を説明できる。4前2,前3
焼きなましの目的と操作を説明できる。4前4,前5,前6,前9,前10
焼きならしの目的と操作を説明できる。4前4,前5,前6,前9,前10
焼入れの目的と操作を説明できる。4前4,前5,前6,前9,前10
焼戻しの目的と操作を説明できる。4前4,前5,前6,前9,前10

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力10010
専門的能力702090
分野横断的能力000